日曜日の朝はやっぱりヴェルヴェット・アンダーグラウンドの『日曜日の朝』で目覚めたい、とYouTubeをググったところ、いろんなアーティストによるカヴァー・ヴァージョンが見つかった。以前ベックによるVUカヴァー音源・動画をまとめて紹介したことがあったが、今日は女子ヴォーカルによるVUカヴァーを集めてみた。ドラッグ/退廃/前衛/ノイズといったイメージではなく、VUのリリカルな感性が際立つヴァージョンばかり。ヴェルヴェッツ女子の歌声で日曜日の午後のひとときをお過ごしください。
⇒祝!ルー・リード70歳~BeckによるVelvet Undergroundカヴァー・コレクション
●シュガーキューブス『スウィート・ジェーン』
Sugarcubes -SWEET JANE
80年代ビョークが在籍していたアイスランドのバンド、シュガーキューブスが1986年映画『Skytturnar』のサントラに提供したカヴァー。ビョークのその後のアーティスティックな活動の核には当然ヴェルヴェッツの魂が宿っているに違いない。
●ザ・プリミティヴズ『ユア・ミラー』
The Primitives - I’LL BE YOUR MIRROR
ブロンドボブの美形ヴォーカリスト、トレイシー・トレイシー率いるコヴェントリー出身のインディー・ギターバンド。1989年の2ndアルバム『ピュア』のボーナストラックとして発表された。80'sインディーロックシーンに於けるヴェルヴェッツの影響力は多大で、ギターロック/ネオアコ/シューゲイザーなど様々なスタイルのバンドがカヴァーしている。
●NYルース『日曜日の朝』
NY Loose - SUNDAY MORNING
ヴェルヴェッツの1stアルバムの1曲目のこの曲は美しいメロディと気怠いサウンドで、ロックやパンクに留まらず幅広いカヴァーが存在するが、筆者にとっては70'sNYパンクの精神を90年代に継承した"NYパンクの妖精"ブリジット・ウェスト率いるNYルースのデビュー・アルバム『イヤー・オブ・ザ・ラット』に収録されたカヴァーにとどめを刺す。小悪魔風のキュートな歌にニューヨークの魂が宿っている。
●ヴァネッサ・パラディ『僕は待ち人』
Vanessa Paradis- I'M WAITING FOR THE MAN
こちらはフランスの小悪魔のVUカヴァー。92年レニー・クラヴィッツのプロデュースによる3rdアルバム『ビー・マイ・ベイビー(Vanessa Paradis)』に収録。舌足らずな英語の歌は、世界中のロリータファンの喝采を浴びた。当時レニーとの交際の噂もあったが、98年にジョニー・デップと結ばれ1男1女を授かるが2012年に破局。無垢な頃のあどけなさが妬ましい。
●スージー&ザ・バンシーズ『オール・トゥモロウズ・パーティーズ』
Siouxsie and The Banshees - ALL TOMORROW'S PARTIES
元セックス・ピストルズ親衛隊員のスージー・スー率いるパンクバンドの91年12月ロサンゼルスでのアーコ−スティック・ライヴ音源。CDシングル『O-Baby』(94)で発表された。ゴシックな装いでポジティヴパンクの先駆者となったスジバンには退廃的なヴェルヴェッツのサウンドがよく似合う。
●ヴォイス・オブ・ザ・ビーハイヴ『ジーザス』
Voice Of the Beehive - JESUS
86年ロンドンにて結成、カリフォルニア生まれのトレーシーとメリッサの姉妹がヴォーカルをつとめる5人組ポップバンド。ドラマーは元マッドネス。60'sガールズポップのセンスを80年代に蘇らせたカラフルなサウンドで人気を博した。アコースティック版VUカヴァーは88年BBCラジオでのセッション。
●ザ・キルズ『毛皮のヴィーナス』
The Killes - VENUS IN FURS
アメリカ人ヴォーカリスト、アリソン・モシャートとイギリス人ギタリストのジェイミー・ヒンスによるロック・デュオ。2000年に結成、サマーソニックやフジロックで何度も来日する現代ロック界の人気ユニット。結成当時からヴェルヴェッツの影響を公言している。ジェイミーはスーパーモデルのケイト・モスのパートナーでもある。
●ガービッジ『キャンディ・セッズ』
Garbage - CANDY SAYS
90年代グランジシーンを象徴する女性ヴォーカリスト、シャーリー・マンソン率いる4人組。94年ニルヴァーナのプロデューサーのビッチ・ヴィグを中心に結成。間もなくニューアルバム『Strange Little Birds』がリリースされる。VUのアシッドフォークナンバーを歌うシャーリーのコケティッシュな歌声が素敵。
●シェリル・クロウ&エミルー・ハリス『ペイル・ブルー・アイズ』
Sheryl Crow & Emmylou Harris - PALE BLUES EYES
70年代、90年代それぞれのアメリカン女性SSWの代表格の1997年のライヴ共演によるVUカヴァー。VUがアンダーグラウンドを超えて音楽シーン全体に大きな影響を与えていることがよくわかる。カントリー風のアレンジは悪くない。シェリルの声が思いのほかスウィートで萌えてしまう。
●ザ・ホワイト・ストライプス『アフター・アワーズ』
The White Stripes - AFTER HOURS
1997年アメリカ・デトロイト出身のメグ(ds)とジャック(vo,g)のホワイト姉弟によるガレージロック・デュオ。グラミー賞を3回受賞しており、2000年代のロックシーンを代表する存在だが、2011年解散を発表した。2000年大晦日のライヴに於けるVUカヴァーは、珍しくメグがリードヴォーカルをつとめ、VUのモーリン・タッカーを思わせる不安定は歌声を聴かせる。
●ドリー・ミクスチャー『宿命の女』
Dolly Mixture - FEMME FATALE
デブシー(b,vo)、レイチェル(g,vo)、へスター(ds,cho)のトリオで1978年に結成されたガールズパンクバンド。当時のパンクシーンではVUの影響は大きかったが、「I'm Waiting For My Man」「Heroin」「White Light/White Heat」といったハードなナンバー中心で、穏やかな「Femme Fatale」をカヴァーするのは珍しかったという。ドリー・ミクスチャーは怒りの音楽=パンクに、60'sキャンディーポップの要素を取り入た最初のバンドのひとつだった。アマチュア精神が漲ったサウンドはインディーロックのお手本。
ヴェルヴェッツ
日曜以外も
聴くけれど
1966年アンディ・ウォーホールによるヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコのドキュメンタリー映像64分。
The Velvet Underground and Nico '66