極東極楽 ごくとうごくらく

豊饒なセカンドライフを求め大還暦までの旅日記

世界初の大規模蓄電システム

2014年03月14日 | EMF安全保障

 

 

【安全・低コスト大規模蓄電システム】 

 

鉄道総合技術研究所と古河電気工業は、古河電工の子会社のスーパーパワー社が製造した第2世代高温
超電導線材を用いた大型フライホイール用の高強度な高温超電導マグネットの開発に世界で初めて成功。
これにより、メガソーラーや風力発電など、出力の不安定な再生可能エネルギー向けの大容量蓄電シス
テムへの利用も期待されという。今後、このマグネットを2012年から2014年度にかけて開発を進めてい
る大容量超電導フライホイール蓄電システムの中に組み込み、2015年に山梨県米倉山において新たに建
設するメガソーラーとの連系試験を開始する予定だという。


図 超電導磁気軸受付きフライホイール蓄電装置

●フライホイール蓄電システム

電力で装置の内部にある大型の円盤(フライホイール)を回転させ、必要な際に回転する物理的なエネ
ルギーを電力として取り出すシステム。「フライホイール・バッテリー」としても知られる。劣化のな
い電池として使えるため、用途は幅広く、鉄道システムの電力有効利用(回生失効対策)などにも役立
つ。太陽光発電等の電力を蓄電し、曇天により発電量が減少した際に、その減少分を補填するように発
電することができる。

●次世代フライホイール蓄電システム

鉄道総研が考案した超電導バルク体と超電導マグネットを組み合わせた超電導磁気軸受を適用したもの
で、回転する円盤を非接触で浮上させ、軸受の摩擦損失をゼロとすることで運転効率の向上を図ってい
る。また、定期的に交換が必要だった軸受の寿命を半永久とすることが可能だ。現在開発中の「超電導
磁気軸受」は、超電導バルク体と超電導マグネットで構成され、超電導マグネットで発生する磁場に対
する超電導バルク体の反磁性効果により、1組の軸受で約4トンの円盤を浮上させることを目指す。


図 電気メッキされた安定化層含有量を低減する構造



このような大きな重量を浮上させるには、(1)高強度な超電導マグネットに高磁場を発生させる必要
(2)また、効率の良い運用に冷却温度を上げる必要がある。今回、この超電導マグネットに使用する
コイルに、古河電工が2012年に買収したスーパーパワー社の第2世代高温超電導線材を用いて、中部電
力が開発した「よろい」コイル構造の、内径120mm、外径260mmのダブル・パンケーキコイル(テープ状
の超電導線を薄く切ったバウムクーヘンのように巻いた、2枚で1対の扁平なコイル)としている。製
作したコイルを、小型冷凍機を用いた液体窒素を使わない熱伝導による冷却で、51K(マイナス222℃)
に保持して、運転電流である110Aでの通電と磁場を確認し、さらに線材の性能限界の163Aの通電に成功。
また、超電導バルク体との組み合わせ試験を実施し、2トンを超える所期の浮上力が出ていること、強
度的にも問題が無いことを確認している。

●よろいコイル

中部電力株式会社殿が開発した高温超電導マグネットの磁場を飛躍的に向上させる技術です。超電導線
材に作用する電磁力を、超電導線材に接するコイル側板で支える方法で、液状樹脂を用いた絶縁被覆技
術と組み合わせることによって、従来のイットリウム系超電導コイルの2倍、金属系超電導コイルの6
倍という、世界最高強度の電磁力に耐える超電導コイルを実現。

 
図 超電導パンケーキコイル及びその製造方法

 



●第2世代高温超電導線材

この線材は、これまでの「第1世代高温超電導線材」では、高磁場を発生させるために20K(マイナス25
3℃)以下まで冷やさなければならなかったが、50K(マイナス223℃)の温度で運転することが可能と
なり、冷却コストを低減するめどが立った。今後は、さらにコイルを追加して、実規模のフライホイー
ルの浮上試験を行う。この線材組成は、クロム・ニッケル基合金などのテープ状金属基板上に中間層を
成膜し、希土類元素(イットリウムなど)、バリウム、銅等からなる酸化物超電導材料を結晶合成させ
ながら成膜した超電導線材。
 

 
図 電力貯蔵装置の制振構造

●山梨県米倉山メガソーラー

全国有数の日射量を有する山梨県では、地球温暖化対策実行計画の中核として、山梨県甲府市に東京電
力殿と共同で「米倉山太陽光発電所」を建設。44.7haの広大な用地の中、高台に約8万枚の太陽光パネ
ルが設置され、一般家庭約3,400軒分の電力量に相当する年間1,200万kWhを発電している。山梨県では、
超電導フライホイールとの組み合わせる系統連系試験用に、1,000kWの太陽光発電所を建設中。運転開
始後は、実証試験に向けた基礎データの取得を開始する予定だ。ところで、米倉山太陽光発電所に採用
した太陽電池モジュールはCIS薄膜太陽電池であり、影には強いが、発電効率を保つためには植物の影
をなるべく小さくする必要があり、太陽電池モジュールを設置する土地に草が生えにくくする防草特
性と、太
陽電池モジュール表面に付着するチリやホコリを抑える防塵(ぼうじん)特性を高めた。具体
的にはスギやヒノ
キの未使用間伐材から作った材料を土壌に混ぜる『有機質土壌改良工法』を取り入れ
さらに、太陽電池モジュールの設置角度も工夫した。太陽電池を設置するときに最適な角度は、設置場
所の緯度に等しい。山梨県であれば約35度であるが、米倉山太陽光発電所では設置角度を10度とし、

頂の強風が、設置角の大きさと太陽電池モジュールなどにかかり、太陽電池モジュールや基礎、架台強化との
最適化(トレード・オフ)を行っている。

山梨県は再生可能エネルギーへの布石として、例えば、2011年6月には、鉄道総合技術研究所と「超電
導等を用いた電力貯蔵技術の研究の推進に関する協定」を結んでいる。再生可能エネルギーは自然条件
によって大きく発電量が増減し、電力貯蔵装置を使って平準化を試みる動きが進んでいる。例えば鉛蓄
電池やリチウムイオン2次電池だが、電池だけでは大容量化が難しいという意見もある。そこで、国は
2013年度から新しい電力貯蔵技術に関する実証試験を開始、
鉄道総合技術研究所と山梨県は、超電導フラ
イホイールに着眼する。超電導を利用して重量物(回転体)を真空中で浮上させた後、外部から電力エ
ネルギーを与えて回転数を増やしていく。「鉄道でブレーキをかけるとモーターが発電機として働く。
近くの区間に別の電車があれば回生エネルギーをそのまま受け渡せるが、そうでない場合は、熱に変わ
りて無駄になる。鉄道の回生エネルギーをフライホイールを使って回収しているがその原理を使った蓄
電システムの評価を来年度から開始する。
 

※ 参考データ

・「フライホイール電力貯蔵用超電導軸受技術研究開発」中間評価報告書、2003.8、新エネルギー・産
 業技術総合開発機構

超電導磁気軸受を用いた鉄道用フライホイール蓄電装置の研究・開発、鉄道総合技術研究所
第98回「バルク超電導磁石とその応用」の巻、TDK
Bearing Loads in a Vehicular Flywheel Battery, SAE Special Publications, v 1243, Feb, 1997
・「超電導電力ネットワーク制御技術開発」基本計画、新エネルギー技術開発部2007.07.10

以上、急いで俯瞰してきたが、容量、耐久性、コストなど不明確で終えた。これは残件扱いにして今
夜はこの
辺で切り上げよう。


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