【地震予知環境システム工学】
阪神・淡路大震災の経験から地震予知技法に地球電磁気の変動から
予知しようという試みがあり、今回の東日本大地震を予知していた
ということで、ネット上で話題沸騰になっている。具体的には、ア
ラスカ大学と米国軍事組織との共同研究でなされている「HAARP」
つまり、高周波活性オーロラ調査プログラムのことだ。高周波活性オ
ーロラ調査プログラム(高周波活性オーロラ調査プログラム、英:
High Frequency Active Auroral Research Program、略称:HAARP)は、
米国で行われている高層大気研究プロジェクトで、アラスカ大学と
空軍、海軍、DARPAの共同研究であり、大出力の高周波を電離層に
照射して活性化させ、電離層の挙動や無線通信等への影響を調査す
ることが目的であると説明されている。照射施設はアラスカ州・ラ
ンゲル・セントエライアス国立公園の西にあるOTHレーダーの跡地
に建設されている。
【先ず、ジロー(GIRO)の紹介】
‘digisonde’これは、ionosondeという呼び方もされ、大気の上層の
ionosphere(イオン圏, 電離圏)と呼ばれる部分の様子を解析する。
地球の大気層から電離圏までは、地表に近い「大気圏(atmosphere)」
が地上10km程度まで、これを「気象系(weather systems)」と呼ぶ。
その上にまだかなり薄い酸素の大気圏が20kmまであり、そこから30
kmが「オゾン層(ozon layer)」。10km〜50kmを「成層圏(stratosphere)
」。50km〜80kmを「中間圏(mesosphere)」。そして80kmから上層を
「電離圏(ionosphere)」と呼ぶ。
この「電離圏(ionosphere)」は3つに分かれる。一番下の80km〜100
kmが「D層」。100km〜130kmあたりが「E層」。130km〜220kmあた
りまでが「F1層」。この上ずっとが「F2層」。さらに外側はもう
太陽風に直接にさらされている場所で「熱圏」。さて、この電離圏
は太陽風の影響を受けて日々変化している。時間ごとにも一瞬ごと
に変化している。これを調べるために、HAARPの観測装置の中で、
正三角形の頂点に送信アンテナを、中心に受信アンテナをそれぞれ
置き、そこから発信して、受信して電離層の構造を調べるというの
が、この「The HAARP digisonde」というもの。
上図↑ωeとは、異常プラズマ周波数。ωoとは通常のプラズマ周波
数。プラズマ周波数ωは、電子濃度nに電子の電荷eの2乗をかけ、
電子の質量mと真空の誘電率εで割った量の平方根で、
ω=√(ne2/(εm))
したがって、電子密度の平方根に比例している。したがって、電離
層のプラズマ周波数を知る事が出来ると、電子密度が分かり、ωBは、
電子が地磁気に巻き付いて運動する際の周波数で、地磁気による磁
場があるところをプラズマが伝播すると通常プラズマ周波数と異常
プラズマ周波数の2つに分裂し、この3つの周波数の関係が、次式
の関係で表される。
ω-ωo=ωB/2
さて、問題は地震の予知の場合で、これまでの仮説では、地震源の
付近の上空には、地震に先立ち、ラドンイオンが放出されると考え
られ、もし地震源の上空にラドンイオンが上昇すると、プラスイオ
ンが増えるから、これと電子は衝突再結合して電子密度が減る、と
考えられる。この電子濃度の現象をとらえられれば、地震の予知に
繋がるという原理と仮説が成り立つ。
※ Radio waves and Sounding the Ionosphere - Part 2
※ Radio waves and Sounding the Ionosphere - Part 3
率直な疑問として、電離層の変動であり太陽風や宇宙風の強い影響
を受けるので「S/N比」が極めて小さいと予想されるため離散系解
析手法の研究課題が残りそうだし、アラスカ基地だけで世界中を電
子密度の変化を網羅することができるのか疑問となる、もっとも、
一つの専用通路のようなものを見つければそれは可能だろう。また、
宇宙衛星との連動観測システムも可能なので一概に否定できない。
この関連記事ソース元の井口和樹氏は「日本の電波学者や電子工学
者や地球物理学者などを総動員して、地電流、電離層の電子濃度変
化、大気中のラドンイオンの変化、FM電波異常などを総合的にとら
える事の出来る観測網を日本全土に張り巡らせれば、少なくとも地
震発生の2週間前から1、2ヶ月前には、震源地のおおよその場所
を割り出せるのではないだろうか」と提案している。
※このブログには菅直人の素性に興味があるようで関連情報の記事
も掲載されていた。
このように、地表と電離層に顕れる電磁波や極々超波長(ELF)等と
地殻変動との複雑系を解析することにより地震の予知が1~2か月
前からできることで、ダメージ回避効果がどの程度になるか仮構し、
試算しておくこと大切だ。つまり、米軍機能組織の‘陰謀説’を超
え、その経済損失額(=回避効果額)を担保に「電磁波解析地震予
知」の研究開発を始めることを提案する。『地震予知環境システム
工学』の有力な技法として。