その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ヨーロッパ人従業員と効果的にコミュニケーションをとる方法

2010-06-03 05:58:43 | ロンドン日記 (日常)
というお題の半日セミナーを受講しました。(写真はセミナーとは一切無関係のイメージ画像です)

 「一般論の危険性(英国人、フランス人、ドイツ人などが皆同じではない)ということを踏まえつつ、文化が行動や考え方に与える影響を理解しながら、相手の文化を尊重し、自分の行動を適度に調整することで、職場で良好なコミュニケーションをとれるようにしましょう」という趣旨のセミナーです。最近でこそ、こちらの仕事のやり方などに慣れてきました(これはこれで、日本に帰った時が怖いのです)が、最初の半年は相当、面食らいました。なので、1年前に受けていればもっと違ったかもと思いましたが、とっても気づきのあるセミナーでした。

 たとえば、コミュニケーションにおける言葉の依存度の強弱を、強い方から並べると「(言葉中心のコミュニケーション)ドイツ→オランダ→フランス→スペイン→イギリス→日本(非言語的コミュニケーション)」となるそうです。何と、イギリス人はドイツ人よりも日本人に近いです。まあ、日本のポジションは「以心伝心」なんていうぐらいだから、さもアリなんという感じでしたが、イギリス人はむしろ日本人に近いというのは驚きでした。やはり、「皮肉(ユーモア)の文化」とパブの「呑めば分かる文化」が、混ざった国民性ということらしいですが、どこまで一般化が可能かは難しいです。分析軸には、このほかにも「対立への姿勢」(日本人は対立を避けようしがち)とか、「役割の明確度」(もちろん、日本の役割はあいまい)とかがあります。

 そんな違いも踏まえて、イギリスでの効果的なマネジメント・スタイルの例としては、
−従業員に自主性を与えることで、従業員がクリエイティブでいられるようにする(マイクロマネジメントはしない)
−相手に責任範囲以外の仕事をして欲しかったら、そうするように、という明確な許可を与える
−一人ひとりの従業員と公式(アポイントメントを入れて、個室で)な対話の場を持つ
とかがあるそうです。

 あたりまえですが、日本で働いているときは考えもしなかったことに新たに気付きながら、仕事という共同作業を外国人とやり遂げていくというのは、ホント面白い経験です。

 ※余談ですが、これとは逆の視点のセミナーもあります。すなわち西洋人向けに「日本人と一緒に仕事をする方法」というお題になります。一体、何と言われているのだろうか?
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ウィーン旅行 (その4) ウィーン国立歌劇場で『エフゲニー・オネ-ギン』を聴く

2010-06-02 22:11:35 | 旅行 海外
 いよいよ2日目の夜のハイライト、ウィーン国立歌劇場へ。こちらも楽友協会に劣らず、ミラノスカラ座と並ぶ世界のオペラの殿堂だ。メインストリートに面して建つ劇場は威厳たっぷりである。





 中に入ると、そのホワイエの豪華さに驚かされる。「さすが、ウィーン国立歌劇場」とため息が出る。





(ホワイエから天井を見上げる)


 いよいよ、劇場内へ。劇場の中は外観やホワイエに比べると、意外に地味な印象だ。


 オーケストラピットの手前から観客席を見上げる。


 (天井のシャンデリア)


 今日の演目は、チャイコフスキーの最も有名なオペラである『エフゲニー・オネ-ギン』。半年ぐらい前に早々とチケットを予約した時は、小澤 征爾さんの指揮予定だった。が今は残念ながら病気療養中のため、代役でロシアの指揮者キリル・ペトレンコ(Kirill Petrenko)となった。去年、ロイヤルオペラでチャイコフスキーの「女帝の靴」を指揮して、ロマンティクな音楽を聴かせてくれた人である。小澤さんがいないのはさびしい限りだが、ここに来れてオペラを観劇できるだけでも良しとせねば。

 期待通りオペラはとっても高水準の公演だった。まずはオーケストラの音色の美しさに心奪われた。弦の響き、金管の貫き、全体にバランスもとれた惚れ惚れする演奏で、チィコフスキーらしいドラマティックで抑揚のきいた美しいメロディーを堪能した。

