Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

「じっと手を見る」「私の台所」

2022年08月07日 | 


「じっと手を見る」窪美澄著
富士山を望む小さな町で暮らす20代の介護士、日奈と海斗はかつての恋人同士。
日奈は東京から来る既婚デザイナーとの性愛におぼれ、日奈を思い続ける海斗は職場の後輩と肉体関係を続け、しかしお互いを思い切ることができないでいる。
寂しい生育環境、支えなければならない家族、厳しい介護の職場が、彼らを取り巻く。
視点人物が次々に切り替わる連作短編集で、登場人物の誰もが不器用で生きづらさを抱えている。
この著者の「ふがいない僕は空を見た」で泣きたいほどに感動したのですが、本作ではそこまでのヒリヒリ感は得られませんでした。


「私の台所」

名脇役だった沢村貞子さん、1996年に87歳でお亡くなりになったのですね。
きっぷのいい、曲がったことは許さない、背筋がしゃんと伸びた江戸っ子というイメージでした。
「私の浅草」「貝のうた」などと一緒にこの本も昔読んだ筈ですが、綺麗に忘れて再読。
「あんまりこぎたない格好をしていると、はたの人に気の毒だからね」とは、彼女を仕込んでくれた母親の言葉。
母のお洒落は、まわりの人に嫌な思いをさせたくない、という心遣いだった。
だから自分も、一緒にいる人たちに侘しい思いをさせないように、普段のお洒落に気を遣うようになったと。
そして、自分は若い頃から、つき合いの悪い女だったと。
”新聞の身の上相談をしていた時、「姉妹よりも仲良くして気を許していたご近所の奥さんに裏切られて…」という嘆きが多かった。お互いに求めすぎるから、傷がつくのだ”
だから「つかずはなれず」というのが、彼女の人付き合いのスタンスだったのだそうです。
この人の他の本も、また読み直してみたくなりました。


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2 コメント

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Unknown (mika)
2022-08-08 10:24:18
私の台所
私も読みましたが…忘れてます。
「つかずはなれず」よく母に言われました。
人にもモノにもつきすぎる傾向があるので…
私も再読しよう。
今週水曜日から夏休みなので…本読みたいな。
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mikaさま (zooey)
2022-08-08 23:10:44
私も綺麗に忘れていて、新鮮に読めました。
「つかずはなれず」難しいですけどね。
コロナで中々思うように外出もできず、
せっせと読書やお絵描きしています~💦
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