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「五百羅漢図」は東日本大震災の後、鎮魂の祈りとして制作されたのだそうです。
高さ3メートル、全長100メートルという大作は
「白虎」「青龍」「朱雀」「玄武」と4つのパートに分かれて展示されていました。
日本の美術館にしては珍しく撮影可ということだったので、iPhoneで撮りまくりました。
でも大きすぎて、とっても撮り切れない。
もの凄い迫力です。
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羅漢というのは、阿羅漢ともいい、
仏教において尊敬や施しを受けるに相応しい聖者のことなのだそうです。
でもここに描かれた500人の羅漢は、泣いたり怒ったり笑ったり、
肩に亀を乗せていたり、頭から木が生えていたり、ヘンな人たちばかり。
聖獣やら鬼やら妖怪やら、訳の分からないものもいっぱい。
そのダイナミックな大きさと色の洪水に只々圧倒されます。
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私の下手な感想よりも、村上氏の言葉を。
”五百羅漢の発生は日本文化そのものだった。
釈迦の教えを広めた羅漢と、それが500人いるということはまったく無関係で、
日本人にとっての宗教、哲学は常に流動的で、いい加減。
でも、いい加減なものにすがって浮世を生きていくのはある種のテクニックです。
日本は天災が多い。次の日のことを考えるより、今の災難を忘れることに
重きが置かれた文化から生まれた五百羅漢は、非常にリアル。
だったら、これを描いてみようと思ったんです。”
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達磨大師も、村上氏にかかるとこうなる…
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六本木ヒルズ、53階の森美術館にて。
村上隆の五百羅漢図展 http://www.mori.art.museum/contents/tm500/