見つけてから6分ほどで勝負がついた。口のあたりに噛みつくと間もなく今度は胸のあたりに食いつき、毒液を注入している。この毒液はカマキリを殺すためではなく、麻痺させて生かしておくので腐ることなく保存できる。クモはこの後獲物を糸でぐるぐる巻きにしたはずである。そして、クモは少しずつカマキリの体液を吸って、吸い尽くすと邪魔になった抜け殻を捨てるのである。とても残酷なようだが、カマキリにしても捕らえた獲物を頭から丸かじりしてしまう。昆虫の世界の食う食われるの関係は人間から見るとぞっとするところがあるが、生物が生きてゆくというのは基本的にはそういうことなのだろう。
カマキリがジョロウグモの巣にひっかかっているのを見つけた。クモは獲物を逃すまいとカマキリに向かおうとしている。どちらも肉食なのでカマキリも鎌をもたげてそう簡単に餌食になるまいとしている。しかし、この勝負クモに軍配が上がるのは間違いないと思った。カマキリは自由に動けないし、この大きなジョロウグモに立ち向かうにはカマキリは小さすぎるように思えたからだ。