Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

東京シンフォニエッタ

2013年12月13日 | 音楽
 昨日は(忘年会をふくめて)予定がなにも入らなかったので、東京シンフォニエッタの演奏会に行ってみた。

 1曲目は入野賞(今は亡き作曲家の入野義朗をしのんで設立された作曲賞)の2012年の受賞作品、ニコラス・ツォルツィスNicolas Tzortzis(1978‐)の「声のない、、、」Voiceless。途中からピアノに旋回するような音型が出て、それをヴィブラフォンが模倣し、さらにチェロが加わる部分が、わかりやすいといえばわかりやすいが、ちょっとステレオタイプか‥。

 2曲目はエリオット・カーター(1908‐2012)の「クラリネット協奏曲」(1996)。エリオット・カーターは昨年亡くなった。享年103歳。その年もさることながら、100歳を超えても現役で作曲を続けていたのだから恐れ入る。この作品は88歳のときの作品。初演はアラン・ダミアンのクラリネット独奏、ピエール・ブーレーズ指揮のアンサンブル・アンテルコンタンポラン。

 とてもじゃないが、老人(といっては失礼だが)の作品とは思えない曲だ。まったく枯れていない。高齢になっても元気な人によくあるように、なんのこだわりもなく、自由奔放、気の向くまま。だが、演奏はその味を出せただろうか。わたしには真面目すぎると感じられたのだが。

 3曲目はジョナサン・ハーヴェイ(1939‐2012)の「バクティ」Bhakti(1982)。ジョナサン・ハーヴェイも昨年亡くなった。サントリー芸術財団の2010年サマーフェスティヴァルで「ボディ・マンダラ」を聴いて、ものすごく面白かったので、気になる存在だった。その訃報に接して、他の作品も聴いてみようと思っていた。

 「バクティ」はパリのIRCAMで作られた室内オーケストラとエレクトロニクスのための作品。舞台上には室内オーケストラと2台のスピーカー、さらに客席後方にも2台(多分)のスピーカーが設置されている。透明感のある音響、それにドラマティックなインパクトもある。でも、約50分の演奏時間は長かった。それだけの時間をもたせるためには、演奏にもう少しハッタリが必要だと思った。残念ながらこれも真面目すぎて、意気が上がらなかった。

 メンバーはいずれ劣らぬ名手ぞろいだが、失礼ながら、その演奏は面白みに欠けた。

 本音をいえば、こういう演奏会にわたしのような素人の音楽好きも集うような日が来てほしいのだが、そのためには‥。
(2013.12.12.東京文化会館小ホール)
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