A Challenge To Fate

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【第2回解体的ジャケット交歓大会】BiS/THE POP GROUP/きのこ帝国/RADWIMPS/ナオトetc.

2016年11月20日 01時09分16秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界
BiS(新生アイドル研究会)

覚えている人は殆どいないだろうが、約2年前の2014年12月20日に当ブログ上で『解体的ジャケット交歓大会』なるコンテストが開催された。ノイズ/アイドル/ロケンロー/J-ロック/プログレ/フリージャズ入り乱れての交歓会は、アイドル界の<混沌>を象徴した新生アイドル研究会(Brand-new idol Society)=BiSの解散に象徴されるように、時代が<混沌から交歓へ>と向かう新たな潮流をを先取りした画期的な企画であった。
【第1回解体的ジャケット交歓大会】非常階段/ゆるめるモ!/ニューエストモデル/ふぇのたすetc.

THE POP GROUP

しかしながら若干時代的に早過ぎたこともあり、それ以来続編が開催されないまま2年が過ぎた。しかし、2016年夏BiSが新メンバーで活動再開することが発表されたのに呼応するかのように、まるで先達をディスるような挑発的なジャケットが続々登場してきた。国内のみならず海外をも巻き込んだ新旧ジャケット対決は<混沌><交歓>の先を提示するエポックメイキングな出来事に違いない。新時代の夜明けを飾るに違いない第2回解体的ジャケット交歓大会の模様をレポートする。


きのこ帝国

【第1試合】J-ロック vs. ジャパメタ
●RADWIMPS 『君の名は。』(2016)

2016年夏公開される新海誠監督のアニメーション長編映画『君の名は。』のために制作された、主題歌と劇伴曲を収録したアルバム。新海誠監督とRADWIMPSによる綿密なやり取りを経て完成した今作は、プロット段階から1年以上かけ、妥協のない作業を繰り返した末に生まれた、オリジナルアルバムに匹敵する濃密な作品。RADWIMPSの多種多様な音楽性と、新海誠監督の美しくも切ない詩的な世界観が化学反応を引き起こし、音楽とアニメーションのかつてない密なコラボレーションによる作品となった。

●OUTRAGE 『Black Clouds』(1988)

ジャパニーズ・スラッシュメタルの雄OUTRAGEの1988年発表のメジャー・デビュー・アルバム。各パートのテクニックも水準以上で、さらに全曲英語歌詞という世界的レベルに到達している作品。

【寸評】雲ジャケ対決。80年代末の先行き不透明な時代を象徴する重圧的な暗雲をヘヴィなスラッシュメタルで切り裂くアウトレイジに対して、雲の向こうに流れる彗星が悲劇と希望を示すラドウィンプスはテン年代の楽観主義を標榜する。流行語大賞にノミネートされた映画絡みでラドの勝ち。


【第2試合】J-ポップ vs. 英国ポップ
●ナオト・インティライミ 『Sixth Sense』(2016)

ヒットシングル「いつかきっと」「Overflows~言葉にできなくて~」を含む、世界48ヵ国を旅してきたナオトならではの様々なジャンルの境界線を行き来した、約2年ぶりとなる6枚目のオリジナルアルバム!!

●二ール・イネス『テイキング・オフ』(1977)

ボンゾ・ドッグ・バンド、ラトルズを率いたニール・イネスが77年に発表した2ndソロ・アルバム。本作はメロディメイカーそしてミュージシャンとしての彼の魅力が堪能できる作品。ラトルズの2ndアルバムで再演された「シャングリラ」をはじめ「ゴッド・イズ・ラヴ」など数々の名曲を収録。

【寸評】世界中を旅するコスモポリタン歌手ナオトと偏屈英国人の諧謔趣味に生きるニール・イネス。多重鏡ジャケ対決はおっさんなのにアヒルの人形でかわいさをアピールした二ールの勝ち。


【第3試合】シューゲ vs. アンビエント
●きのこ帝国『愛のゆくえ』(2016)

メジャー・デビュー・アルバム『猫とアレルギー』から1年。配信シングル「クライベイビー」「夏の影」「愛のゆくえ」(映画 『湯を沸かすほどの熱い愛』主題歌)を含む、メジャー・セカンド・アルバム。“東京”から“クロノスタシス”に歩みを進めたように、また一歩新たな扉を開けた、新境地の楽曲が並ぶ傑作。

●クラスター&イーノ『クラスター&イーノ』(1977)

ブライアン・イーノとクラスターのコラボレーションによる1977年発表のアルバム。「苦悩」他、全9曲収録。

【寸評】青空の真ん中に何かを立てたジャケ対決。轟音ギターより浮遊感を強調したきのこ帝国の新作はブライアン・イーノ等の影響が伺える。マイクロフォンで環境音を記録するクラスターイーノの枯れた味わいも捨て難いが、ポールの先に何があるのか想像力を刺激するきのこに軍配が上がった。


【第4試合】ポストパンク vs. ブリットポップ
●ザ・ポップ・グループ『ハネムーン・オン・マーズ』(2016)

ポストパンク界の飽くなき挑戦者=ザ・ポップ・グループ。デビュー作『Y(最後の警告)』以来、37年振りにプロデューサーにデニス・ボーヴェルを迎えたオリジナルアルバム!

