Zooey's Diary

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「ハロルド・フライのまさかの旅立ち」

2024年06月21日 | 映画

イギリスの南西部に住むハロルド・フライ(ジム・ブロードベンド)は定年退職後、妻モーリーン(ペネロープ・ウィルトン)と平穏な日々を過ごしていた。ある日、北部に住むかつての同僚クイーニーから、ホスピスにいて余命幾ばくもないという手紙が届く。
近所のポストから返事を出そうとしたハロルドは、思う所あって800K離れたクイーニーのもとに、そのまま歩き始める。

「私は歩き続ける。君は生き続ける」
「死ぬな。死んじゃ駄目だ」
呪文のように唱え続けながら歩くハロルドの過去が、段々と明らかになっていく。
息子への後悔、妻との不仲、クィーニーへの恩義。
ハロルドの歩く姿がSNSに投稿されて人気者になり、やがて大勢の人々、そして犬までもついて来るが、これはおかしいと気づいて、また一人で歩き始める。



後半、ハロルドが余分なものは要らないと財布やクレジットカードなどを家に送り返すところではハラハラしました。
農家の処分野菜を食べ、納屋の隅や森の中で野宿をしながら、ひたすら歩く。
どうしてそこまでするのかと不思議に思いますが、ハロルドには息子への贖罪の思いがあった。
できのいい自慢の一人息子はケンブリッジに進むが、そこで挫折し、破滅していたのでした。

人生において大きな後悔を抱えた人間は、それをどうやって贖うことができるのかということを示唆するような映画です。
しかし、破滅の道を選んだ子供に対して、親は何処まで責任を取らなければいけないのかとも思う。
無論、アンタのせいじゃないよと誰が言った所で、親は一生自分を責め続けるのでしょうが…



2ヶ月以上かかってボロボロとなりながら、ようやくたどり着いたホスピスでの再会シーンは、呆気なく終わってしまう。
この旅は、「今まで最後まで成し遂げたことがない」というハロルドが、とにかく何かをやり遂げるためのものだったと思えてきます。
途中で加わった小さな犬は、「ボクここにいてスミマセン」みたいな顔をしていてなんとも愛らしく、ハロルドの胸に抱きしめられて夜を明かしたりしていたのに、突然彼から離れて行ってしまう。あれには疑問が残りました。この原作者は犬を飼ったことないのじゃないかしら?

世界37カ国で刊行されたレイチェル・ジョイスの同名小説を、原作者の脚本で映画化。
原題は「The Unlikely Pilgrimage of Harold Fry」。
広大な丘陵、緑滴る田園風景、煉瓦造りの住宅街といったイギリスの光景を満喫することができます。

公式HP 

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