その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

METライブビューイング ヴェルディ 《オテロ》

2015-11-29 20:22:31 | 演奏会・オペラ・バレエ(2012.8~)

(グーグル画像検索から拝借。Otello (Aleksandrs Antonenko) has just returned from battle and he and Desdemona (Sonya Yoncheva) sing about their love for each other. Credit: Ken Howard/ Metropolitan Opera)

 METらしい豪華キャストによるハイレベルなパフォーマンスを堪能しました。

 オテロは、ロンドン駐在時にコリン・デイビス翁の指揮によるロンドン響でのコンサート方式の演奏に痺れて以来、一度是非、舞台付きで見てみたいと思っていた演目。当時、急な代役で登場したサイモン・オニールのオテロが素晴らしい出来で、舞台と演技が付いたらどんな迫力になるのだろうと、見なくてはいけないオペラリストの筆頭でした。今回、本当のライブではないけど、METのライブ・ビューイングということで期待大。

 公演は、「さすがMET」と言うしかない重量級の舞台。軸となる三役のオテロ(アントネンコ)、イアーゴ(ルチッチ)、デスデーモナ(ヨンチェーヴァ)がいずれも素晴らしく、ため息ものでした。とりわけ、ルチッチの悪役ぶりがスクリーン一杯に緊張感を注入してました。また、死を予期したデスデーモナが歌うアベ・マリアは、涙なしには見れないほど。イアーゴの歌唱も終始、安定。

 ガラスの仕切りを使った演出は、登場人物の心情を垣間見られるようになっていて、洗練された印象を受けました。私の好きな指揮者ネゼ=セガンが、陰影豊かにオーケストラをドラマチックに鳴らしていたのも感動。今回は、私が見たMETライブビューイングの中でも間違いなくトップクラスの出来です。

 幕間では、HD映像のディレクターがどうライブ映像を作って行くかが紹介されました。劇場内の12台のカメラ映像を縦横無尽に切り替えて映像つくりをする様子が分かり、興味深いものでした。ただ、これって、逆の意味もあって、「こうやって迫力画面が作られて、感動させられているわけね」と思ったりしてやや興ざめ的なところもあり、なかなか複雑。これは、やっぱり生で観るべきものでしょうね。


ヴェルディ《オテロ》新演出

MET上演日:2015年10月17日
■指揮:ヤニック・ネゼ=セガン Yannick Nézet-Séguin
■演出:バートレット・シャー Bartlett Sher
■出演:アレクサンドルス・アントネンコ(オテロ)Aleksandrs Antonenko、
ジェリコ・ルチッチ(イアーゴ)Željko Lucić
ソニア・ヨンチェーヴァ(デスデーモナ)Sonya Yoncheva、
ディミトリー・ピタス(カッシオ)Dimitri Pittas、
ギュンター・グロイスベック(ロドヴィーコ)
コメント
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