ロンドンのオーケストラは、先週あたりから徐々にシーズン開幕コンサートが始まっています。私も、日曜の夜、ロンドン交響楽団の演奏会を聞きに、3ヶ月ぶりにバービカンホールを訪れました。この日は、主任指揮者ゲルギエフによる、ブラームスのピアノ協奏曲第2番ととチャイコフスキーの交響曲第4番という重量級プログラムです。
しょっぱなのブラームスのピアノ協奏曲第2番は随分有名な曲のようですが、私は初めてです。ピアニストのネルソン・フレイレ(Nelson Freire)は1944年のブラジル生まれということなので、もう結構なお歳のようですが、2階席からはもうすぐ70歳とは思えない溌剌とした壮年のおじさんに見えました。ピアノの方も、とっても力強いタッチで、音も大きいので、最初は驚きましたが、乱暴に大きいというのではなく、細部にもすごく丁寧に弾いているのが良く分かります。ピアノを弾く姿勢が型にはまった美しさがあり、ピアノをまるで自分の体の一部のように自由自在に操っているように見えます。均整がとれていて、安定しているので、聴く方は安心して音楽に身をゆだねることができる、そんな感じでした。
ピアノ以外も第3楽章のチェロ独奏の美しさも格別でした。柔らかく、滑らかで、至福の時間です。オケも弦のアンサンブルが美しく、交響曲的なピアノ協奏曲をピアノとしっかりコラボしてました。フレイレさんは、大拍手に応えて、アンコールまでやってくれました。誰でも知っている有名な曲(ですが、恥ずかしながら、私は曲名を知りません)で、重厚な協奏曲の後にぴったりのデザートでございました。
(拍手に応えるネルソン・フレイレ)
休憩を挟んでのチャイコフスキーは、これまた凄じい演奏。完全にゲルギエフの十八番なのでしょう。譜面台に譜面はおいてありましたが、一度も振れることもなく、終始、完全なゲルギーワールドの展開でした。木管、金管の個人技(特にオーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットなどなど)に加え、弦を含めた全体のハーモニーも完璧。ヘビー級でありながら「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と言われたモハメッドアリのボクシングのような、重量級のオケにきれが加わる演奏で、完全にノックアウトされました。特に、第2楽章の深く、寂しいロマンティックなメロディ、第3楽章の弦のリズミカルなピチカートが心地よかったです。最後、フィナーレが終わったときは、心臓パクパク。こんなチャイコフスキーの4番はそうは聴けないでしょう。
日曜の夜にこの衝撃は重すぎるよ~、と暖かな秋の夜風にあたりながら、胸の鼓動を無理矢理治めつつ、帰路につきました。
(満足げなゲルギエフ)
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
25 September 2011 / 19:30
Barbican Hall
Brahms Piano Concerto No 2
Tchaikovsky Symphony No 4
Valery Gergiev conductor
Nelson Freire piano
London Symphony Orchestra
しょっぱなのブラームスのピアノ協奏曲第2番は随分有名な曲のようですが、私は初めてです。ピアニストのネルソン・フレイレ(Nelson Freire)は1944年のブラジル生まれということなので、もう結構なお歳のようですが、2階席からはもうすぐ70歳とは思えない溌剌とした壮年のおじさんに見えました。ピアノの方も、とっても力強いタッチで、音も大きいので、最初は驚きましたが、乱暴に大きいというのではなく、細部にもすごく丁寧に弾いているのが良く分かります。ピアノを弾く姿勢が型にはまった美しさがあり、ピアノをまるで自分の体の一部のように自由自在に操っているように見えます。均整がとれていて、安定しているので、聴く方は安心して音楽に身をゆだねることができる、そんな感じでした。
ピアノ以外も第3楽章のチェロ独奏の美しさも格別でした。柔らかく、滑らかで、至福の時間です。オケも弦のアンサンブルが美しく、交響曲的なピアノ協奏曲をピアノとしっかりコラボしてました。フレイレさんは、大拍手に応えて、アンコールまでやってくれました。誰でも知っている有名な曲(ですが、恥ずかしながら、私は曲名を知りません)で、重厚な協奏曲の後にぴったりのデザートでございました。
(拍手に応えるネルソン・フレイレ)
休憩を挟んでのチャイコフスキーは、これまた凄じい演奏。完全にゲルギエフの十八番なのでしょう。譜面台に譜面はおいてありましたが、一度も振れることもなく、終始、完全なゲルギーワールドの展開でした。木管、金管の個人技(特にオーボエ、フルート、クラリネット、ファゴットなどなど)に加え、弦を含めた全体のハーモニーも完璧。ヘビー級でありながら「蝶のように舞い、蜂のように刺す」と言われたモハメッドアリのボクシングのような、重量級のオケにきれが加わる演奏で、完全にノックアウトされました。特に、第2楽章の深く、寂しいロマンティックなメロディ、第3楽章の弦のリズミカルなピチカートが心地よかったです。最後、フィナーレが終わったときは、心臓パクパク。こんなチャイコフスキーの4番はそうは聴けないでしょう。
日曜の夜にこの衝撃は重すぎるよ~、と暖かな秋の夜風にあたりながら、胸の鼓動を無理矢理治めつつ、帰路につきました。
(満足げなゲルギエフ)
London Symphony Orchestra / Valery Gergiev
25 September 2011 / 19:30
Barbican Hall
Brahms Piano Concerto No 2
Tchaikovsky Symphony No 4
Valery Gergiev conductor
Nelson Freire piano
London Symphony Orchestra