A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

混沌から生まれ出づる未知なるアイドル魔道〜NECRONOMIDOL『from chaos born』

2016年06月17日 01時11分59秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


NECRONOMIDOL
『from chaos born』

VELOCITRON 番号無
¥1404/6・15発売
●問い合わせ:NECRONOMIDOL twitter @NECRONOMIDOL

呪いや怨念や恐怖は映画やアニメ漫画の人気テーマであり、音楽界にもオカルトやホラーをテーマにした作品やアーティストは少なくない。特にサブカル/地下アイドルの世界では“闇”は“病み”と並ぶ定番である。



怪奇小説家H.P.ラヴクラフトの『クトゥルフ神話』に登場する架空の書物『NECRONOMICON(ネクロノミコン)』から名前を取り、2014年3月に結成された“暗黒系”アイドルユニットNECRONOMIDOL(通称ネクロ魔)は、そんな世界観を徹底的に追求したエクストリームな存在と言える。デビュー当時は巫女の衣装で横溝正史の小説を思わせる和的なオカルト性を体現していたが、何度かのメンバーチェンジを経て、丸尾末広の漫画にある学生服に変わり、音楽性も奈落に落ちるようなダークウェーヴから、覇気のあるNWOBHMやゴシックロックへと広げてきた。
【ネクロ魔 Discography】NECRONOMIDOL LIQUIDへの魔道 連動企画その1



2016年2月リリースの1stアルバム『NEMESIS(ネメシス)』は「とおりゃんせ」をベースにした「あたいの爪痕」やクトゥルフ神話に則った「VULTURE(ヴァルチャー)」「KHOLAT SYAKHL(ホラートシャフィール)」、メタル歌謡「暗黒少女戦隊」やスラッシュナンバー「童歌」、闇芝居「SARNATH(サーナス)」まで、極限状態の楽曲が詰まった18ヶ月に亘る“暗黒系”活動の集大成だった。その中で唯一、エンディングを飾るエンジェリックなバラード「'Umr at-Tawil(ウムルアトタウィル)」が新たな旅立ちを予感させる曙光だった。



それから4ヶ月、6月30日恵比寿LIQUIDROOMでの4thワンマン直前にリリースされたEP『from chaos born』はひと回りもふた回りも成長した5人の現在(いま)をヴィヴィッドに映し出した作品集となった。

1. PSYCHOPOMP
冒頭の瑳里と九十九ほたるのクリスタルクリアなハイトーンヴォーカルに圧倒される。「嗚呼 ララララ」というリフレインの胸を切り裂く切なさの奔流に溺れながらも、分厚いファズギターと脅迫的なドラム&ベースに覚醒し、「この手を握って安らぎへ導くよ」と歌われる刹那の願いに翻弄される。

2. 死民解放軍
打って変わって勇猛なHMナンバー。ツインギターとチェンバロの調べに導かれて「進め進め暗黒時代へ」と自らの出自であるダークネスへ聴き手を誘う行進曲である。勧誘の対象は死民(Dead People)。死んだ魚の目をした生気のない現代人の霊を有体から解放することが、暗黒軍団ネクロ魔の勝利だと宣言する凱旋歌。

3. NYX
スピードメタル風だが、メロディは所謂アイドルソングの流儀に則る。ネクロ魔の曲は比較的ソロパートが中心だが、この曲は珍しくユニゾンが多い。途中の低音ヴォイスは柿崎李咲。Anaplekte(アナプレクテ)と繰り返すエロいため息ヴォイスは誰だろう。Nyx(ナイクス)とはギリシャ神話の夜の神の名。Anaplekteは即死を意味するNyxの娘。

4. TAMAM SHUD
ノリの良いロックアイドルチューン。キラキラポップなメロディを歌うメンバーのアイドル要素が全開する新機軸ナンバー。しかし「懺悔」「血の染み」「屍」「カモメのえさ」と鬼畜な言葉の並ぶ歌は、やはり暗黒世界のネクロ魔ワールド。特に「霊安室へ参りましょう」と歌う夜露ひなの甘い誘惑には従うしかない。ペルシア語で「終わった」「済んだ」という意味を表すTAMAM SHUD(タマムシュード)とは1948年にオーストラリアで身元不明の男性の遺体が発見された事件のことだが、ここでは復讐の女神であることが明かされる。

5. MIDNIGHT DOMINATOR
80'sジャパニーズメタルを彷彿させるハードロック歌謡。「真夜中の支配者」が死民に「天罰」を与えるという物語は、クトゥルフ神話にありそうだが、ネクロ魔が歌うと、漫画「ああっ女神さまっ」のラヴコメディに似た痴話妄想に聴こえる。ネクロ魔の天罰なら大歓迎、と悦ぶ男子は多いに違いない。ライヴでは筋肉少女帯「踊るダメ人間」そこのけのエックスジャンプの嵐が起こるという。

6. IDOL'S ELEGY
3.と同じくヴィジュアル系ロックバンドFOXPILL CULTの西邑卓哲作曲ナンバー。哀愁感のあるテクノフォークに乗せてアイドルの苦悩が切々と歌われる。「世界知るほど怖くて潰されそう大人に 明日も生きよう寂滅夢は遠のく」という久坂華恋の述懐が胸熱。それでも「私は君の最後の笑顔」とアイドルとして生きる決意が滲むメンバーの等身大の告白ナンバー。各メンバー入れ違いの歌声がことごとく可愛い過ぎる。



エクストリーム系の地下アイドルナンバーといえば、デス声の絶叫やロリータアニメソングが多いが、その中にあってネクロ魔の歌は驚くほど真摯で真面目で本格派である。クトゥルフ神話の世界観を徹底させ、完成度の高さを追求する彼女たちのスタンスは、ただの地下アイドルでは終るまい、という決意の現れと言えるだろう。だからといってキラキラ系の萌え系女子の仲間入りを目指す訳でもない。ネクロ魔の行く手には、誰も辿ったことの無い未知なるアイドル魔道が待っているのだ。

NECRONOMIDOL LIQUIDへの魔道


LIQUIDから
魔ザー牧場
参りましょう

NECRONOMIDOL ミニライブ&特典会
開催日時:2016年06月18日(土) 12:00
場所:タワーレコード新宿店 7F

参加方法
観覧フリー。イベント当日、タワーレコード新宿店にて、6/15発売NECRONOMIDOL「from chaos born」をお買い上げいただいた方に、先着で特典券を差し上げます。

1枚購入 メンバー1人と2ショットチェキ、またはソロチェキ
2枚購入 メンバー全員との囲みチェキ
3枚購入 メンバー全員と2ショットチェキ、またはソロチェキ (チェキ合計5枚)
※特典は重なるタイプではなく、特典券を消費するパターンとなります
※ライブ中 撮影可 特典会中 不可
・対象商品のお取り置きはできませんので予めご了承ください。
対象店舗:新宿店
詳細

NECRONOMIDOL 4th ワンマンライブ
TENEBRAE ASCENDANT

2016年6月30日(木) 20:00開演
恵比寿LIQUIDROOM
立見 ¥2500(Drink別)
イープラス

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