●ホワイトアウト『バイト・イット』(1995)

1991年にスコットランドのグリーノックで結成。ストーン・ローゼズや1970年代のカントリーロックやグラムロックに影響を受けたサウンドを展開し、オアシスやパルプ、シャーラタンズのオープニング・アクトを勤めアイドル的な人気も博した4人組の1995年のデビュー・アルバム。

【寸評】バンドとしては大先輩のポップ・グループが、ブリットポップの徒花のジャケをパクったとは考えにくいが、チョコをBite It(食べて)し過ぎた虫歯の為の歯磨き粉チューブとも考えられる。ウォーホールのポップアートを思わせるセンスの裏に皮肉を込めた批判精神を隠したポップ・グループの深いコンセプトの勝利。


【第5試合】アメリカンロック vs. UKロック
●キングス・オブ・レオン 『ウォールズ』(2016)

デビュー以降、これまでにグラミー3冠をはじめ数々の音楽賞を受賞、そして英グラストン・ベリーなど大型ロック・フェスでのヘッドライナーとしても数多く出演。“南部のストロークス”とも謳われる、キングス・オブ・レオン通算7枚目の作品。2016年作。

●ビューティフル・サウス『0898』(1992)

英国ではアリーナ・バンドの地位を確立したB.サウスの3作目。ディーコン・ブルー等で御馴染みのジョン・ケリーをプロデューサーに迎え,一段としっとりとしたサウンドがあっさりポップ味のメロディにジャスト・フィット。シニカルな詞も冴えている。

【寸評】お面顔ジャケ対決。メンバーのお面にロックギターを響かせるアメリカモダンロックに対して、亀の甲羅を人面化したシニカルUKロックが一枚上手であることは誰の目にも明らか。


【最終試合】アイドル vs. ノイズ
●BiS『Brand-new idol Society 2』(2016)

新生アイドル研究会BiS再始動!惜しまれつつ解散したBiSの人気曲再録から最新曲まで収録したファースト・アルバム。プールイ・渡辺淳之介・松隈ケンタのタッグ再び!

●Nurse With Wound / Organum 『A Missing Sense / Rasa』(1986)

30年以上に亘り活動するノイズ界の二大巨頭スティーヴン・ステイプルトン(ナース・ウィズ・ウーンド)とデヴィッド・ジャックマン(オルガヌム)のガチンコ対決。コラージュとドローンが拮抗する魔界音楽の極み。

【寸評】3年前に世界で初めてアイドル+ノイズの融合を成し遂げた先駆者BiSが再びノイズへのリスペクトを表明した。しかもノイズ仙人ふたりの幻のいぶし銀スプリットLPを採り上げるとは新BiSただ者じゃない。カラフル骸骨曼荼羅とお魚内蔵モノクロ曼荼羅は、食べたら人生変わってしまいそうな危険度の高さは甲乙付け難いが、今はノイズよりアイドルを推したい俺の独断でBiSの勝ち。

CHANGE the WORLD / BiS-新生アイドル研究会-[OFFiCiAL ViDEO]


【総評】第1回大会が開催された2年前に比べ、ストレートなオマージュが減り、一目見ただけでは元ネタが分からないレアジャケが大半を占めた。雲を除いては具体的な物や形ではなく、手法やコンセプトを踏襲したモノが多く、フォルム(形)よりもイデア(思想)を重視する傾向が顕著である。特に女子ジャケ(きのこ帝国、BiS)に於いてはヴィジュアルだけでなくイデオロギーやスタイルの類似性が明らかで、内面の変革を求める前衛の在り方が問われる時代の到来を意味している。ガラパゴス的地域主義からグローバリズムへの変化が唱えられてから久しいが、無闇に世界共通水準を口にするのではなく、自らの存在意義を問い直し、内面的葛藤を有耶無耶の侭に放置せず、寧ろ自発的に発散する中で、同じように生きる同時代人としての解体的生存衝動を共通言語として分かち合うべきである。そうした言わば<共鳴>の中に世界を変える(CHANGE the WORLD)神秘の呪文が隠されているに違いない。

新時代
告げる名前は
ペリ・ウブだ



BiSニューアルバム「Brand-new idol Society2」発売記念イベント
開催日時 2016年11月17日(木) 20:00
場所 タワーレコード 新宿店 7F





ペリ・ウブ♥名前だけじゃなく実物もかわいい。推せる!


Pere Ubu, "Breath"
コメント
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