Zooey's Diary

何処に行っても何をしても人生は楽しんだもの勝ち。Zooeyの部屋にようこそ!

老いは死を経て再生する

2011年12月06日 | 
婦人画報ではよくお能や歌舞伎の特集をしているのです。
私はそうした記事については正直、それほど興味を持てないのだけど
これくらいは知っておかなくちゃという思いで読むことが多いのですが
今回1月号の「三番叟で何が起こったか」という特集は面白かった。



今年の9月「ふたりの狂言師とひとりの現代美術作家による前代未聞の試み」が
行われたのだそうです。
「三番叟」(さんばそう)というのは、「狂言師が神の依代となり大地を踏みしめ、
種を蒔き、五穀豊穣と子孫繁栄を願って」舞う演目なのだそう。
それを80歳の野村万作氏、46歳の萬斎氏父子が、現代武美術作家杉本博司氏の作品を
もとに創造した能舞台で舞い踊るという夢の競演。

野村父子の、ひとつの演目に対する取り組み方の違いが面白い。
万作氏「強さと抑制。その緩急で引き込む一体感こそが私の三番叟」
萬斎氏「生命の迸りを感じる三番叟で、その一瞬、神の領域を覗き込みたい」
萬斎氏の独特の解釈も興味深い。
「以前から私は『三番叟』と(ラベル作の)『ボレロ』の共通性に着目してきました。
死への跳躍を表現する『ボレロ』と生命の発露である『三番叟』は、一見まったく逆の
方向性を持っているようでいて、実はとても深い場所でつながっている」と。
「エネルギーの放射という点で、放電の瞬間を視覚化した杉本さんの『放電場』と
『三番叟』は重なります。
同じ旋律をひたすら反復する中でどんどんと求心力が高まって行き、
やがてそれが頂点に達した瞬間に訪れる、雷に打たれたような開放感。
放射とは性的エクスタシーの瞬間であり、新たな生命を宿す再生の瞬間と
とらえることもできる。
『三番叟』はなぜ老人の姿をしているのかという疑問も、
老いが死を経て再生する生命の象徴であると思えば、なるほどと納得できるのです。」
(萬斎氏談)

ううむ。
中々勇気づけられる言葉ではあります。
この命題には、他の言葉も当てはまりそうですから。
「若さは老いを経て再生する生命の象徴である」
「女は男を経て再生する生命の象徴である」
「更年期は老年を経て再生する生命の象徴である」
…語るに落ちたか。

「三番叟」がどんな演目であるか、動画を探したら出て来ました。
美しい舞いです。


(写真は萬斎氏。ネットから)
コメント (6)
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「人として。それだけ」

2011年12月04日 | 社会
昨日の朝日の夕刊に、久しぶりに嬉しいニュースが載っていました。
「日本人よありがとう 津波から生還のドイツ人一家」という見出し。



ドイツ人一家ユルゲン・シュピールベルクさん(72)、妻(67)、娘(33)の3人は
3月11日の震災当日、日本を旅行中で、宮城県多賀城市内で乗っていたタクシーごと
津波に巻き込まれたのだそうです。
”3人は運転手の指示に従い、タクシーの窓を開けて脱出。
民家のバルコニーに流れ着き、住人に救助された。
民家で一晩を過ごし、水が引き始めた12日、同県多賀城市の避難所に移った。
避難所では、一時帰宅した人から自宅で作ったおにぎりを分けてもらった。
「年長者だから」とユルゲンさんにはいつも一番大きなおにぎりが回ってきた。
携帯電話を貸してくれる人もいて、ドイツに残る息子に無事を伝えられた。”
3月15日には避難所から仙台市の国際交流センターに車で移動、その時
”避難所の人からそっと手渡された封筒を車内で開いた。
「ガソリン代に」と書かれたメモと現金。信じがたい思いで見つめた。”と。
一家はそこから色々な人の好意で新潟に移動、16日には新幹線で東京へ向かい、
翌17日にドイツへ帰国の途に着いたのだそうです。

「日本の皆さんは進んで手を差し伸べてくれた。こちらが驚くほどだった」と
感謝するユルゲンさんは帰国後、大震災で親を亡くした子供たちの支援活動に取り組んでいる。
すでに10万ユーロが集まったのだとか。

余裕があるときならともかく、誰もが極限状態の中で
見知らぬ外国人に手を差し伸べることができるか?
命からがら身一つで逃げ出した避難所で
「ガソリン代」を差し出すことができるか?
多賀城市の避難所で混乱の中、苦労して車を手配した市職員は
市役所前で信号待ちの車に「困っている外国人を乗せて欲しい」と
次々に持ちかけ、30台目くらいで引き受けて貰えたのだそうです。
「外国から来て困っていた。人として何かしたい。ただ、それだけでした。」と
語っていると。
胸が熱くなります。

