秋晴れの 稲海原に 漕ぎ出でて 風切り走るは 黄金街道
Leo Strauss (September 20, 1899 – October 18, 1973)
【懐疑と楽天】
佐伯 啓思(1949年12月31日 - )
国家権力を形成する哲学・思想の保
守と革新を二分するものとして <本
源的契約> と <社会契約> の差異が
ある。そして、経済自由主義や自由
至上主義で全球的席捲(米国による
世界覇権)した欧米流価値が揺らい
でいるいま、また、レオ・シュトラ
ウスやエドマンド・バークへの回帰・
再考の流れがあり、マイケル・サン
デルの共同体主義の新興があるとい
うわけだ。このことを「近代のプロ
ジェクト」の確信崩壊というニヒリ
ズムこそ、1930年代の特徴であり、
われわれは今日、それを再現してい
ると佐伯啓思が『「現代の危機」の
本質』で、以下のように指摘する。
レオ・シュトラウスは「現代の
危機」と題する講演(1963)に
おいて、シュペングラーに触れ
つつ、この「没落=危機」の意
味をもっとはっきりと提示して
いる。彼はいう。「西洋の危機
は、西洋が自らの目的について
確信を持てなくなってしまった
という事実に存している。その
目的とは、普遍的社会、平等な
諸国民からなる社会、しかもそ
れぞれの国民が自由で平等な男
女からなり、さらにこれらの国
民のそれぞれが、科学の恩恵を
被って自らの生産力について十
分に発展している、そういった
社会のことだ」。この「西洋の
目的」をシュトラウスは端的に
「近代のプロジェクト」と呼ん
でいるが、科学や技術に基づい
た普遍的な豊かさを持った完全
に幸福な社会を実現するという
「近代のプロシュクト」に対し
て、西洋人がもはや確信を持て
なくなった。そこに「危機」の
本質がある、というのである。
『「現代の危機」の本質』
もっとも、古典的な自然法を奉じる
シュトラウスと人為的な世界観を持
つネオコン(新保守主義)では矛盾
しているとのフランシス・フクヤマ
の指摘があるが「得体の知れない怪
物=ニヒリズム」(※『札屋、賭場
に乗り込む Ⅰ』)に怯える、あるい
は身構え、懐疑する行動は正しい。
問題は、その考察の内容とその後の
行動だ。この膨張しきった <欲望民
主主義> をどの様にコントロールす
るかが『環境リスク本位制』下の政
治的行動の第一優先だけに、保守・
革新間の壁はなきに等しい。未来は
絶望的かもしれないが、深刻ぶらず、
ここは楽天的に乗り越えていきたい
ものだ。
※『元ネオコン論客が語る「アメリ
カの終わり」』
※「アメリカ政治思想・アメリカ政
治分析」
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【バーク哲学の主要概念】
慎慮(prudence)偏見(prejudice)、時
効(prescription)、黙諾 (presumption)、
相続・世襲(inheritance)、法の支配(rule
of Law)、慣習(convention,customs) 伝
統(tradition)、私有財産(property)など。
【バークの拒絶概念】
平等(equality) 人権(right of man) 国
民主権、抽象(abstruction) 理性(裸の
理性、naked reason) 進歩( progress )
革新(innovation) 民主主義(democracy)、
人間の意思(will of man)、人間の無謬
性(perfectibility of man)など。
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“A Glucose BioFuel Cell Implanted in Rats”
【体内埋込型燃料電池】
グルコース燃料燃料電池が開発され
たという。生きている動物に埋め込
まれたデバイスが体内の化学物質か
ら電力を生成する。この埋め込みデ
バイスは、血糖とも呼ばれるグルコ
ース(ブドウ糖)と酸素から電力を
作り出す。グルコースも酸素も体内
の細胞の間を流れる体液に含まれて
いる。
これにより、小型のペースメーカー
や人工臓器などの次世代の埋め込み
型医療機器にこのバイオ燃料電池で
安全かつ長期間電力を供給できるよ
うになる。今回開発された燃料電池
は2枚のグラファイト(黒鉛)の円
盤の中に特殊な酵素が入っており、
円盤は白金線でつながれている。デ
バイス全体は透析袋で覆われ、グル
コースと酸素を体液から取り込める
ようになっている。
酵素がグルコースと酸素に反応して
電流を生成し、その電流が白金線を
流れて、チューブで覆った導線を通
って燃料電池から送り出される。研
究チームは、このグラファイトで保
護された酵素と、化学物質の流量を
制御する透析袋によって、生きたラ
ットの腹部の中で動作する新しいグ
ルコースバイオ燃料電池の開発に初
めて成功した。
勿論、日本でも研究は進んでいるし
直ぐさま実用化できるものでもない。
また、別のグループは電極にカーボ
ンナノチューブでつくつたナノワイ
ヤーを用いたインプラント型バイオ
燃料電池の開発研究も進めている。
“Engineering hybrid nanotube wires for high-power biofuel cells”
用途はペースメーカ以外にインシュ
リンポンプ等の動力電源が考えられ
ている。用途は身体的障害の再生医
療分野だけでなく、それこそ、健常
者の身体機能を電子機器に代用させ
るサイバネティック・オーガニズム
(Cybernetic Organism)時代が到来し
次々と生み出されてくるだろう。例
えば、照明デバイスと接続すること
で、懐中電灯のイメージが人差し指
からの光照射という風に変わってい
くかもしれない。情報端末装置もイ
ンプラント型に変化していくかもし
れない。
□
所用で昼から、近江八幡まで湖岸道
路を走らせ長命寺から水ヵ浜を駆け
抜け戻ってくる。すっかり秋景色。
一面の首を垂れた瑞穂の中をまるで
高速船に乗ったように浜風を受け海
原を走る。年に一度ぐらいの体験か、
さながら湖岸道路をドライブする一
時は黄金街道を行くが如し。「ブラ
ボー!マイ・ロードスター」と、歌
を描く。