A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

アンド・オールソー・ザ・トゥリーズ@新宿MARZ 2015.5.10(sun)

2015年05月12日 00時15分15秒 | 素晴らしき変態音楽


英国音楽/VINYL JAPAN presents
【AND ALSO THE TREES】
奇蹟の初来日!! 英国耽美系ネオサイケ/ギターポップバンド、昨年、THE CUREのXmas GigsのSpecial Guestとして出演したばかり俄然注目をあびるAATT!!!! 絶好のタイミングで2015年5月、初の来日公演決定!!

2015/05/09(sat) & 10(sun)
新宿MARZ
09(sat) OPEN the DOOR 18:00/START to PLAY 19:00
10(sun) OPEN the DOOR 17:00/START to PLAY 18:00
Ticket in advance 6,500 yen (inc VAT) plus one drink fee at door of the venue



30年以上前に心酔していた英国の深い木々AATTが結成36年目にして初来日。日本盤は1984年のデビュー作『And Also The Trees(沈黙の宴)』が出ただけだが、『Fool's Mate』や『DOLL』などインディー系音楽誌で美麗なポートレイトやインタビューが掲載され、ニューウェイヴ少女の人気を博したという。イギリスの田舎の古城に住む美少年兄弟は、やおい系妄想少女漫画の恰好のモデルだった。高校時代にジルベール(漫画『風と木の詩』の美少年)と渾名された筆者だが、AATTに惹かれたのはしかし少年愛に目ざめたからではない。


【英国ロックの迷宮】アンド・オールソー・ザ・トゥリーズ~悠久に沈黙する木々の訪れ~

肖像写真やジャケットアートに見られる透徹した美意識、陰鬱なサウンドに色濃いゴシック趣味、そして何よりも魅力的だったのがガラスの破片を拾い集めるような繊細なギターだった。ピート・タウンジェンド譲りの風車奏法やハイジャンプでパワーコードを掻き鳴らすギタースタイルの筆者にとって、俯いたままアルペジオで蚊の鳴くような弱音でギターを弾くことは、真綿で首を絞められるような気分だったが、逆に自由を束縛されるマゾヒスティックな甘い悦びがあった。当時流行った古着のペイズリー柄シャツや昔父が着ていたカシミアのロングコートに身を包み、ギターのソフトケースを肩にかけて、いつも寒そうにコートのポケットに手を入れて大学の銀杏並木を足早に歩き続けた。



当時、感情表現過多の大袈裟なヴォーカルと感じて苦手だったサイモン・ヒュー・ジョーンズの歌う姿を目の当たりにして、それが自己陶酔や耽美派気取りのカッコつけとはまったく異なることを実感した。彼は歌を唄うのではなく、全身を使って詩を叫んでいるのである。シェークスピア劇に象徴されるように、英語圏に於いては演劇と詩作と音楽は同じ地平の表現行為と言える。当然歌詞の内容が重要になるし、AATTが高く評価される理由は深遠な歌詞にある。だから彼らの真価をレコードだけで判断するのは片手落ちに他ならない。初めて生でライヴを経験することで、思いも寄らぬロック表現の深みを知ることが出来た。



演奏に酔い痴れながら心に去来したのは、当時愛読したエドガー・アラン・ポーやラヴクラフトの幻想文学だった。怪奇小説と呼ぶには恐怖感や驚きの要素が少ないこれらの小説の世界にどっぷりハマったのは、崩壊の途を辿る田舎の没落貴族の住処を舞台に発生する荒唐無稽な妄想現象の数々だった。人間世界のすぐそばに異種生物が潜むという世界観は、墓場の鬼太郎の妖怪話に瓜二つ。有り得ない恐怖体験のバカらしさに笑いながらも、もしかしたらと戦慄する。二重の意味で時代錯誤的なAATTサウンドに、浮き世を忘れて陶酔した。目で見て耳で聞く合法ドラッグ体験は、時間と空間を飛び越えて、中世時代の英国牧歌紀行への導きだった。


AND ALSO THE TREES Official Site

三十五年
続けて来たのは
理由がある

Set List
1. Prince Rupert
2. Shaletown
3. Maps in the Wrists and Arms
4. Wallpaper Dying
5. Shantell
6. A Room Lives in Lucy
7. Virus Meadow
8. Mermen of Lea
9. Paradiso
10. He Walked Through the Dew
11. Brother Fear
12. Mucklow
13. Angel, Devil, Man and Beast
14. Only
15. Your Guess
encore
16. Slow Pulse Boy
17. Burn Down This Town
18. Dialogue
19. Rive Droite

コメント
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