
秘境知床-地の果てのオショロコマ その2 MO川
恐怖の釣り、4頭のヒグマの足跡と美しいオショロコマたち
20XX年11月27日。PK 川に続いて知床半島羅臼側のMO川へ上陸した。ここはまさにヒグマの巣窟だ。
川の付近には10数頭の鹿の群がいた。夏場はうっそうとしていてヒグマとの接近遭遇の危険度が高い。
初冬の川は草木の葉が落ちて遠くまで見通せる。
ヒグマが寄ってきたらすぐ逃げ出す算段でおっかなびっくり、あたりに気を配りながらの釣りになった。
沖合にいた漁船が私たちを発見して、いぶかしげに岸よりしてきたので手を振った。

まず爆竹や熊よけラッパを鳴らしたがゴウゴウとした川の流れの音にかき消され、ほとんど効果はなさそうだ。

不思議なことに、こんな立派な渓流なのに魚信がなかった。

おまけに昨夜の新雪にどっきり、巨大なヒグマの足跡だらけで、少なく見積もっても4頭はいそうだ。

かなり上流まで遡行したが、はじめはまったく魚信がなく、とうとうあきらめて引き返そうとした頃やっと最初の一匹が釣れた。
そのあとは、せきを切ったように釣れ始めた。
この川の典型的なパターンを示す♀の個体。体色は明るく、赤点紋理は細かくオレンジ、朱色、ピンク色と個体によって色調が変化する。

個体によっては赤点の周囲が淡く青でくどられたりもする。♀の腹部は白っぽくうっすらと朱を帯びている。


とても元気がよくて急流で暴れるので、撮影するのはなかなか大変であった。







釣ったオショロコマたちは出来るだけ手早く撮影して丁寧にリリースした。
1時間ほどで恐怖心と好奇心がごちゃまぜになった釣りを終了し、沖合の船を呼んだ。

