最近の話題、ソーシャルネットワーク(SNS)からはじめよう。7月21日我々の研究室では、このHPでも紹介しているSNSの1つセカンドライフ(以後SLと略す)上でオブジェクト・セミナーを行った。と書けば聞こえはいいが、我々チームはSL上に土地も建物も所有できない無料会員=バーチャル・ホームレスだ。先ず無料ニッサン車をゲットし、無法地帯のサンドボックス[注1]を利用して、ガレージ、椅子、コスチュームのT シャツなどを制作した。私も含めお互いが知り得たオペレーション情報の交換や、スキル向上が目的である。
日頃我々が使用しているStudio MAX、Vueといった3DCGソフトと比較すれば、 SLが無償提供している3DCGソフトは、光も影もなく オブジェクト完成度は低い。だが完成度をあえて低く設定し、情報処理速度を速めるといった逆発想は、レンダリング能力を著しく向上させ、3DCG環境とアバターとを同時に扱うことができ、スムーズなフルタイム・ウォークスルー・アニメーション・レンダリングができる点は秀逸である。さらにスクリプト制作、チャット、IMといった動作やコミュニケーション機能を統合し、3DCG環境とシンクロさせている点は、他のSLSと比して群を抜いている。
であれば我々グループでシムを購入し、制作すれば、研究室や大学の活動自体をSL上で開催することができる。例えば、デザイン実習に於ける3DCGの使用場面では、シム上で制作指導が可能であり、他方受講生や教員は、大学に来なくても、或いは車椅子故にといった個別事情があって大学にこれなくても、そしてお互いが日本不在中であっても、インターネット接続環境があれば即座に授業は成立する。
しかし問題は、その費用にある。シム購入費(サーバー購入代)1,675$=201,000円はよいとしても、年間サーバー管理料3,540$=約42.5万円は高い。こうした初期投資が回収できるビジネスモデルを構築しなけれはならない。例えば、SL内の貨幣価値ではすこぶる高い27,500L$=100円/1回のワンコインレクチャーを40人クラスで10回以上開催すれば、といったヒジネスモデルは思いつくが・・・、但し、シム制作をボランティアで行うというのが前提だ。SL上で開催されているオブジェクトやスクリプト・セミナーが大方無料という現況を考え合わせれば、果たしてそんなに集客できるコンテンツがあるのだろうか? 当面新規性をPR材料とし、企業イベントを誘致し、オブジェクト&スクリプト制作を請け負えば、収支は成立するが。要はビジネスモデル構築がシム所有の決め手だといえよう。
それにしても、我々無料会員は、ホームレスのシミュレーションをさせられているようでもあり、ともすれば将来を暗示するかのように思われ、気分は複雑である。
注1.オブジェクト制作のために自由に使えるSL上の公共空間。
日本語SL参考書
○三淵啓自:セカンドライフの歩き方,ASCII,2007.4.
○マイケル・リマズイスキー他:セカンドライフ公式ガイド,インプレスR&D,2007.6.
○セカンドライフの作り方,ASCII,2007.8.
○ウェプインパクト:リンデンスクリプト入門,インプレスR&D,2007.8.
日頃我々が使用しているStudio MAX、Vueといった3DCGソフトと比較すれば、 SLが無償提供している3DCGソフトは、光も影もなく オブジェクト完成度は低い。だが完成度をあえて低く設定し、情報処理速度を速めるといった逆発想は、レンダリング能力を著しく向上させ、3DCG環境とアバターとを同時に扱うことができ、スムーズなフルタイム・ウォークスルー・アニメーション・レンダリングができる点は秀逸である。さらにスクリプト制作、チャット、IMといった動作やコミュニケーション機能を統合し、3DCG環境とシンクロさせている点は、他のSLSと比して群を抜いている。
であれば我々グループでシムを購入し、制作すれば、研究室や大学の活動自体をSL上で開催することができる。例えば、デザイン実習に於ける3DCGの使用場面では、シム上で制作指導が可能であり、他方受講生や教員は、大学に来なくても、或いは車椅子故にといった個別事情があって大学にこれなくても、そしてお互いが日本不在中であっても、インターネット接続環境があれば即座に授業は成立する。
しかし問題は、その費用にある。シム購入費(サーバー購入代)1,675$=201,000円はよいとしても、年間サーバー管理料3,540$=約42.5万円は高い。こうした初期投資が回収できるビジネスモデルを構築しなけれはならない。例えば、SL内の貨幣価値ではすこぶる高い27,500L$=100円/1回のワンコインレクチャーを40人クラスで10回以上開催すれば、といったヒジネスモデルは思いつくが・・・、但し、シム制作をボランティアで行うというのが前提だ。SL上で開催されているオブジェクトやスクリプト・セミナーが大方無料という現況を考え合わせれば、果たしてそんなに集客できるコンテンツがあるのだろうか? 当面新規性をPR材料とし、企業イベントを誘致し、オブジェクト&スクリプト制作を請け負えば、収支は成立するが。要はビジネスモデル構築がシム所有の決め手だといえよう。
それにしても、我々無料会員は、ホームレスのシミュレーションをさせられているようでもあり、ともすれば将来を暗示するかのように思われ、気分は複雑である。
注1.オブジェクト制作のために自由に使えるSL上の公共空間。
日本語SL参考書
○三淵啓自:セカンドライフの歩き方,ASCII,2007.4.
○マイケル・リマズイスキー他:セカンドライフ公式ガイド,インプレスR&D,2007.6.
○セカンドライフの作り方,ASCII,2007.8.
○ウェプインパクト:リンデンスクリプト入門,インプレスR&D,2007.8.