ロシアのメドベージェフ首相は3日、北方領土の国後島を訪れた。メドベージェフ氏の国後島訪問は大統領
時代の10年11月以来2度目。5日には、自らの北方領土・国後島訪問に、日本政府が「極めて遺憾だ」など
と反応したことについて「どうでもいいことだ」とコメントした。インタファクス通信の質問に答えている。
メドベージェフ氏は3日、国後島を訪問。地元住民との対話で「領土は一寸たりとも渡さない」とも述べて
いる。これに対し、青山繁晴(写真)はメドベージェフの意図はバイカル湖のメタンハイドレードの採掘事
前調査と同期する歯舞・色丹二島周辺のメタンハイドレートの採掘にあり、北方領土返還の意志のないこと
の表明にあるという(「スーパーニュースアンカー」2012.7.4)。
ここには2つの問題がある。その1つは周知の通り、ロシア側の戦後終始一貫した「実効支配」の堅持。領
土支配執念は、その国家の成熟度を顕す。その評価から言えば先進国のうちにあっては、米国はトップにあ
り、コモンセンスの旧英連邦主義諸国のカナダ、豪州、ニュージランド、英国が続くだろう。日本は敗戦も
あり上位に位置する(非武力という観点からは実質世界トップ)。それに比べ、ロシア、中国、韓国などの
新興国は後進性を帯びその国家行動は威圧的だ。そのなかでもロシアは南進論の陰もあり、そのため、四島
返還には軍事衝突は避けられないと日本国民に思わせるところがある。
もう1つは、メタンハイドレート(「エネルギー用語辞典」)は再生可能エネルギーでないという側面の必
要性だ。ところで、魔海の遭難事故やリグの崩壊原因についてはこれまでさまざまな角度から検討されてき
たが、最近、「メタンハイドレード」というあまり知られていない物質が深く関わっていることがあきらか
にされた。この点では故マッキーヴァー博士のシナリオ、あるいはそのシナリオを真剣に検討しているダン
ラップ博士や、メタンハイドレード研究の草分けであるマッコガン博士等々、主に米国テキサスA&M大学
とその付属機関による努力が大きいという。
メタンハイドレードには、メタンガスと水との化合物、つまり「水化物」という意味がある。その構造は単
純で、水分子がつくるシャーベット状のサッカーボールのような多面体の固体中にメタンガスが閉じ込めら
れている。この構造は一定の低温・高圧のもとで安定しているが、温度を上げるか、圧力を減じると急速に
崩壊する特徴がある。石油層の上に形成されている天然の自由ガス層は、このメタンハイドレード層の下に、
ほとんど一体化したかたちで存在する。メタンハイドレードという固体の物質が、主成分をメタンとする自
由ガス層の蓋になっていて、メタンハイドレードの崩壊はこの蓋をはずし、閉じ込められていた自由ガス層
のガスを一気に噴出させる。あたかもシャンペンの栓を抜いたときのような暴噴が「バミューダ・トライア
ングル」やオイル・リグの大事故を引き起こす原因であると考えられるようになってきた。メタンハイドレ
ードという物質が実験室で合成できることは、20世紀から知られていたが、天然に存在することが知られる
ようになったのは、シベリアでの近年のパイプライン爆発事故からである。メタンハイドレードを水に入れ
ると瞬時にガス化し、爆発的に無数の泡をつくる。この泡に火を近づけるとガスは勢いよく燃え上がる。シ
ベリアのケースでは、パイプラインの内側に生成したメタンハイドレードが爆発の原因となったのである。
世界の研究機関は、いま血眼になってメタンハイドレードの研究を進めている。それは、1996年初頭に海洋
掘削井が米国東海岸沖合のブレイク海嶺近傍の深海部へ降ろされた時点へさかのぽる。その主な動機は「悪
魔の三角海域」(バミューダ・トライアングル)といった魔海のミステリーヘの興味からではない。メタン
ハイドレードの予想を超える大量の発見から、その資源としての巨大な町能性を探るためであったのだ。そ
の研究では、メタンハイドレードは地球の大陸地殻表層部に存在する全炭化水素量のかなりの部分を占め、
七つの海の大陸棚や、北極、南極とその周辺の永久凍土地帯にも広く分布している。地球上に蓄積されてい
るメタンの埋蔵量は、ハイドレードのかたちで海底にあるものと両極付近の永久凍土層に含まれるものを炭
素換算すると、天文学的な10兆トンという数字になる。この量は現在の石油、石炭、天然ガスなどを含むあ
らゆる化石燃料のそれの2倍に相当する。ある試算では、日本近海だけでも100兆立方メートルの埋蔵量があ
るとされ、これは日本の天然ガス使用量の約1600年分に相当するのだ。