昨日の朝日新聞の記事はネットで見つからなかったのですが
8月の世界日報の記事が見つかりました。
http://www.worldtimes.co.jp/today/photonews/110817/110817-2.html
コメント (20)
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言っていいことと悪いことがある

2011年12月02日 | 社会
政治家の失言なんてしょっちゅうあるし、一々目くじらを立てていたらキリがない。
中にはこれくらいはまあ、多目に見てもいいんじゃないのと思うこともあるのですが…
今回ばかりは許せない。
「犯す前にこれから犯しますよと言いますか」
田中沖縄防衛局長の発言。

私は最初ニュースを聞いた時、意味が分からなかったのです。
田中局長は28日に那覇市内の居酒屋での報道機関との非公式の懇談で
一川防衛相が「(評価書を)年内に提出できる準備をしている」との表現にとどめ、
確言を避けているのはなぜかと問われ、こう答えたという。
評価書の提出期間を巡って何故、性的暴力に喩えた答えが出てくるのか?
しかも米軍による女性暴行事件が何度も起きている沖縄で。
しかも「沖縄防衛局長」という肩書を持った人が。

1995年の米兵による小学生暴行事件は記憶に新しいところです。
この事件の後、リチャード・マッキー米太平洋軍司令官(海軍大将)が
「全くばかげている。彼らは車を借りる金で女が買えた」と発言し、更迭されている。
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-184598-storytopic-3.html
しかし、昨日の朝日の天声人語に出ていた「由美子ちゃん事件」というのは
私は知りませんでした。
調べてみたら、1955年に6歳の女の子が暴行殺害されるという、
こんな悲しい事件が起きていたのですね。
しかもこんなにも数多くの暴行事件が…
http://www.olive-x.com/news_ex/newsdisp.php?n=77131

こんな背景のある沖縄でこんな発言をするという神経が信じられない。
田中氏はその懇談会の席で、上にあげた「彼らは車を借りる金で女が買えた」
との発言についても同調する認識も示したという。
そりゃ沖縄県民が怒るのも無理はない。
沖縄だけでなく、これは女性に対する侮蔑でもあります。
即日更迭は当然でしょう。

しかも今度は一川防衛相がその少女暴行事件について
「詳細は知らない」と国会で発言して問題になっている。
一主婦である私でさえ知っているというのに…
だってあの当時、この事件は連日マスコミを騒がせていました。
暴行された少女がまだ12歳の小学生であったこと、
被告人となった米兵の家族が「人種差別によるでっち上げだ」と主張し来日したことなど、
かなり大騒ぎになったのですから…(私が読んだ日本の新聞は黒人だということを伝えてもいなかった、
その後の家族の訴えで知った)。
怒りがこみ上げてきます。

沖縄防衛局長を更迭 
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-184640-storytopic-244.html
コメント (10)
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コリアンタウンの「おんどる」

2011年12月01日 | グルメ
アメリカ人の友人のDが
韓国料理を食べてみたいと言ったのです。
食生活に関しては割と保守的な彼女がそんなことを言うのは珍しいので
それならと昨日、新大久保に行ってきたのでした。

私は特に韓流フアンではないので
新大久保がコリアンタウンになってから行くのは初めて。
右も左も分からなかったのですが
一緒に行った友人の一人は日本語の教師で、生徒に韓国人もいるし、
もう一人は韓国に何度も旅行に行っているので、ハングルや料理などに詳しい。
そしてキムチも食べられないというD、
自分は好きだけれど家族が嫌うのでキムチを食卓に出せない私、
個性様々な総勢5人。


いや本当に凄い変わりようですね。
昔は歌舞伎町の裏のちょっと怪しげな街、という雰囲気だったのに。
韓国料理店、韓国雑貨店、ブロマイド店などが建ち並び、
何処に行っても物凄い人波(しかも女性ばっかり)。
その中での人気レストランという「おんどる」は店の前に長蛇の列。
我々は随分前に予約をしておいたので待たずに入れましたが
その代わりお得なランチ・メニューは注文できない。


それでも、トッポッキ(韓国お餅)・ニラチヂミ・チャプチェ・ケジャン(ワタリガニのキムチ)
・サムゲタン・石焼きビビンバ・キンパ(海苔巻)の7品、
シッケ(お米のジュース)・スジョンカ(ショウガとシナモンのジュース)などの飲み物を
頼んで一人2千円ほど。
しかもキムチやナムルなどの小皿はお代わりし放題。

韓国料理って甘くて辛くて、こんなに安くて美味しいんだ…
韓国に何度も行っている友人の話だと、味は向こうと変わらないと。
5人でわいわい取り分けて食べるのは楽しいものです。


ぶらぶら散歩して屋台の熱々のホットク(韓国風パンケーキ)を食べ、
職安通りの韓国広場(スーパーマーケット)に寄って
とうもろこし茶・ざくろ茶・韓国海苔・韓国菓子など買い込んで帰途に。
東京の中で小さな韓国旅行ができてしまいました。

「おんどる」 http://www.e-ondoru.com/
コメント (12)
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