昨夜のコスタリカ戦はいいとこなしの試合で、ガーッカリしましたが…
選手たちはもっとガッカリしているのでしょうね。
選手たちはもっとガッカリしているのでしょうね。
「あの家に暮らす四人の女」三浦しおん著
杉並の古い洋館に暮らす、詩集作家の佐知(37歳)と気ままな母、佐知の友人リアリストの雪乃とダメ男に甘い、その後輩多恵美。
開かずの間から河童のミイラが現れたり、多恵美がストーカーに付きまとわれたりと、日々の珍事に事欠かない。
恋愛や結婚ばかりがすべてではないと思わせる、女たちの笑いに満ちた緩やかな日々。
気の合う女4人で暮らす生活は、それは楽しいだろうけれど、綺麗に描かれ過ぎているような気もします。
一つ屋根の下に暮らせば、小さなアラが気になったり、一人若くて可愛く、デートにいそしむ多恵美に嫉妬したりとマイナスの面も多少は出てくると思うのですが…
世田谷の空の主、カラスが語り手になったり、抜かれる時に悲鳴を上げるという人型の植物、マンゴラドラまで登場する、しをんワールド全開の楽しい小説です。
「砂嵐に星屑」一穂ミチ著
大阪のテレビ局が舞台。
社内不倫の前科で左遷され、腫れ物扱いの四十代独身女性アナウンサー、娘からはマスゴミとバカにされ、同期の早期退職に悩む五十代の報道デスク、好きになった男がゲイで望みゼロなのに同居している二十代タイムキーパー女子、非正規社員の現状にぬるく絶望している三十代AD男子。それぞれが人生に悩み、絶望しているようすが、テンポの良い関西弁で語られる。
私は三章の女子の悲しみに心打たれましたが、彼女、結花の台詞が凄い。
”わたしのことを好きになってくれへんのなら、せめて一発やらせてください。
「何やねんお前、ほんま何やねん、最悪や、出てけ」
顔を背け、呻くような泣くような声を漏らす由郎を見下ろしているうちにだんだん衝動が収まり、遅まきながら冷静になってきて、「ごめん」と無意味な謝罪を残して離れた。好きな人が自分を好きじゃないこと、好きな人に優しくできないこと、あんな男にまんまとやられてしまったこと。蛇行し乱高下する結花の軌道は惑うどころか迷走の極致だった”
結ばれることがない人を好きになった結花の悲しみは分かるけれど、だからといって「せめて一発」とか、その相手と同居するとか、或いは他の男に安易に抱かれるという辺りが私には理解できませんが、それでもヒリヒリする痛みが伝わってきました。
全編を通して、生きることの息苦しさ、それにもがく人間たちへの応援歌を歌い上げたような短編集です。
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