多くのシムをフィールドサーベイしていると、制作者の環境に対する認識の程がよくわかる。例えば河川と敷地といった、環境が変化してゆく境界部分の扱い方に、その差がよく現れている。ファーストライフ(FL)では、こうした性質が異なる環境をつなぐ境界を、特にエコトーン(移行帯)と呼ぶ。そこには、水域から陸域へ、森林から農地へと、地形や土地利用が変化し、多様な生物が生息、生育、繁茂する固有の生態系がある。通例葦など被われた水辺や湿原、水鳥が集まる干潟となっている。エコトーンは、前述した建築と街路との間の敷際と同様に、自然界の際、マージナルスペースである。私達の日常生活体験の中でエコトーンは、誰でもが一度位は体験し、暗黙のうちに認識されている空間だと思われる。例えば水域でヤゴが成長するとトンボになり、カエル、ホタル、ゲンゴロウ、ドジョウ、メダカと書けば、子供の頃の遊び場だった原風景が、記憶にあるだろう。
セカンドライフ(SL)で、エコロジカル環境を制作表現しなければならない必然は、現時点では少ない。だが、人々が子供の頃の原風景を持っている以上、SLにおいてリアリズムを目指すのであれば、エコトーンは必要な制作要素である。
マナティー・リゾート・アイランドでは、エコトーンを、クリーク沿いや、奥まった水路に制作配置している。それらは、このシムを訪れるアバター達の目に入る可能性は少ない程に、目立たない存在である。だが少なくとも陸地から水辺に至る風景の、シームレスなつながりは感じてもらえるだろう。現時点では、SLの植生ライブラリーがまだ十分ではないので、配置した種類などに於いて完全なリアリズムとは言い難い部分がある。それは今後の検討課題としているが・・・。
もう一つリアルな話があった。古来日本の農家では、よしずや、すだれといった生活用具の材料として使用するために、水辺の葦などは刈り取られてきた。私達が制作したシムに於いても、既に配置した植物オブジェクトを刈り取る場面があった。それはシム全体のプリム数に制限があるため、他のオブジェクト制作用プリムを捻出しなければならない時だった。皮肉なことに私達が予期せぬところにも、リアリズムが出現してしまった。SLには、予期せぬ面白さがあるようだ。
セカンドライフ(SL)で、エコロジカル環境を制作表現しなければならない必然は、現時点では少ない。だが、人々が子供の頃の原風景を持っている以上、SLにおいてリアリズムを目指すのであれば、エコトーンは必要な制作要素である。
マナティー・リゾート・アイランドでは、エコトーンを、クリーク沿いや、奥まった水路に制作配置している。それらは、このシムを訪れるアバター達の目に入る可能性は少ない程に、目立たない存在である。だが少なくとも陸地から水辺に至る風景の、シームレスなつながりは感じてもらえるだろう。現時点では、SLの植生ライブラリーがまだ十分ではないので、配置した種類などに於いて完全なリアリズムとは言い難い部分がある。それは今後の検討課題としているが・・・。
もう一つリアルな話があった。古来日本の農家では、よしずや、すだれといった生活用具の材料として使用するために、水辺の葦などは刈り取られてきた。私達が制作したシムに於いても、既に配置した植物オブジェクトを刈り取る場面があった。それはシム全体のプリム数に制限があるため、他のオブジェクト制作用プリムを捻出しなければならない時だった。皮肉なことに私達が予期せぬところにも、リアリズムが出現してしまった。SLには、予期せぬ面白さがあるようだ。