大学に入学して初めての下宿先で一緒になり、長い付き合いとなった和歌山出身のFについて語ろう。
VANがお気に入りのアイビー少年Fは、とにかく変わっていた。
Fの部屋は一軒家の下宿の4室あるうちの、1階の6畳の洋室だった。
当初は玄関で靴を脱いで上がっていたが、そのうちに欧米風に土足で生活するようになった。
主だった家具はパイプベッドとファンシーケースで、部屋のあちこちには書籍や雑誌が山積みされていた。
その書籍も幻想文学や悪魔や天使、怪奇現象やUFO関連のトンデモ本ばかりだった。
壁には横尾忠則や外国のサイケデリック調のポスターが貼られていた。
机やテーブルがなかったので、近くの喫茶店の横に捨て置かれていたデカいコーヒー樽を、私と一緒に夜中に拝借してテーブル代わりにしていた。
部屋の中央にはイーゼルが鎮座し、その上に載ったキャンバスには、福笑いの土台のようなおかめ風の輪郭が描かれていた。
たぶん、当時人気だったアグネス・チャンか麻丘めぐみを描こうとしていたのだろう。
その油絵はついぞ完成することはなかった。
Fには和歌山風の関西弁を伝授してもらったり、友達を紹介してもらったり、映画館のオールナイトのバイトを紹介してもらったりした。
お互いに酒豪で、よく河原町や木屋町の居酒屋やパブを飲み歩いたものだ。
和歌山のFの実家も一度訪れたことがあり、その時はぶらくり丁や和歌の浦を案内してもらった。
私の九州の実家にも来たことがある。
大学を卒業してからも付き合いは続き、結婚披露宴にも参加した。
そんなFも40代半ばでくも膜下出血に倒れて、帰らぬ人となった。
VANがお気に入りのアイビー少年Fは、とにかく変わっていた。
Fの部屋は一軒家の下宿の4室あるうちの、1階の6畳の洋室だった。
当初は玄関で靴を脱いで上がっていたが、そのうちに欧米風に土足で生活するようになった。
主だった家具はパイプベッドとファンシーケースで、部屋のあちこちには書籍や雑誌が山積みされていた。
その書籍も幻想文学や悪魔や天使、怪奇現象やUFO関連のトンデモ本ばかりだった。
壁には横尾忠則や外国のサイケデリック調のポスターが貼られていた。
机やテーブルがなかったので、近くの喫茶店の横に捨て置かれていたデカいコーヒー樽を、私と一緒に夜中に拝借してテーブル代わりにしていた。
部屋の中央にはイーゼルが鎮座し、その上に載ったキャンバスには、福笑いの土台のようなおかめ風の輪郭が描かれていた。
たぶん、当時人気だったアグネス・チャンか麻丘めぐみを描こうとしていたのだろう。
その油絵はついぞ完成することはなかった。
Fには和歌山風の関西弁を伝授してもらったり、友達を紹介してもらったり、映画館のオールナイトのバイトを紹介してもらったりした。
お互いに酒豪で、よく河原町や木屋町の居酒屋やパブを飲み歩いたものだ。
和歌山のFの実家も一度訪れたことがあり、その時はぶらくり丁や和歌の浦を案内してもらった。
私の九州の実家にも来たことがある。
大学を卒業してからも付き合いは続き、結婚披露宴にも参加した。
そんなFも40代半ばでくも膜下出血に倒れて、帰らぬ人となった。
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