『ねぇ、あなた、ちょっと来て』7階のラウンジで新聞を読んでいると、いつの間に来ていたのか、おばさんが声をかけてきた。
硝子戸をあけて屋上庭園に出ると、一株の小さな植え込みに向かってすたすた歩いて行く。もちろん私もおばさんについて行ったのだけれど、
『ほら、ここよ!』指差すところをみると、小鳥のヒナが3羽、斑に生えた産毛を寄せ合うようにして固まっている。
おばさんは『セキレイよ』と言う。「背黒セキレイ?」私は聞き返した。病院のまわりを頻繁に飛び交う、背黒セキレイを見ていたから即座にそう思ったのである。
その場近くに親鳥は見られなかったが、何処かで人間の不作法を見つめていたかも知れない。「ごめんよ…」
それから1週間後に植え込みを覗いてみると、巣らしい跡があるのみで3羽のヒナは見当たらない。
巣立って行ったのだ。病院のまわりを若鳥が舞っている。
硝子戸をあけて屋上庭園に出ると、一株の小さな植え込みに向かってすたすた歩いて行く。もちろん私もおばさんについて行ったのだけれど、
『ほら、ここよ!』指差すところをみると、小鳥のヒナが3羽、斑に生えた産毛を寄せ合うようにして固まっている。
おばさんは『セキレイよ』と言う。「背黒セキレイ?」私は聞き返した。病院のまわりを頻繁に飛び交う、背黒セキレイを見ていたから即座にそう思ったのである。
その場近くに親鳥は見られなかったが、何処かで人間の不作法を見つめていたかも知れない。「ごめんよ…」
それから1週間後に植え込みを覗いてみると、巣らしい跡があるのみで3羽のヒナは見当たらない。
巣立って行ったのだ。病院のまわりを若鳥が舞っている。