極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

神の粒子とソローの不慮

2012年07月04日 | 時事書評

 



【神の粒子】

 

宇宙の創造に深く関わっていると見られる「ヒッグス粒子」が、欧州合同原子核研究所(CERN)
が「新たな粒子」を観測したとする映像を、正式な発表前にウェブサイトに誤って載せていた。4日
に最新の研究結果を発表するとしていたが、技術上の問題で映像が流出したという。ただ、CERN
は「新たな粒子」がヒッグス粒子であるとは認めておらず、最終的な研究結果は流出していないと述
べた。また、研究結果の内容を知るCERNの物理学者は、「皆が期待するようなはっきりした結果
ではない」と述べている。ヒッグス粒子は1964年に英国の理論物理学者ピーター・ヒッグスがその存
在を提唱したもので、137億年前のビッグバン以降、物質に質量を与えたとされている。発見できれ
ば、太陽や惑星がどのように生まれたのかなどを解明できると期待されている。

 

今回の発表では、大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で陽子と陽子をほぼ光速まで加速して衝突さ
せ、宇宙が約 137億年前にビッグバンで誕生した直後の状態を再現。発生したヒッグス粒子が瞬時に
さまざまな粒子に崩壊する様子を別々の測定器で間接的に測定-これまでに2千兆回余りの衝突を起
こさせた結果、およそ2千個の未知の粒子が発見-その特徴を調べたところ、ヒッグス粒子とみられ
ることが分かったという(2012/07/04-17:12)。さて、ここ暫くはその反響をつぶさに観察し、それ
から自分なりに考えてみたい。

【ソローの不慮】

 

1956年に、マーケット・メカニズムを前提に生産要素(資本及び労働)が百%雇用されるように常に
調整されている「長期均衡モデル」をベースにロバート・ソローとスワンは、新古典派成長理論」を
発表し久しい。つまり、ソロー成長論は資本・労働・技術進歩と生産との関係を表す生産関数を導入
することにより、資本係数 kを変数として成長理論を説明する。さらに生産関数の導入により、資本
労働代替のような問題も扱え、成長経路の安定性も証明できる。反面、現実経済のダイナミックスを
説明しうるものか-このモデルは純粋かつ完全な競争市場と、資本労働代替が無制限であるという非
現実的仮定の上に展開され、失業が存在するような経済にはモデル自体が現実性をもたないという点
から、あるいはソロー・モデルは長期モデルで、rが均衡点から乖離した場合に均衡点r*に収束すし
ても、収束に10年やさらに半世紀もかかれば現実に意味しないとの弱点があり、技術進歩と貯蓄率の
外生性を改善するためにラムゼイ・カス・クープマンズモデル(単一部門の成長モデル)、フォン・
ノイマンの多部門成長モデル、内生的成長モデル(経済現象を外生的要因によってではなく、体系内
の内生変数によって説明する考え方。内生的成長論では、外生的に与えられた技術進歩ではなく、広
義の資本ストックの充実といった内生的要因を経済成長の源泉とみなす)を派生させる。

  

ここで、内生的成長論は、ローマーはR&Dなどで生み出される知識やアイディアが最終財の生産に投入さ
れる中間財の種類を増加させ、その増加が最終財の生産性を向上させる過程として技術革新を描き出
す。つまり、重要なのはアイディアが非競合財であり規模に対して収穫逓増であるという点である。

例えばアイディアの投入を2倍にすれば産出量は2倍以上になる。アイディアが非競合的で規模に対
して収穫逓増である理由は、アイディアを生産するには最初に固定費用がかかるものの限界費用がゼ
ロであるという点で、アイディア(知識)を生み出す際にはコストがかかるが、一度生み出されたア
イディアをコピーしてもう1単位つくるにはコストはほとんどかからない(1→N型生産)。このよ
うな性質を持つ財は完全競争市場では最適に供給されず、最終財市場で完全競争の仮定を維持する一
方、アイディアを投入要素とする中間財市場を独占的競争市場としてモデル化する。



このため、アイディアの持ち主に独占的な権利(例えば特許など)を与えなければ、アイディアには適
正な価格が付けられずコストが回収できないためアイディアを生み出し技術を革新するインセンティ
ヴを失ってしまうことになる。つまり独占力を与えることでアイディアの持ち主は利潤を挙げること
が出来、新しいアイディアを生み出すインセンティヴを持つとモデル化する。アイディアや知識を用
いた技術革新が持続的な成長を導くメカニズムを説明することに力点を置いているが、アイディアが
規模に対して収穫逓増であるということにある。このようにローマーが主導した内生的成長理論は、
1990年代には学界を席巻し、経済成長理論において主要な位置を占め経済学において経済成長の問題
への関心を高める上で大きな役割を果たす(2005年にノーベル賞候補に選出されるなどノーベル経済
学賞の有力候補として名を挙げられている)。

問題はこの成長モデルが与えた完全競争下での最終財市場の影響の凄まじさである。従来のデフレ概
念を破壊し、物価下落をもたらし、急速な格差拡大をもたらし、それが一国の国民経済社会に巨大な
バイアスをかけ続けていることであり、そのことにより、従来の国民財政学を根底から覆し進行して
いることにある。このことをわたし(たち)は「ソローの不慮」と呼んでいる。この認識から照らし
合わせば、野田-安住民主、谷垣自民の財務族議員らの行動をみていると無策だと映る。これはかな
り深刻で50、60代の政治委員を総入れ換えしても追いつかないほどの事態ではないかと懸念せざ
るえない。
 

というわけ、タイピング出来ない分、休養と暇つぶしに、肉体改造にいそしむこととあいなる。

 

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