Zooey's Diary

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反田恭平「終止符のない人生」

2023年01月02日 | 

隔離期間中に読んだ本の一冊。
ショパン・コンクールで2位を取った反田氏がどのような境遇に生まれ育ち、どのようにしてあの栄冠を勝ち取ったのか、興味がありました。

反田恭平1994年生まれ、名古屋にいた3歳の時、ヤマハ音楽教室に通い始める。
4歳で東京に引っ越すと「一音階ミュージックスクール」に通い、その頃から音当てクイズが得意で周りを驚かせる。
しかし本人はサッカーの方に夢中でピアノはその次だったのだが、11歳の時に試合中の事故で手首を骨折。そのあまりの痛さにサッカー選手になる夢を断念し、桐朋学園大学音楽部付属「子供のための音楽教室」に入る。
そして桐朋高校音楽科に入学。
反田家にもその親戚にも、ピアニストや音楽家は一人もいないのだそうです。
母上はスティービー・ワンダーが好きという程度、父上に至っては音楽にはまるで無関心だったと。

2012年、桐朋高校在学中に日本音楽コンクールで第1位に入賞し、その縁で国立モスクワ音楽学院に留学。
こちらがクラシック音楽の牙城であることは有名ですが、モスクワを旅行した際、サービス全般やインフラ設備のあまりの悪さに、留学生はどうしているのだろうと不思議でしたが、この本によるとやっぱり。
寮のトイレは便座がない、シャワーはお湯が出ない、しょっちゅう断水が続いてトイレも流せない、窓は壊れていてマイナス20℃の外から隙間風がビュービュー入る、タクシーにはぼったくられる、いきなり拳銃を突きつけられる。
そんな中で著者はピアノとロシア語を必死で勉強したのだそうです。
「一段劣ったアジア人」と教師陣からも差別的に見られる中、実技試験で主席を取ったら、途端に周りの態度が変わったのだと。

その後の活躍ぶりは周知の通り。
2015年、イタリアの「チッタ・ディ・カントゥ国際ピアノ協奏曲コンクール」で優勝。
2021年、第18回ショパン国際ピアノコンクールで第2位、これは内田光子さん以来51年ぶり。
3週間に渡って行われるショパン・コンクールの内幕が細かく書いてあって、その壮絶な様子に息を呑みました。
あのチョンマゲ風ヘアスタイルも、自己アピールのひとつだったのですって。
本全体から、物凄くアグレッシブな、何処までも強気の若者像が浮かんできます。
やる気のない草食系の若者が増えていると言われる今、頼もしい限りです。

桐朋学園の子供音楽教室から一緒で、ショパンコンクールで4位だった小林愛実さんのことにも触れられていて、彼女は誰よりも近しい、仲のよい幼馴染であり、尊敬するライバルであると。
その彼女との結婚&妊娠の報告が今日発表され、なんとも嬉しいお正月ニュースでした。



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2 コメント

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さすが (matsubara)
2023-01-03 09:00:56
コロナ禍でも読書家のAっちゃんは退屈しませんね。

私も反田さんの環境には関心があり、著書も図書館で
さらっと流し読みしました。

そのような環境でショパンコンクールでの好成績は
日本人として誇り高いことですね。
選曲にも作戦を立てて、さすがと思いました。

演奏も録画して聴きました。
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Unknown (zooey)
2023-01-03 22:49:28
もうよほど元気になりましたが
まだ疲れやすいです。
この本も、普段だったら一気読みするところですが
疲れてしまうので、何度か休みながら読みました。
あのショパンコンクールでの、選曲の内幕は凄かったですねえ?
あそこまで緻密に計算されていたとはね?
それも書きたかったのですが
力尽きてやめました。
長くなっちゃうしね。
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