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オショロコマの森ブログ5

渓流の宝石オショロコマを軸に北海道の渓流魚たちと自然を美麗画像で紹介します、

2023年大千軒岳・ヒグマによる北大生死亡事故の経緯と考察 

2024-02-26 16:40:51 | ヒグマの被害など
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2023年大千軒岳・ヒグマによる北大生死亡事故の経緯と考察 






















2023年10月31に北海道渡島管内福島町にある大千軒岳(1072m)に、遭難者が出た場合の救助の下見に登山した消防署員3名が体長約1.7mほどの若いヒグマにおそわれた。襲われたのは福島消防署勤務の大原巧海さん(41)と阿部達也さん(36)、知内消防署勤務の船板克志さん(41)の三名。7合目付近( 標高約550m )で休息中、下方の登山道にのっそりと現れたヒグマは追い払おうと声を出した3人に向かって急に駆け上がってきて船板さんに襲いかかり馬乗りになった。大原さんがすかさず助けに入って持参していた山菜採取用小型ナイフ( 刃渡り5cm )で右目を狙ったが骨にあたり失敗。ヒグマは今度は大原さんに反撃、馬乗りになられて噛みつかれそうになった瞬間、大原さんはクマの喉元にナイフを突き立てた。クマはひるんで喉元にナイフが刺さったまま、もときた登山道を下っていったという。二人は脇腹や大腿部裏面をひっかかれるなどしたが軽傷。3人は登山を中止、下山した。

























その2日前、2023年10月29日、北海道大学水産学部海洋生物学科4年生の屋名池奏人(やないけかなと)さん(22)は一人で大千軒岳へ登山すると友人に告げ出かけたがもどらず、登山口には彼の乗用車があった。遭難の可能性があり松前署員が捜索を開始した。2023年11月2日に7合目付近の沢で、土砂や木の枝がかけられ食害されて損壊はげしい遺体が発見されDNA鑑定で屋名池さんと確認された。遺体の近くに喉元に致命傷となったナイフが刺さったヒグマの死体が発見された。ヒグマは当初1.7m ほどとされたが、死後の現地での実測値は体長1・25メートルで意外と小さい若いオスで栄養状態は比較的よかったという。ヒグマは屋名池さんを食べており、ヒグマ胃内容から屋名池さんのDNAが検出された。この場所から消防署員3名が襲われたところまでは約50mであったという。














以上の大千軒岳ヒグマ事故の概要は、連日断片的にTV 、新聞など報道各社が報道したものを取りまとめたものです。状況より、おそらく単独登山中の北大生が 2023-10-29 何らかの状況でヒグマに襲われ失血死の形で悲惨な最期をとげた。ヒグマは北大生を食べたが、食べきれず土砂や木の枝をかけて獲物をいったん隠したとおもわれます。このヒグマは 2023-10-31 に消防署員らに返り討ちになる少し前、隠した獲物に強く執着し、獲物を確認にいったと思われます。ヒグマは消防署員らをその50m先に発見し、隠した獲物をまもるために ?? 攻撃したとの解釈があります。しかしこれはどうみても論理的に理解しにくい。だって、秘匿している獲物よりもっともっと新鮮でおいしそうなのを、なんと3個体も発見したのですから。人間がいかに弱い生き物であるかはっきり学習したばかりの若いヒグマが何故3名に襲いかかったのか。さらなるおいしい餌と認識したと考えるのは不自然でしょうか。まあ、本当のところはヒグマに聞いて見なければわかりませんが。



このヒグマの不運は、この3名が普通の人間ではなく日々修練に励んでいる立派な肉体、運動能力、強い精神力を持つ現役の消防隊員であったこと、さらに偶然にも小さなナイフがヒグマ頸部に刺さり致命的な血管を損傷させたことです。刃渡り5cmのナイフは普通ヒグマの爪の前には非力すぎます。もし、消防隊員ではなく普通の人間3名であったなら、きっと1970年の日高山脈カムイエクウチカウシ山の悲劇(福岡大学生3名が犠牲)の二の舞になった可能性があります。カムイエクウチカウシ山の場合は一旦ヒグマのものになったリュックを取り返したのが原因とされ食害が目的ではなかったとされていますが、襲ったのは今回と同じく巨大グマではなく、2歳ほどの若い小型のメスヒグマであったという。












