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ラホールという都市のことを私はろくに知らなかったのですが
かつてはムガール帝国の中心であり、芸術が栄えた一大文化都市であったのだそうです。
それが、イスラム軍事政権やタリバンの台頭によって音楽活動を禁止されてしまった。
伝統音楽の演奏家たちは仕事を失うどころか、楽器を壊されたり、鞭打ちの刑にあったり。
近年ようやく活動を再開するも鳴かず飛ばずで
起死回生を図ってジャズの名曲をカバーする。
これがネットで評判になって、ウィントン・マルサリスが彼らをNYに招待、
本場ジャズのビッグバンドと共演し、喝采を浴びるまでのドキュメンタリー映画。
よかった~!
ボロい服を着たり、歯が抜けたりしているパキスタンの無名の音楽家たち。
サッチャル・ジャズ・アンサンブルという名前も私は知らなかったのですが
彼らの独特な民族太鼓とビッグバンドのドラム、
原始的に見える(竹を切っただけのような)横笛とピカピカのフルート、
何処までが即興かも分からない、その競演が鳥肌モノに素晴らしいのです。
あのジャズの名曲「テイク・ファイブ」をこんな風に演奏するなんて…
ちなみに「テイク・ファイブ」というのは五分間休憩とか五拍子という意味、
この曲は五拍子のリズムなので、そのまま曲名になったらしい。
有名なトランぺッター、ウイントン・マルサリスのライヴを
私は80年代のNYのスィート・ベイジルで聴いている。
ジャズにてんで疎い私が、何故その時そこに行ったのかまるで覚えていないのですが
とにかく聴いたことは事実(そこが大事!)。
童顔の彼の、今もなお素晴らしい演奏と、パキスタンの民族音楽の競演を
心から楽しませて貰いました。
その演奏の様子を、是非予告編でご覧ください。