以前は毎年のように行っていた雅叙園、コロナ禍以来久しぶりでした。
百段階段の今年の「和のあかり」展のテーマは、妖美なおとぎばなし。
竹取物語、葛の葉伝説、見るなの花座敷、天女の羽衣などが取り上げられ、猛暑の中のいっときの涼を感じる空間でした。

「葛の葉」伝説は、Wikiによると、摂津国阿倍野の里に伝わる狐と人間の恋の物語。
男が助けた白狐が、葛の葉という名の若く美しい女性となって現れ、二人は結ばれるが、やがて息子に狐であることがバレてしまって森に帰る。

「見るなの花座敷」というのは、山で道に迷った男が大きな家に泊めて貰い、もてなされるままに長居するが、絶対に見てはいけないという奥座敷を覗いた途端、ウグイスの一声と共にすべてがなくなってしまったという話。

どちらも悲しい話なのですが、この「見るなのタブー」をモチーフにした話は、世界中にあるというのが面白い。
私ですら知っているのが、聖書の中のソドムとゴモラが滅ぼされるとき、神から町の方を振り返るなと言われたのに見た人間が、潮の柱になってしまったとか。
ギリシヤ神話の、パンドラの箱を開けてしまった話とか。
日本神話で黄泉の国のイザナミを追いかけたイザナギが、妻の顔を見てしまった話とか。

人間、見ちゃいけないと言われたら、そりゃ見たくなるよね。
雅叙園は「昭和の竜宮城」と言われるように、分かりやすく豪華な美に満ちていると思うのですが、思ったほどインバウンドが多くなかったことに驚きました。
まだ気づかれていないのか、残念なようなホッとするような。
雅叙園の「旬遊紀」、〆の麺類撮り忘れ。