歩行器
義足を履き始めのご両親が、歩行器について悩んでいらっしゃる。
そんなこともあったなぁと思いつつ、物置の奥から夜中に歩行器を引っ張り出してみた。
歩行器。
たしか、私も義足を履き始めた年。たしか二歳になった年に歩行器を作っていただいた。
当時は、訓練とかもひつようないと言われ、「遊びの中で、普通の子供が立って歩いている時間は、同じように立たせないと、同じように重力拮抗筋が育ちません。」と大先生に言われて、悩みましたね。
そうすると、いかに長時間立っていてもらうかということ。考えましたよ。
テレビを台に乗せ、同じ高さのコタツみたいな机を前において、立たないと見えないようにする。
そしてたしか。
そこの上におもちゃもおいて遊ばせ、ご飯もおやつもそこ。
何をするにも立った姿勢でちょうどいい感じの机で。
不思議なもので、テレビなんかをつけておくと、ずっと立っていられる。おやつもそう。
この頃の子供って言い聞かせてもダメで、いかにその状態に自然に持っていくかな気がする。
歩行器もね。
何度も使おうとしたけど。
二歳児には少しやはり思いから、引きずるのに力がいるしね。
コの字型に囲われた中に入る感じがイマイチ気に入らなかったりね。
後は、幅があるから自由な場所で好きな向きが向けない。
前にも車輪があるから、机にあまり近づきにくい。
二歳児には単純に「歩こっか?」と言って歩くわけもなく。
興味があるものを取りに来るのを根気よく寸前で見せながら「おにさんこちら」みたいにするのが一番歩いてくれるわけで。
その歩かせ方が歩行器では難しい。というか、必死になると歩行器よりも机に両手をついて伝い歩きをまずする。
低い机の周りをグルグルと、お気に入りのぬいぐるみをつかいながら、毎日毎日何周も。
祖父母にも頼んで毎日毎日。
褒め続けながら、転倒に気をつけながら。
見ている大人がくたびれるから、交代しつつ。
気が遠くなるような作業。
したなぁ。(^^;;
歩行器もね。
屋内は狭すぎるし、屋外はタイヤが小さくてうまく動かなくてダメで。
本当は体育館みたいなところで訓練するなら、使えるんだろうけど。それは日常には使えない感じ。
そのことをのちに話したら、大先生に「だから訓練は無意味なんですよ」と言われたなぁ。
「普通は、日常的にそこまで一日中立たせた姿勢にさせる手間をかけられるご両親が、あまりいないのですよ。手をかけたから、◯◯ちゃんはいまここまで来れているんですよ」