Zooey's Diary

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「羊と鋼の森」原作と映画

2019年04月12日 | 映画


2016年の本屋大賞を受賞した宮下奈都の小説を読んだとき、
何て静かな作品なのだろうと思いました。
自信がない新米の調律師の外村が、ピアノの調律を通して社会と関わり合い、
自分の内面をも見つめながら少しずつ成長していく物語。
外村はピアノの音を聴いて、森の匂い、森を歩く時の感覚を思い出すような繊細さを持っており、
この本は、まさにその孤独な男の世界なのです。
原作を読んでから映画を観ると概ね失望することが多いし、
大きな事件が起きる訳でもない、調律関係の専門用語も多い、この静謐な物語を映像化したら
一体どうなるのだろう、という危惧があったのですが…



雪に閉ざされた北海道の冬、緑きらめく夏の森、透き通った水の画面。
そして随所に挿入されるピアノの旋律!
これは映像ならではのものです。
高校生のふたごの姉妹が連弾するシーンなど、本当に楽しい。

そして例えば、ひきこもりの青年のエピソード。
小説では、乱雑な一人暮らしの青年の家に外村が呼ばれ、15年間放置されていた
というピアノをなんとか調律し、それまで目の焦点も合わなかったような青年が
最初はおずおずと、次第になめらかにショパンの子犬のワルツを弾いたとそれだけの話なのです。
それが映画では、青年がピアノを弾き出すと、幼い頃に亡くした両親、
その後、彼の心の支えになっていたであろう愛犬の映像が
青年の弾く軽やかな子犬のワルツに載って、回想シーンとして出て来るのです。
これには、やられました。



エンディングには久石譲作曲、辻井伸行のピアノ。
題名の「羊と鋼の森」は、ピアノの中にある、羊の毛のフェルトでできたハンマー、
そしてそれが叩く弦は鋼、というところからつけられたようです。

原作と映画、双方を楽しませて頂きました。

「羊と鋼の森」本 http://tinyurl.com/y2ozykwg
       映画 http://hitsuji-hagane-movie.com/

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2 コメント

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Unknown (hiro)
2019-04-15 11:12:37
zooeyさん、おはようございます♪
桜と映画のオンパレード。素敵な毎日をお過ごしですね。
「羊と鋼の森」が映画化されていることは知りませんでした。
娘の孫息子がピアノ好きで、住まいが北海道ということも
あるので、機会があったらぜひ観てみたいと思いました。
直木賞を受賞した恩田陸さんの「蜜蜂と遠雷」も映画化され、
今年の秋に公開されるとのことですので、ちょっと楽しみです。
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hiroさま (zooey)
2019-04-15 22:28:53
こんにちは。
今年は長く桜を楽しめましたね。

ピアノがお好きで北海道にお住まいのお孫さんがいらしたら
これは観なくちゃですね。
本もよかったけれど、映像ならではのよさがありました。
「蜜蜂と遠雷」も読みましたが、色々なクラッシック曲をネットの動画で確認しながら読んだので、時間がかかりました。
映画が楽しみです。
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