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Zooey's Diary

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「あのこは貴族」

2022年01月06日 | 映画

山内マリコの同名小説が意外に面白かったので、映画も観てみました。
東京に暮らす、まったく違う生き方をする二人の女性が思わぬところで出会い、自分の人生を切り開こうとする人間ドラマ。
東京の上流家庭、金持ちの家の末っ子として生まれ、皆から可愛がられて育った華子(門脇麦)。
地方の漁師の娘として生まれ、猛勉強して慶応大学に入ったものの、金欠で夜のバイトが忙しくなり中退してしまった美紀(水原希子)。
華子が何度もの見合いの末にようやく見つけた理想の結婚相手、資産家の息子の幸一郎(高良健吾)は、実は美紀を愛人にしていた…

華子の友人の逸子が、幸一郎の愛人の美紀の存在にふとしたことから気が付き、華子と美紀を引き合わせます。
女同士のバトルが始まるかと思いきや、逸子は美紀を責める訳ではない。
美紀は華子を見て、自分とは違う世界の人間だと悟り、幸一郎とはもう会わないと誓います。
ここは綺麗過ぎる気もしますが…



幸一郎にとっては、華子は自分の家柄に合った婚約者であり、美紀は10年もの間のセフレであった訳です。
その後、幸一郎と場末の中華レストランで会って別れを告げる、美紀の台詞が悲しい。
何故?と問う幸一郎に
「だって悲しいじゃん。この10年間、幸一郎が一番の友だちだったから。私がどこで生まれたかも知らなかったでしょ?」

しかし恵まれているように見える幸一郎も華子も、実は家に縛られ、親の敷いた路線を走るしかないという不自由さに生きている。
その点、人生を自分で切り開くことができる美紀の方が恵まれているのかもしれない。
そして美紀に再会した華子は、生まれて初めて、自分の足で歩き出すという決断をするのです。



女性監督ならではの細かい、優しい視点があちこちに感じられたことが、映画への共感をもたらしたのかもしれません。
見慣れたレストランやカフェのシーンが出て来ましたが、多少の脚色も。
最初に華子が親族とのお正月の会食に向かうシーン、入り口は帝国ホテルでしたが、料亭は椿山荘の「錦水」ですね。
そして華子が美紀に初めて会う、ポスターの写真にも使われている高層階のカフェ。
そのシーンの中で華子が三井家のお雛様展のチケットを取り出し、日本橋に行くのならと母がくれたと。
となると当然、日本橋三井美術館の向いにあるマンダリン・オリエンタルの最高階ラウンジになると思いますが、調度品など、どうも様子が違う。
調べてみたら、池袋のサンシャインシティ59階にある「GINGER’S BEACH SUNSHINE」(そこは未訪)なのだそうです。
華子が幸一郎に初めて会うのは、青山の一軒家レストランのエトゥルスキ。
華子と女友達がアフタヌーン・ティをするのは、シェラトン都ホテルのラウンジ。
懐かしく思い出しました。

私の大学には、たまにとんでもない金持ちがいました。
入学して初めての夏休みを迎える頃、その予定を話していて、パリのアパルトマンを1ヶ月借りてルーブルに通うわと言った友人に驚きました。
40年前、格安航空券なんてなかった頃の話です。
私は多分、華子の世界を少しだけ知っている、美紀の世界の人間です。

「あのこは貴族」 

コメント (2)
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