極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

八角とトレッキング

2010年09月11日 | 国内外旅行



喉渇き 仰向きになり 空を見る 開山の空 思い重ねる








【登山慣らしの荒島岳】


昨日は朝から端末の不具合を調整し、
9時に彼女に背を押されるようにへ。
本格的な登山をやめてからもう30年は
なるだろうか。ともかくも伊吹山をス
タートの百名山登破の開始だ。名神彦
根IC→北陸道大野IC→
勝原荒島岳
スキー場へと疾走。登山口前のファミ
リーマートで「液キャベ」「アリナミ
ンV」「ウコンの力」「明太子むすび」
と「ハムサンド」を買い込む。ここで
後々問題となる飲料水の買い込みを忘
れる(家から「おーいお茶」1本持参
分のみの携帯)。



スキー場駐車場へは正午に到着し、ト
レッキングシューズに履き替え、入山
届け書を出し直ぐさま登ることに。事
前に天候の良い日を見計らってのこと
でお天気は良好異常なし、途中北部の
方から雷の音がしたがこれも問題ない
と判断。スキー場ゲレンデは草木が繁
殖し山萩が登山道を遮るかのように咲
いている。途中のブナ林に入り直射の
ダメージが薄らぎ幸いした(※標高約
340mの登山口から急斜面のスキー場を
登るコースで山頂までは所要2時間15分。
樹齢200~300年という見事なブナが出
迎えてくれるが近年、登山者によるブ
ナの根の踏みつけが問題視されている
)。



健脚でも片道3時間(通常4時間)は
かかる登山コースを無謀にもノンスト
ップで登りだし息絶え絶え。途中下山
グループと出会いながら汗がどばどば
とでサングラスが濡れ、持参したお茶
を飲みながら山頂では飲み干していた。


熱中症を恐れ、急いで下山するも足は
がくがくもつれながら、喉はからから
となり唇は塩がふくような感触となり
へろへろとなり駐車場にたどり着くこ
と往復約5時間。慌てて車に乗り込み
最寄りの自販機で「ポカリスエット」
をがぶ飲みする。¥150の小銭を突っ
込もうとするが手が震えてうまく入ら
ない状態、実際は¥550を突っ込み、
釣り銭を取ろうとしてもお手玉状態。
自販機からこぼれた百円玉を拾うおの
が姿は、さながら、賽の河原の此岸の
抗いのようだったと今では思える。





それでも良くしたもので、暫く運転し
ていると徐々に体調も良くなり福井イ
ンタに乗り込む頃は、すっかり復元し
ていた。10月中には白山登頂を計画し
ているが次回は「おーいお茶」を2本
と「ポカリスエット」2本の計4本を
リックに詰め込み登頂するぞと心に誓
い一路家路に(途中「北鯖江サービス
エリア」で「いかさし塩辛」を買込み
夕食の麦酒の当てとして試食する。美
味い!→本当は「しらす塩辛」が食べ
たかったのだが値段が倍ほどするので
諦める)。



 しらすの塩辛

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 佐開荒島神社

※「佐開コース」を後で知ることにな
り、何事も準備だと苦笑いだ(大野市
を車で駆け抜けたが、地方は疲弊して
いると言われるが、稲かりの季節に入
りそれは美しい景観で、都市化と文化
伝統が巧く融け合っている)。


「二渓有り。叟峯(そうほう)ヨリ左
右ニ岐流(きりゅう)シテ一処ニ会ス」

万延元(1860)年、越前大野の蘭学者、
横田莠(はくさ)は佐開口(さびらき
ぐち)から荒島岳の登山を試み、紀行
文「嵐山紀行」を残している。鬼谷か
ら入り極楽谷、地獄谷の二渓を描写し
たものであろう。