何を言いたいかと申しますと、クマ鈴、ホィッスル、爆竹、ラッパなどは、このヒグマには無効、かえってヒグマを寄せる結果になっています。



単独でゆこうが3名で行こうが襲われた場合の顛末は1970年の悲劇のようになった可能性は高い。



一旦スイッチオンになったヒグマにはクマスプレーなどまったく効かないことは、2023年の阿寒の釣り人襲撃事件でもはっきりしています。



結論はこのヒグマが悪いヒグマ(正規分布曲線のはずれに位置する問題ヒグマ)であったと言うことに尽きるのではないでしょうか。




一般的なヒグマ対策はいわゆる良いヒグマ( 人との遭遇を嫌い攻撃性は強くない )には有効ですがこのような問題ヒグマにはまったく無効であるばかりか逆効果であることを認識する必要があり、これらをごちゃ混ぜにしないよう注意が必要ではないでしょうか。





生態系や、そこに棲む生き物(ヒトも含む)の性格、嗜好、行動様式等はいつまでも同一とは限らず、むしろ刻一刻と変わります。従来のヒグマ学のみに縛られない柔軟な思考も必要かもしれません。






今回の事件でもわかるように問題ヒグマに襲われた場合、生還の可能性は唯一、かなわぬまでも戦うことにしかありません。





今回の事例からナタで頭を一撃などは厚い骨があり恐らく無効。胸部も胸骨・肋骨などあり同じ。腹部も有効な一撃はむずかしそう。





意外にも頸部の動静脈系を狙うのが最も有効でしょうか。実はこれをよく知っているヒグマ専門家の方が常に携帯しているすごい刃物を見せてもらったことがありますが、私も多いに参考にしています。





このほか眼前に開いたヒグマの口に鎌を突っ込み口を切り裂いて生還した例や、手負いにしたヒグマの反撃で危機に陥ったハンターが銃創から飛び出した腸を引きちぎって撃退、かろうじて生還した例などがあります。






参考資料とさせていただいた記事はすべて我が家で愛読・定期購読している北海道新聞から引用させていただきました。ヒグマ専従班の記者さんたちのさらなるご活躍に期待します。







ご参考までに。

今回の大千軒岳の大学生死亡事故は含まれません。





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2023年度北海道ヒグマ狂想曲

2024-02-26 15:12:48 | ヒグマの被害など
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2023年度北海道ヒグマ狂想曲。





最近、年余にわたり乳牛60頭を襲撃した恐怖のヒグマオソ18がついに駆除されましたが、この個体の検討から近年の自然環境の変化にともないヒグマの食性も大きく変化しつつある(恐らくエゾシカの激増が多くの意味で関係している)ことがわかってきました。激増したエゾシカに本来ヒグマが食べていた植物を大量に摂取され、一方では狩猟での射殺や交通事故の後、野外に放置されたエゾシカを食べるヒグマが増えているという。


本来菜食中心であったヒグマは肉食にも興味をしめすようになり、家畜や動物 ( おそらく 人間も? ) を襲うことは滅多にないという旧説は、もはや過去の幻想かも知れません。


知床で特に飼い犬を狙って食害し続けている悪名高いヒグマ RT はハンターたちの執拗な追撃を巧みにかわして今も健在です。


2023年、北海道では連日のように、郊外はもちろん公園学校人家近くにヒグマ目撃だの、民家敷地内侵入や工場生ゴミあさり、渓流釣り師襲われて瀕死の重傷だの、ハンターがヒグマに逆襲され重症だの、イトウ釣り師が喰い殺されただの、登山中大学生が喰い殺されただの、ナイフで反撃ヒグマを刺し殺しただのヒグマ記事は枚挙にいとまがなかった。


ヒグマやたら増えすぎたので減らせ( 私はずいぶん前からこの気持ちです )の声が高まるなか都会に住む非当事者お人良しさんたちからのヒグマ殺すなといった的外れクレームの嵐だの、草刈りだの電気柵だのヒグマにGPSを付け人家に近づいたら追い払おうだの( 誰がやるの? )、新聞・テレビ・マスコミは玉石混交のヒグマの記事ばっかりでうんざり、このところ食傷気味でした。


これまでこまめに切り抜いてきたヒグマ関連の新聞などの記事や、Web上のニュースの収集も今年は数が多すぎて、心底、ヒグマ情報の収集分析に疲れてしまいました。



本州、秋田県などでは増え過ぎたツキノワグマによる被害が深刻とのことですが、これと北海道のヒグマの状況をごちゃ混ぜにしたり、果てはカナダの安全クロクマのビデオまで登場させる低レベルテレビ番組すらありました。つい最後まで見てしまい、露骨な視聴率アップ作戦に加担してしまいましたが。



ただ昨今のヒグマ問題は、ほとんどのヒトにとっては所詮興味本位(ニュース性はとても高い)の他人事なのでしょうか。死人・怪我人も出ますが交通事故死や自殺者のほうが数においては、圧倒的に深刻である一方、一般的なニュース性はとても低い。