メタンハイドレードは、海底に降り積もったマリンスノー(生物の遺骸等)から分解してできたメタンガス
が、水分子に取り囲まれたものである。かならずしも温度が0℃以下でなくても、海洋の地下は圧力が高い
ので、10~数10℃の場所でもガスは水分子に閉じ込められている。新しいエネルギー資源としてメタンハイ
ドレードヘ期待が増すなかで、この物質の人類にとっての危険性を軽視する見解が横行している。しかし、
最も危険なことは、メタンハイドレードが圧力や温度の変化に極めて敏感なことにある。温度を上げるか圧
力を下げるかすれば、急速に崩壊しガスと水とに分離する。わずか1、2℃の水温の上昇によってメタンが
敏感に水分子から分離し泡柱になって大気中へ出てくる。この物質はとてつもないエネルギーを秘めてはい
るが、ある意味ではきわめて危うい物質なのだ。
それは、浅い海では火山の爆発のようなブロウアウトを起こし、大きなクレーターをつくる。深い海では長
期にわたってメタンハイドレードが溶け、ポックマークというあばたの跡をつくる。結果としてメタンが大
気中に放出され温暖化を助長し、温暖化が進めば、メタンハイドレードの崩壊をさらに促進されることにな
る。メタンガスは、温室効果ガスとして二酸化炭素のおよそ44倍の働きをもち、メタンガスと温室効果は「
悪魔のサイクル」を形成することになる。大気中に含まれるメタンは36億トンと推定され、その3千倍もの
量が地中に眠っていることになる。現在のメタンの大気中濃度は、1.7ppmであり、二酸化炭素に比べると200
分の1程度の濃度だが、その大気中への増加率は約1%、二酸化炭素の約2倍の速さで増大している。
「悪魔のサイクル」が作動してメタンが大気中に放出されると、地球環境に大きな影響を及ぼすことは火を
見るより明らかだろう。最近の調査によるとメタンハイドレードからのメタンガスは、8000年前にノルウェ
ー沖で起きた一連のブロウアウトによって大気中に放出された。その量は、埋蔵量の3%にあたる3500億ト
ンと推定されている。メタンが噴出してできた痕跡が海底にいまでも1000キロメートルにわたって広がって
いる。クレーターの穴が百個ほどあり、巨大なものは直径3キロメートルに及ぶという。この量が仮に現在
の大気中に一気に放出されたとすると、地球の平均気温はわずか10年間で4℃も上昇する。メタンハイドレ
ードの崩壊は、地球温暖化やエルニーニョ以外でも引き起こされる。深海の水温は、潜水艦による調査では、
人間がつくりだした化学物質の影響でも上昇するという。つまりは、海底資源の開発にあたっては国際的な
世界的な地球環境情報の共有と持続可能な社会の向けた技術普及促進が欠かせないということだ。
メタンハイドレードというこの問題に興味はなかったのだが、青山繁晴がテレビで熱く語るから、それはチ
ョット違うんじゃないかという思いにかられ引き込まれた。このように「国を解く」とは複雑系だと再認識
する次第。
【大豆発酵食品再考】
実は、大豆発酵食品のついて考えてみたかったのだ。つまり、大豆を乳酸などで発酵加工しあらゆる食品に
転用できないか、ある意味では、いま出回っているあらゆる動物性タンパク質を駆逐するスケールで構想す
るものだ。なにもベジタリアンになりたくて考えているのではなく、再生可能な社会と医療フリー社会を構
想しての話だ。例えば「大豆発酵液」(特開2011-19423)。大豆粉とスクロース、リパーゼを含
む培養液にロイコノストック(Leuconostoc)属の乳酸菌を接種して10~24時間発酵させた大豆発酵液で培
養液にはプロテアーゼ、ホスホリパーゼのうち少なくとも1つが含まれ、ロイコノストック属の乳酸菌がロ
イコノストック メセンテロイデス(Leuconostoc mesenteroides)で、イーストフード及び乳化剤としてパ
ンや乳化剤、安定剤、酸味料、調味料として使用しマヨネーズ類、ドレッシング類、アイスクリームを製造
するというのだ。これは本の序の口にしか過ぎない。また、枯草菌を用いて発酵大豆粕として、ヒトに致命
的な病気を引き起こす狂牛病などの疾病をなくすために、全世界的に飼料に添加される動物性タンパク質を
植物性タンパク質で代替するということも考え出されている(下図参照)。
こんなことを考えていたら夜も更けてしまった。今日は福島第一原発事故に関する国会事故調の最終報告決
定され、衆参議長に提出されてもいるし、公開されるのであれば641ページということだがこれに目を通
しておきたいし、かといってこれ以上視神経を圧迫したくないし、今夜はこの辺で切り上げておくことに。