「草ヲ拈(ひね)リテ串行(かんこう)
ス。前人ノ足ト後人ノ頭ト比ス」

草に掴(つか)まり、一列になって登
り、前の人の足が頭にある、といった
ところであろうか。

荒島岳は、泰澄大師が開山したといわ
れ、山頂には荒島権現の本地仏(ほん
じぶつ)の聖観音菩薩が鎮められてい
た。

「絶頂に至る迄、寸隙の閑地なし」(
深山木)とも記され、その険しさが知
れる。古くは「蕨生山(わらびおやま)
」(風土記)とも云われたらしい。

         「中日新聞」より
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【八角がタミフル



こんなことは旧聞もいいとこなのだが
八角がタミフルの原料とは知らなかっ
た。オセルタミビル (Oseltamivir) は、
インフルエンザ治療薬。オセルタミビ
ルリン酸塩として、スイスのロシュ社
により商品名「タミフル(Tamiflu)」
で販売されている。日本ではロシュグ
ループ傘下の中外製薬が製造輸入販売
元となる。

A型、B型のインフルエンザに作用する
C型インフルエンザには効果がない。
トリインフルエンザはA型でありH5N1
型の高病原性トリインフルエンザにも
ある程度有効との研究結果が報告され
ている。オセルタミビルは従来、中華
料理で香辛料に使われるトウシキミの
果実である八角から採取されるシキミ
酸から10回の化学反応を経て合成され
オセルタミビルとシキミ酸は全く構造
が違う化合物である。八角は単なる材
料にすぎず八角を食べてもインフルエ
ンザには全く効果がない。2009年現在
ロシュ社はシキミ酸を遺伝子組替えに
よる生合成で量産しているとされる。





これに対し、岡山大学院教育学研究員
の石川彰彦准教授らのクループが、抗
インフルエンサウイルス薬タミフルを
安価な原料で合成する方法を開発した。
植物由来の原料が使われ、供給が不安
定で原料代は高騰しがち。石川准教授
らは、実験室レベルで2通りの原料か
ら合成に成功。原料が安定して入手で
き安価だという。原料として、入手が
容易な酒石酸、マンニトール、アラビ
ノースなどの糖類を使用原料価格は1
/千〜1/3千で有利だが、合成効率
がロッシュ社の1/3程度現在、効率
アップの可能性を含め、幾つかの企業
と検討中だ。

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【特許の背景技術】

特許:
4496351
1、3
ジオキソラン化合物
                                   及びその製造方法」


オセルタミビル(Oseltamivir)は、酵素
であるノイラミニダーゼ(neuraminidase,
NA 
)を阻害することにより、インフ
ルエンザウイルスが感染細胞表面から
遊離することを阻害し、他の細胞への
感染・増殖を抑制することが知られ、
大変有用な化合物。オセルタミビルの
製造方法としては、キナ皮から発見さ
れた環式ヒドロキシ酸であるキナ酸(
quinic acid)あるいはシキミ酸(shikimic
acid 
)を出発原料とした製造方法が知
られている。しかし、天然に存在する
化合物で供給量は限られ、オセルタミ
ビルをより大量に得るためには不向き
で、製造において毒性や爆発性のある
アジド試薬やアジド中間体を経由。オ
セルタミビルを製造するにあたり、毒
性や爆発性のあるアジド試薬を使用す
るという上記問題に対しては、アジド
試薬を用いない方法が開示されている。
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この特許は『ウィルス疫学環境システ
ム』から見ればより実用的工学に位置
し耐性菌という点からほど遠いポジシ
ョニングしているが、財政規律からみ
れば合理的だし、迂回的ではあるが薬
学の高度化に寄与しているとみること
ができる。




八角に因む個人史は、西安でのプラト
建設(『柿と創意工夫』)
にあり、現
地で出される食事の「八角外し」のエ
ピソードが思い出されるが、最近では
スーパーにも置かれるようになってい
るほど流行となっているようで、身近
ではイタリアン料理には欠かせない香
料となっている。食欲増進、精神安定、
虫除け、胃を丈夫にし、消化を助ける
効能があり、また、八角を食べると母
乳がよく出るといわれ、産後八角を料
理などに良いとされる。八角の香りは
石鹸、化粧品、歯磨き粉、お菓子など
工業や医薬など幅広い範囲で使われて
いる。その意味では‘タミフル’の開
発とは文化の深層と結びついていると
いう重層的な再認識を腑に落とすとこ
ろがあった。




コメント
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