平家物語の冒頭、「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」とあり、なんと格調の高い精錬された語調だと感心してしまう。恐らく京都の偉い坊さんの知的表現なのであろうが、殺伐とした時代の緊張感も醸し出されて、絵巻を見るような爽快さがある。栄華を誇った平氏の没落は一瞬の夢のようであり、「沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す」と突き放したような賢者の眼も鮮やかで印象深い。
それに引き替え現代のおどろおどろしさは、臭いぞまさる黄金の袖裏、忖度はびこり性懲りもなく法を逸脱して民は不在。
時代も一つの顔であるから、時代が場を呼んだともいえるけれど、我々人間の方も流されているようにも見えて、時代を形づけてきたという側面もあるので、一体合体のものだ。農水省の養鶏業者との贈収賄事件、そして東北新社役員による総務省幹部への接待問題が国会の時局になっている。これも贈収賄事件に発展しそうだ。安倍政権時代の財務省理財局長の忖度は眼を見張るものがあった。官のたがが外れたキッカケこそ佐川である。
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