 ターニャ役のオルガ・グリャコヴァは、声量たっぷりで伸びのある高い声かつ豊かな声質で情感もたっぷり。



 オネーギン役は何と超有名人のディミトリー・アレクサンドロヴィチ・ホロストフスキー(Dmitri Hvorostovsky)。タイトルロールの割には、大した歌の出番はない役だが、有名人オーラが出まくってて、存在感たっぷりだった。最後のターニャに迫るシーンは演技力抜群で迫力のラストシーンをオルガと作ってくれた。



 レンスキーのテノール君が伸びのある綺麗なテノールで、歌ではオーギネンに負けてなかった。



 驚きは、ターニャの旦那グレーミン公爵役のフェルッチョ・フルラネット(Ferruccio Furlanetto)の低音は凄い迫力だった。



 その他の歌手陣や合唱陣も実力派で安定した高いレベルの歌唱。


 演出はシンプルだが美しい。雪が降りしきる背景が情感豊かに観る者に訴える。

 とても気に入ったオペラになりそうな予感。

 夜の歌劇場も美しく絵になる。





EUGEN ONEGIN
(15. Aufführung in dieser Inszenierung)

Dirigent: Kirill Petrenko
Inszenierung: Falk Richter
Bühnenbild: Katrin Hoffmann
Kostüme: Martin Kraemer
Licht: Carsten Sander
Choreographie: Joanna Dudley
Chorleitung: Thomas Lang

Larina: Zoryana Kushpler*
Tatjana: Olga Guryakova
Olga: Nadia Krasteva
Filipjewna: Margareta Hintermeier
Eugen Onegin: Dmitri Hvorostovsky*
Lenski: Pavol Breslik*
Fürst Gremin: Ferruccio Furlanetto*
Hauptmann: Marcus Pelz
Saretzki: Marcus Pelz
Triquet: Alexander Kaimbacher
Vorsänger:

(* Rollendebüt an der Wiener Staatsoper)

Beginn: 19.30

≪関連記事≫
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 ウィーン旅行(その2)楽友協会でウィーンフィルを聴く

 ウィーン旅行(その3) 美術史美術館
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ロンドン レストラン Sake no Hana

2010-06-02 07:06:49 | レストラン・パブ (in 欧州)
 日本食レストランの新規開拓ということで、メイフェアに最近、改装オープンしたレストランへ出撃。まず、内装にびっくり。天井が高く、竹細工が施してあったりして、まるで汐留や横浜やお台場のベイエリアにあるちょっとお洒落なバー&レストランのようでした。(写真はGoogleより:写真の座敷席はテーブル席に変っています)

 ロンドンで一番混んでいると言われている日本食レストランもどきのWAGAMAMAを展開している、中国系ベンチャー企業家が経営するレストランとのことです。

 あわせて6名で出かけたので、枝豆、刺身の盛り合わせ、ほうれん草の胡麻和え、海草サラダ、揚げ出し豆腐、天ぷら盛合わせ、稲庭うどん、などなど、居酒屋風に食べまくりました。お味はどれもグッドです。

 値段はびっくりする程高くも無いけど、安くは無いです。腹いっぱい食べて、焼酎たくさん飲んで、一人60ポンドぐらいでした。

 9時にはお店は一杯。それも、日本人客と思しき客は自分たちだけという、とっても変な感じでした。

 ※お店のHPはこちら
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ウィーン旅行(その3) 美術史美術館 

2010-06-01 22:21:01 | 旅行 海外
5月29日(土)

 朝食を済ませ、チンチン電車に乗って美術史美術館へ向かう。昨日までの天気予報では土・日は強い雨の予報だったが、何故か薄日が差す好日。欧州の都市では路面電車が走っているところが多いが、チンというベルの音、線路と車輪の摩擦音、ゆっくりとしたスピード(それでもウィーンの路面電車は結構速い)が、なんとも街の風景の中に溶け込んで優雅なものである。バスだとこうした趣は味わえない。

 美術史美術館の前には、マリア・テレジア像が建っている。美術館の建物も立派。




 美術史美術館は、噂どおりの素晴らしい美術館だった。今回は音声ガイドは借りず、まず入館と同時にミュージアムショップに入り、そこで主要作品の解説がついた美術館ガイドを購入した。音声ガイドよりも、ガイドを参照しながらの鑑賞する方が後々の記憶に残るかと思ったからだ。入り口の玄関ホールの豪華絢爛さ、天井の美しさに目がくらむ。





