陽はこぶ ロールキャベツの 仕上がりに 雷ひとつ 美味いと響く
You are asking how about rolled cabbage
I say good in a loud like thunder
Oh, spring has come
如果你问白菜好吃
我会回答一个響亮的声音如雷,可口
哦,春天来了
■
カミュが小説『ペスト』で示唆した結論は、人間は結局、なにごとも制
することができない、この世に生きることの不条理はどうあっても避け
られない、というかんがえだった。カミュはそれでもなお主人公のベル
ナール・リウーに、ひとがひとにひたすら誠実であることのかけがえの
なさをかたらせている。
混乱の極みであるがゆえに、それに乗じるのではなく、他にたいしいつ
もよりやさしく誠実であること。悪魔以外のだれも見てはいない修羅場
だからこそ、あえてひとにたいし誠実であれという、あきれるばかりに
単純な命題は、いかなる修飾もそがれているぶん、かえってどこまでも
深玄である。
辺見 庸『震災緊急特別寄稿』
※ 2011年3月16日水曜 北日本新聞朝刊(抜粋)
【日本の消費電力】
コキノダイナス(赤鬼)
コキノダイナスの家でアポローンとへーリオスで三人で話し合っている。ヘーリ
オスの登場は今回が初めてだ。「オーストラリアのカーティン大学のブライアン・
エバンズ教授が、東日本を襲った大地震とニュージーランドのクライストチャー
チの地震や環太平洋火山帯に位置するインドネシア・スマトラ島沖地震の2週間
前にもニュージーランドで地震があったと言っている」とコキノダイナスがぶっ
きらぼうに切り出すと、「ある場所でずれが生じるとほかの場所にストレスが生
じ地震や津波が続いて起きるのは異常でもない」とアポローンはクール応じると、
「それだけじゃないぞ。気象庁は巨大地震以降、一部の活火山の周辺で地震活動
が一時活発になったと発表している。ノストラダムスの予言じゃないが、宇宙磁
気力の変動が千年に一度といわれる地殻変動の活性期に入っているのじゃないか
と俺は思っているが」とコキノダイナスが切り返すと、「‘2012’じゃノアの箱
船をつくらなければね。そのように考えれば、ここ数年いや10数年以内に小田原
沖の大震災をはじめとする大震災の起きる確率が非常に大きく、東日本大震災の
復旧・復興をやりつつ、本当のことを言えば‘防災立国’という国土計画を実行
しなければならないはず」と茶化すようにアポローンが言った。
アポローン(亜幌論)のアバター
「その前提条件が、原発建設の‘凍結’です」とへーリオスが若者らしくシャー
プに二人のやりとりの中に切り込んできた。「それをやらないと世界中から日本
売りがはじまるか」と酒やけの‘赤鬼’はフラットな小声でつぶやいた。「そう
いえば‘南西諸島水都構想’は中国漁船追突事件で頓田したままだが、きみをつ
れてきたのはそのためだ」とアポローンと言いながら、あらためてへーリオスを
‘赤鬼’の家族に紹介した。
【トイレのない高級マンション】
赤 鬼「原子力発電の最大の欠点はなんだ?」
舳離雄「放射性廃棄物の確実な終末処理方法が定まっていない。低レベルであっ
ても数万年先も放射能を出し続けるものもあり地下埋設といっても、地
下水への溶出などで再び地表や地下水を汚染する可能性があるから厄介
で、高レベルで半減期の長いプロトニウムなどは高速増殖炉加速・・・
つまり、中性子を照射し再度、核分裂させ半減率の短い物質変え、30年
保管することで放射能を安全基準以下にできるように研究されている段
階で・・・」
赤 鬼「二段階で原子力を利用できるが、汚染発生源が増えるというわけやが、
それが‘トイレのない高級マンション’ってか?」
亜幌論「そう。だが、それだけでない。2つの問題を持っていて、1つは‘オー
ル電化’という流行言葉があるが終末処理の問題を不問にし、節電を片
方で喧伝しながら電力消費を煽り、右肩上がりの消費電力についての見
直しの国民的議論が抜けているように思える。2つめは、赤字国債を論
う風潮がある反面、数万年、あるいは億年にも渡る放射性廃棄物の累積
のリスク議論がおろそかにされている」
赤 鬼「つまり、子孫に放射性廃棄物のリスク負債や。これは銭で解決できる問
題でないわけや。それに、大都会のために電力を供給するシステムは地
方経済を歪にもしているわけってか!」
へーリオス(舳離雄)のアバター
舳離雄「日本の国土面積は世界の、0.25%だけれど、世界のマグニチュード6以
上の地震頻度は、20.5%と100倍近い。米国やフランスの数字を示し安
全性を喧伝するのは無知です。米国は水力だけで賄えるはずです」
亜幌論「百年前の論争再びだしね。電力もデジタル革命の渦中にあり電力用半導
体技術の発展で見直しの段階にきている。周波数変換の問題もない。そ
こで、直流供給の太陽光エネルギーの登場となり、きみのベスト・ミッ
クス論ということになる。つまり、
光エネルギ→電力(太陽光発電)
光エネルギ→熱→蒸気→電力(太陽熱発電)
熱エネルギ→蒸気→電力(地熱発電)
物質→燃焼熱→蒸気→電力(火力発電)
熱勾配→電力(熱電子対)
運動エネルギ→電力(風力発電・圧電素子)
位置エネルギ→電力(水力発電)
核エネルギ→熱→蒸気→電力(原子力発電)
電気化学エネルギ→物質→電力(燃料電池)
