Zooey's Diary

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「添乗員撃沈記」

2021年06月05日 | 

”海外をほっつき歩きすぎて、他に出来ることもなく添乗員になった”(amazonより)という著者の泣き笑い旅行記。
本書ではギリシア、東アフリカ、ドイツ・ベネルクス、シルクロードの4ヶ所が取り上げられています

何といっても面白かったのは、シルクロードの旅編。
秘境専門の旅で売るY旅行会社が企画した「シルクロードを歩いてみよう」というツアー。
モスクワ経由でウズベキスタンのタシケントに入り、サマルカンド、トルクメニスタン、アゼルバイジャンを通過してイスタンブールまで、陸路3週間で目指すというもの。
貸し切りバスも使わず、交通機関は現地で調達、宿も現地で見つけながら進むと。
しかもトルクメニスタンなど日本ではビザが取れない国もあり、旅行しながらビザ取得。
ビザを取るのに何日かかるかも分からない、パンフにも途中終了もあり得るという但し書きつき。
そんなツアーがあったということにまずビックリ。

8人の参加者、そしてロシア語ができるという新人女性社員のアシスタントを連れて著者は出発するのですが、いきなりモスクワの空港で半日待たされ、しかもその間、拘束状態(これは私も経験あります)。
タシケントではクーラーも扇風機もない、シャワーとトイレは共同という安ホテルしか取れなかったりと波乱尽くし。
街なかでは警官にいきなりパスポートを取られて賄賂を要求されたり、参加者が熱中症になったり、長距離移動のバスがクーラーもなく、窓も開かずにサウナ状態であったり。
挙句の果てはビザが予定の1週間では取れず、何度も領事館に足を運び、参加者たちの間で喧嘩が勃発。
カスピ海では予定していた船が来ておらず、イスタンブールに辿り着けず、途中終了になることに。

これはツアーというよりは、団体の個人旅行という感じか。
貸し切りバスに乗ったきりで、添乗員の旗の下に連れ回されるというツアーよりは余程面白いかもしれないけれど、若い時ならともかくこの歳になって、40℃の炎天下でクーラーなしや、共同トイレの部屋は嫌だなあ。
でもこの著者は本当に旅行が好きなようで、どんな悪条件にもめげず、参加者たちから非難轟々の目に遭いながらも、それでも仕事を楽しんでいることが伺い知れて面白い。



ついでにこの著者の「腹ペコ騒動記」も読んでみました。
題名通りの旅グルメエッセイで、キューバの海老御飯、北朝鮮国境の焼き蛤、スペインのタパス、タイのアヒルラーメン、ノルウェーの鱈のスープ、ウズベキスタンの串焼き羊肉、トルコの鯖サンド、オランダのコロッケ、南イタリアのウニ尽くし、レモンピザ…
これでもまだ、本書で紹介されている美味しい物の半分以下。
どれもこれも本当に美味しそうに書いている。
この人はつくづく好奇心旺盛なのだなあと。
私の友人に、日本在住のアメリカ人ですが、自分の知っている味しか食べないという人がいます。
折角日本に住んでいるのに、刺身なんてとんでもない、ズルズルすする麺類も嫌、臭くて辛いキムチも嫌だと。
とってもいい人なのですが、食べることに関してだけは非常に保守的なのです。
まあそれは人の勝手なのですが、もったいない話だなあと思ってしまう。
世界は美味しいもので溢れているのだから…

「添乗員撃沈記」

コメント (8)
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