現実は正解であり、事実なんだ。

今は亡き有名人が49歳の時に言った言葉である。

よく覚えとけ。
現実は正解なんだ。
時代が悪いの、世の中がおかしいと云ったところで仕方ない。
現実は事実だ。

世の中には何をやってもうまくいく人がいる。
要領がよく、周囲からも何かと気に入られるような人だ。
明らかに自分のほうが頑張っているし、結果も出している。
なのに、注目されるのはいつも人っていませんか？
そんなときに、思わず芽生えてしまう感情が「嫉妬」である。

そして、この有名人（故人）が、彼の弟子に「嫉妬とは何か教えてやる」と言って次のように説いている。

己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口で論って、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。
一緒になって同意してくれる仲間がいれば、更に自分は安定する。
本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送れば、それで解決するんだ。
しかし、人間はなかなかそれができない。
嫉妬している方が楽だから。
だがそんなことで状況は何も変わらない。

この言葉を語ったのは、2011年に亡くなった立川談志である。

何とも的を射た言葉だ。
生前、立川談志という人は、毒舌や破天荒な行動で世間を騒がせることも多かったが、真剣に話す言葉は至極真っ当で、重みすら感じさせるのだ。

加えて「現実の評価を軽んじても、何も進歩がない」と談志は考えていたという。

嫉妬に陥ると、つい相手の実力にケチをつけたくなるものだ。
しかし、相手の評判を貶めたところで何とも空しいだけ。
本当に悔しければ、取るべき行動は別にあるはずだ。

長いこと人間として生活していると、現在置かれている状況や、これから起こりうる事態において、納得いかないこともある（はずだ）。
「こんなはずじゃない」「きっちりと評価さえしてもらえれば」という気持ちにもなることもあるだろう。

しかし、現実の状況はすべて自分の行動が作り出したもの、ということを忘れてはならない。
他の誰でもない自分が歩んできた人生。
起きていることの原因はすべて自分自身にある。
逃げずに、真正面から現状を分析すること。
そして問題点を解決するための対策を考えて、それを実行していくこと。
自分のやるべきことが見えてくれば、他人の足を引っ張る暇など、まるでないことに気づかされるだろう。

そして、最後に談志はこう言い放ったという。
現状を認識して把握したら、処理すりゃいいんだ。
その行動を起こせない奴を、俺（談志）の基準では馬鹿と云う。

なんとも言い当てて妙である。

改めて、これらの言葉を心に刻んで、日々邁進したいと思ったのである。