以上のエネルギー電気変換系のベスト・ミックスということになるが」
舳離雄「特に原子力発電の推進の立場からは、コストカットが課題で、百万kw規
模1基の建設費用はかつて1兆円程度から2800万円に低く見積もろうと
いう動きがあります(「低炭素電力供給システムに関する研究会(第6
回)-議事録」)。しかし、出力規模が16.6万kWの日本原子力発電の東
海発電所は原子炉の廃炉・解体・廃棄物の見積もりが930億円と建設費を
遙かに上回っています(「東海発電所 廃止措置に係る原子炉解体届の
提出について」)。英国やフランスでも廃炉や放射性廃棄のコストが問
題になっています(「Chief Executive’s Review」「Nuclear Power in France
Beyond the Myth」)。」
亜幌論「フランスの場合、廃炉処分に約90兆円」と言う見積もりに加え、跡地は
百年間使用できないというがね」
赤 鬼「ということは、フランスもエネルギ政策を大転換する可能性がある。こ
れはわしの勘だが」
赤 鬼「100万kWの原子力発電と同じ量の電気をつくるには,原子力が約0.6km2
の敷地で済むが、太陽光発電は山手線内の面積分(約58km2)に太陽光
パネルを並べる必要がある。コストも原子力が約2800億円になるのに
対し、太陽光は約3.9兆円もかかってしまうと喧伝されているが?」
舳離雄「面積に関しては1つは現在のモジュール変換効率16%を24%に向上させ
れは、所要面積は67%で済みます。もう1つは、太陽光の反射を防ぎ、
閉じこめ効果を高め二次元から三次元的設置すれば原理的には変換効
率が同じであれば半分以下の面積で済みます。この表はわたしが試算
したものですが、目標電力量1.056PW(ペタワット:千兆)に対し モ
ジュール変換効率16%では、千葉県の、24%だと鳥取県の面積があれ
ば賄えることになります」
表 国内の太陽光発電設備規模及試算結果結果
※2010年度データ、減価修償費は、残余価格10%、保全費は設備費の10%、金利5%、
償却年数 10年、定額償却法で試算(償却年数は、想定耐用年数:30年からみれ
ば過大評価となる。また、電力費は45円前後が現状。
亜幌論「この50年間で変換効率は平均7倍向上、コストは百分の一、信頼性は20
年以上、製造設備建設にはCO2排出するが設置以降は大幅削減できている
し、市場規模も2兆円規模から10兆円規模になると予測されているしね」
舳離雄「原子力発電と大きく異なる点は、終末処理が確定していて、使用済みの
太陽電池用シリコンは、ほぼ完璧にリサイクルできることです」
赤 鬼「本当にシリコン原料は安定して供給できるか?」
舳離雄「都市鉱山としてとらえれば良いでしょう。国際的なリサイクルの仕組み
づくりが大切ですが、国産企業として2社で世界展開していけば良いと
も思っています」
赤 鬼「コストダウンは?」
舳離雄「スケールメリット、経験曲線効果とムーアの法則と製造プロセス技術革
新、それと先ほども言いましたが、シリコン国際的なリサイクルシステ
ムの定着の5つがポイントになります。1つめは大量生産によるメリッ
トで産業再編政策に繋がります。また2つめは、実測すれば良いでしょ
う。次に、ムーアの法則はむしろ、変換効率の向上に寄与します。理論
的には、パネル変換効率として33%が限界だろうと見られています。よ
り現実には22%当たりが限界ではないかとも言われていますが、タンデ
ム(多層)化などの技術革新でシリコン系は以外と早く達成するのでは
ないでしょうか。3つめは、‘ネオコン’や‘ロールツーロール’印刷
写真製版適用技術などが考えられます」
※経験曲線は学習曲線より広い概念であり、その対象は単に労働時間に留まらな
い。経験曲線効果は、ある業務がより頻繁に実行されるようになると、そのコス
トが減少することを表す。これはどのような商品やサービスにも適用できる。累
計での生産回数が倍になるごとに、生産回数あたりの総費用(生産、管理、マー
ケティング、販売を含む)は一定かつ予測可能な速度で減少する。この効果は数
学的には、下記の式で表される。
Where,
:コストの初期値
:n番目の商品の生産コスト
:累計の生産回数
:累積生産量の変化に対するコスト弾力性
また、累積生産量が2倍になるごとに減少するコストの割合を習熟率と呼ぶ。一
般的には習熟率は20~30%程度とされるが、業種などによっても異なる。
※ムーアの法則の最も有名な公式は、集積回路上のトランジスタ数は「18ヶ月ご
とに倍になる」というものである。式で表現すれば、n年後の倍率 p は、
p = 2n / 1.5
したがって、5年後には10.08倍、20年後には10 321.3倍となる。1970年代の終わ
りには、ムーアの法則は最も複雑なチップ上のトランジスタ数の限界として知ら
れるようになった。しかしながら、1チップあたりのコストに対するコンピュー
ティングパワーをどんどん進化させ続けるものとしても、ムーアの法則は引用さ
れるようになった。
■
コキノダイナスの家族
しばらく、静寂が続いている中に、コキノダイナスの奥さんのオモリフィアが食
事を運んできた。春キャベツのベーコンとグリーンアスパラのロールキャベツが
メインのランチだ(この後も鼎談がつづく・・・)。