仕事柄、どうしても気になってしまうため先日の「織田悠久ロマンの杜」でも
茅葺業者と少しお話しをさせてもらう。
下の写真は蕎麦を頂いた「朋楽館」の天井から一部、茅葺屋根の裏側が
見える所。
本来、囲炉裏の煤で黒くなっているべきところがなっていない。
杉の柱や松の梁が黒いのはOS(オイルステン)を塗って、それ風にしてある
だけのもので、ここはやはり先日、土花亭事務所が施したように「渋墨」
を塗るべきところ・・・。
本題の茅葺に話を戻すと今回、施工にあたっているのは岐阜県の業者。
材料の茅は御殿場から仕入れているとのこと。
見てお分かりのように茅の穂の部分を上に向けて葺く「本葺き」。
通常、個人や集落で地元人が葺く場合は穂を下に向けて葺く「逆葺き」が
多用されるも、その場合持ちが悪く通常30年サイクルとも言われる葺き替えが
短くなってしまう。但し、茅の材料は半分で済むとも言われるため予算的にも
判断に悩むところで、それぞれ一長一短。。。
今や入手困難と言われる「茅」。 刈り入れ時にはどうしても反っているため
一冬寝かして真っ直ぐにする必要がある。
この辺りの茅葺も例に漏れず、痛みが激しい茅葺屋根の丁度、上面半分を
取り除き、葺き替えを施している。
通常、茅葺屋根の葺き替えに掛かる費用は500万円以上。
これを個人住宅で30年サイクルとはいえ負担するのは相当厳しい。
新築で建てた場合は通常、屋根から下の部分より屋根自体の方が高くつくと
言われる「茅葺」。
既に個人で維持することは難しく、こういった公共の建物でないと無理なんで
しょうねっ・・・。
因みに、この茅葺の葺き替えの時に漂う匂いと埃。
今から45年ほど前に一度だけ経験しています。母方の田舎の隣の建物が立派な
茅葺で当時、ご近所連中総出で葺き替えをやっているのを埃を手で叩き、独特の
匂いを嗅ぎながら見ていた覚えが・・・。
それが「本葺き」だったのか「逆葺き」だったのか・・・。
覚えている筈もありません。(笑)