J.ホイジンガの「ホモ・ルーデンス(遊技的人間)」[注1]の考え方に立てば、人生究極目標の1つはリゾート暮らしかもしれない。リゾートとは、re=たびたび、sort=人が滞在して居る、という意味であり、人々がたびたび訪れ長期滞在できる保養地、というのがファーストライフ(FLと言う)での定義だろう。
私は、その数を数えたわけではないが、セカンドライフ上には、リゾート・シムが多く見られる。それは人生究極目標への憧憬性の表現といえるのかもしれない。セカンドライフのリゾート・シムは、2タイプに大別できよう。1つは最も多いタイプであり、風光明媚なビーチ等を中心とする設えの環境演出タイプ。ただし環境の良さが評判となりナンパプレイスとして賑わっているシムもある。2つは、情報探訪やエンターテイメントがあるビレッジタイプ。マナティ・リゾート・アイランドは、他との差別化といった視点から、後者の制作方法を採用した。ビレッジタイプの場合、シム制作には建築要素のデザインが必然的に伴う。本ブログでは2回にわたり、建築要素による風景の制作方法のポイントをまとめた。
セカンドライフでは、隣接シムがない限り、その周囲の風景は、水平線し見えない。ランドスケープ・デザインの立場からみれば、 こうした単調な風景は、さあ何でも制作してくださいと言われているようだが、実は、デザインの手掛かりが掴みづらい設定だと思う。そこで概念的に考えれば、水平線は幾何学形態でしかない。幾何学には幾何学を持ってのぞむといった同質的関係性を形成すれば、当然調和する風景になるだろうということは、FLでも経験していることである。そこで、幾何学形態だけで構成された建築要素をデザインし、シムの南側に配置した。上図が示すように、同質的な関係性だから、このシンプルな風景は必然的に調和している。最も簡単な風景形成方法であり、これだけで終われば、我々の作業の簡単であったが、これでは当初目的のビレッジにはならない。
シムには、集客上居住区や映像ホール、そして環境全体形成のための植栽や装置が多数出現してくる。なによりも、ビレッジタイプとしての風景をつくらければならない。当然そこには、数多くの環境構成要素が入り込み、シンプルな風景は次第に浸食され、また、それの行為を排除することもできない。そこで、特定の風景部分だけを選定し、同質的関係性に影響を与えそうな他の要素を排除してゆく方法を用いた。例えば樹木などの位置や、他の建築要素の高さ制限である。
このように、阻害となる諸要素を排除してゆく方法を、減算的デザインと呼んでおく。つまり建築デザインは、引き算であるとする考え方である。FLの世界でも用いている手法である。
注
1)Johan Huizing:1872-1945.オランダの歴史学者:「中世の秋」,「ホモ・ルーデンス」他.
私は、その数を数えたわけではないが、セカンドライフ上には、リゾート・シムが多く見られる。それは人生究極目標への憧憬性の表現といえるのかもしれない。セカンドライフのリゾート・シムは、2タイプに大別できよう。1つは最も多いタイプであり、風光明媚なビーチ等を中心とする設えの環境演出タイプ。ただし環境の良さが評判となりナンパプレイスとして賑わっているシムもある。2つは、情報探訪やエンターテイメントがあるビレッジタイプ。マナティ・リゾート・アイランドは、他との差別化といった視点から、後者の制作方法を採用した。ビレッジタイプの場合、シム制作には建築要素のデザインが必然的に伴う。本ブログでは2回にわたり、建築要素による風景の制作方法のポイントをまとめた。
セカンドライフでは、隣接シムがない限り、その周囲の風景は、水平線し見えない。ランドスケープ・デザインの立場からみれば、 こうした単調な風景は、さあ何でも制作してくださいと言われているようだが、実は、デザインの手掛かりが掴みづらい設定だと思う。そこで概念的に考えれば、水平線は幾何学形態でしかない。幾何学には幾何学を持ってのぞむといった同質的関係性を形成すれば、当然調和する風景になるだろうということは、FLでも経験していることである。そこで、幾何学形態だけで構成された建築要素をデザインし、シムの南側に配置した。上図が示すように、同質的な関係性だから、このシンプルな風景は必然的に調和している。最も簡単な風景形成方法であり、これだけで終われば、我々の作業の簡単であったが、これでは当初目的のビレッジにはならない。
シムには、集客上居住区や映像ホール、そして環境全体形成のための植栽や装置が多数出現してくる。なによりも、ビレッジタイプとしての風景をつくらければならない。当然そこには、数多くの環境構成要素が入り込み、シンプルな風景は次第に浸食され、また、それの行為を排除することもできない。そこで、特定の風景部分だけを選定し、同質的関係性に影響を与えそうな他の要素を排除してゆく方法を用いた。例えば樹木などの位置や、他の建築要素の高さ制限である。
このように、阻害となる諸要素を排除してゆく方法を、減算的デザインと呼んでおく。つまり建築デザインは、引き算であるとする考え方である。FLの世界でも用いている手法である。
注
1)Johan Huizing:1872-1945.オランダの歴史学者:「中世の秋」,「ホモ・ルーデンス」他.