不運なヒグマ事故の当事者たちや、私のようにオショロコマをもとめて日常的に山奥(ヒグマの巣窟)へ入り込む人間以外にとっては、まさにどうでもよいいわば多少興味をひくニュースに過ぎないのかも知れません。



私は、ずいぶん以前よりヒグマが北海道に残された自然の収容能力をはるかに超えて増えており駆除が必要と考えてきました。みなさんやっと2023年あたりになって事態がのっぴきならない状況になっているのにほんの少しは気づいてくれたようです。


人間においても標準分布曲線のはじっこあたりに位置する危険な悪い人は必ず存在します。ヒグマにおいても個体数が増えれば所謂悪いヒグマは一定頻度で出現するでしょうし、ヒトとの軋轢でパニックに陥り突然悪いヒグマになる個体もでるかと思います。トラブルをおこすヒグマの多くはそのような個体で、これらを万難を排して駆除するのはヒグマと人間の共存をはかる上での必要条件です。



しかし、はっきり言ってもう手遅れ。ヒグマ問題は本質的には、いまやどうにもならなくなったエゾシカ問題と同じことになるかもしれません。



エゾシカは人間を襲うことはないがヒグマは違いますし、朱鞠内湖の釣り人死亡例では実際に人間を腹一杯になるまで食べています。その後湖周囲の山に設置したテレビカメラには、さらに多くのヒグマが映っており関係者を驚かせ、警戒させているようです。


道南の大千軒岳で大学生が食べられた事故のヒグマは、おいしい人間を狙って、さらに別の登山グループを襲撃した可能性が高いと考えます。



野生動物管理としては、いわゆる専門家とかいわれる方々も含めて、毎度のことながら結果として本当にお粗末。いまだに現状では事実上不可能になったヒグマとの共存を大前提に、山のドングリ不作 etc とクマ鈴、ホィッスル、草刈り、電気柵レベルの旧態依然の域をでないさみしいコメントしかないのは、失笑するほどにさびしい。


いわゆるヒグマ研究者の多くはヒグマを心の底から愛している方が多く、どうしても増え過ぎたヒグマを駆除するという発想に至るにはとりわけ慎重で、いわば決して駆除の方向には心が動かないのは心情的に理解でき、考えてみれば当たり前のことです。増えたというが、その科学的根拠は ? etc……というほうの時間稼ぎのほうに気がいってしまうのは当然と言えば当然です。



ヒグマが人間との軋轢なく好ましい状況で生存できる広大な自然環境は現在の北海道では十分ではありません。長年、ヒグマ駆除の手綱をゆるめた状況が続いた結果、増えたヒグマが、人間と共存できる収容能力を遙かに超えて増えてしまったことは、いまや小学生でもわかる理屈ではないでしょうか。



またこういったヒグマ問題に本気の熱情をしめす人の顔が、私の知る限り、専門家といわれる方々も含めてどこにもまったく見えてこないのもとても気になります。現在、最も情熱を示しているのはもしかすると北海道新聞のヒグマ担当記者さんたちかもしれません。




おそらく運悪く心ならずも行政(お役所)レベルのヒグマ担当者とされた方々は、私たちだって片手間ではなく一生懸命やっているのだ、ということでしたら、どうぞ聞き流して下さい。実際問題としては、そういった皆さんがたに頼るしかないのが現状なので、誠にごめんなさい、今後に期待します と言うより仕方がないのがつらいところです。



いろいろ述べましたが、かくいう私自身も問題ヒグマ駆除( ところで一体だれがやるの?  ただみたいな報酬や、諸経費、万一の場合の補償などの費用はどうするの? )以外には名案がないのがさみしいところです。



それでも、やっとヒグマが増え過ぎたとの認識がなされたようで2025年から環境省の絶滅の恐れのある地域個体群LP ( レッドリスト) から除外される見通しになり、2024年4月からは国からの助成金が期待される管理鳥獣指定となる予定で、人間の居住地に近い地域を中心に行われる春グマ猟も解禁になりましたがこれらの成果に期待したいところです。



この際、駆除数や棲息状況のモニタリングはこれまで以上にしっかり行う必要があるのは言うまでもありません。



12月に入り雪が降り、多くのヒグマたちが冬眠に入ってくれると 2023年度ヒグマ狂想曲も多少はおちつくと思われます。2024年はどのようなヒグマ協奏曲になるのでしょうか。北海道新聞のヒグマ担当記者さんたちの活躍に期待します。



問題の性格上、長ながとしたお話になってしまい申し訳ありません。



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