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新国立劇場で観る「魔笛」は2回目です。
モーツアルトの最後のオペラといわれるこの作品は、何度観ても楽しい。
森や神殿を舞台にした、愛と冒険のファンタジー。
指揮はロベルト・パーテルノストロ、演出はミヒャエル・ハンペ。
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今回のパンフレットの中で興味深かったのは、
この作品の中にはフリーメイソンの思想が至る所に隠れているのを読み取る必要がある、
という岡田暁生氏の解説。
彼の説によれば、モーツアルトだけでなく、ゲーテやシラーやヴォルテールなど、
18世紀後半の啓蒙思想家の殆どが、フリーメイソンの関係者であったのだそうです。
「魔笛」に頻出する「3」という数字ー3人の侍女、3人の童子、3つの試練、3つの和音等は
フリーメイソンにおいては重要な象徴的な意味を持っていたこと、
ザラストロのモデルは、ウィーンのフリーメイソンの指導者ボルンという人物だったといわれること、
タミーノが受ける試練は、フリーメイソンの入信儀式をそのまま再現したと思われること、
その他「魔笛」とフリーメイソンの直接的関係は、枚挙にいとまがないのだそうです。
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そう思って見ると、あの舞台上の、非日常的な儀式の様子に納得できるような気がします。
タミーノとパパゲーノに何故与えられるのか分からない、様々な試練にも。
そんなことを考えるまでもなく、夜の女王のコロラトゥーラによる超絶技巧アリア、
パパゲーノの「おいらは鳥刺し」やパパゲーナとの二重奏「パ・パ・パ」などは
本当に楽しいのですが。
短い動画ですが、こちらでその様子が少しわかります。