 そして、最初に入室した部屋には、いきないティツィアーノの大量の絵が展示してあり、その質・量に肝を抜かれた。そして、ティツィアーノを皮切りにジョルジョーネ、ベッリーニ、ラファエロなどのイタリア絵画の巨匠たちの作品が、フィレンチェも顔負けに展示。その後、ベラスケスによる有名な王女マルガリータ=テレサの3歳,5歳、8歳の肖像画。スペインからの嫁入りが予定されていて、見合い写真の代わりにフェリッペ4世から送られていたという話を本で読んだことがある。これでやっと、半分。







 さらに後半はルーベンス、レンブラント、フェルメール、デュラー、ホルバインの力作が並ぶ。素通りできない絵が次から次へと現れる。そして、この美術館名物のブリューゲル部屋。評判どおりのすごいコレクション。「バベルの塔」「雪中の狩人」「子供の遊び」「農民の婚礼」など、今まで画集で見た絵を目の前にして、感激。本当に、細かくかつ生き生きと描かれている。






   

 結局、2時間半たっぷりかけて鑑賞、というかそこで自分がガス欠。印象派以前の絵を見るのは、印象派以降のそれよりもずっとエネルギーがいるので、へとへと。最近は、すっかり近代以前の絵の方が好きになった。

 美術館のレストランでブランチ・ブッフェというやっていて美味しそうな料理がたくさん並んでいたので惹かれたが、34ユーロもしたので、諦めた。結局、昼は王宮広場で開催されていた物産展の屋台でハムのセット、アスパラガスの炒めを食べた、ただ、これも美味で大当たりだった。









 昼間からのワインの酔いも醒めないうちに、どうしてもウイーンで見ておきたいクリムトの「接吻」を見に、ベルヴェデーレ宮殿上宮へ。ここには世界最大のクリムトのコレクションがある。





 「接吻」はさすがと思わせる神秘的な美しさ。絵の様式、金の色使い、立ちすくむしかないような絵だった。

(有名な「接吻」と「ユディット」)
 

 クリムト以外にも良い絵が沢山あったが、朝からの絵画鑑賞に集中力がもたず、これにて終了。夜のオペラに向け、ホテルに戻って昼寝。

(つづく)

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ロンドン郊外の本屋

2010-06-01 04:27:53 | ロンドン日記 (日常)
 連休最後の日、さっぱりしない天気。日用品の買い物ついでに、近くの本屋に寄る。街中にあるようなでかい本屋ではないが、一通りの品揃えはある。日本での自宅近くの行きつけの本屋と同じぐらいの規模だ。

 同じ郊外の住宅街にある本屋でも、ロンドンと東京では随分品揃えが違うような気がする。店の品揃えの違いか、それともイギリスの本屋の特徴かが分からないが、独断で気がついたことをいくつかメモすると・・・

 職業柄、どうしてもビジネス関連のコーナーに足が向くのだが、こちらの近くの本屋はビジネス書の品揃えは全然ダメ。3メートル分の棚ぐらいしか置いてない。ビジネスだけで一コーナーある日本の本屋とはえらい違いだ。あまりこちらの人はビジネスノウハウを本で得るということをあまりしないのだろうか?

 反面、小説(フィクション)のコーナーはやたら広い気がする。確かに地下鉄に乗っていて、人が読んでいる本が気になってよくタイトルだけ盗み見するのだが、小説類が多いような気がする。

 あと、歴史物、戦争物の棚も多い。日本にもあることにはあるが、明らかにこちらのが多い。戦争物が多いのは、お国柄からうなずける。

 伝記もこっちは多い。アメリカでもやたら伝記が本屋に置いてあってビックリした覚えがあるが、イギリス人も伝記好きなのだろうか?日本はあまりないような気がするが・・・

 最後に、圧倒的に日本の本屋の方が混んでる。こっちは、「休日の午後に、こんな客の入りでこの本屋大丈夫か?」と心配になるぐらいだ。イギリス人は本を読まないのか?ネットで買うのか?活字離れが進んでいるといわれる日本だが、絶対、日本人は活字好きだと自分は思う。そういう統計ってないのだろうか?

 で、私が買った本は・・・


左から
"COUNTRY WALKS 52 WALKS WITHIN EASY REACH OF LONDON"
"COUNTRY WALKS NEAR LONDON VOLUME2"
"30 GREAT RUNS IN LONDON"

 英語の字が多い本は、一分で眠くなるので・・・

 さあ、これ見て、走って、歩くぞ!!!
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