A Challenge To Fate

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【Disc Review】ロックの自意識拡張の試み『サーストン・ムーア/ロックンロール・コンシャスネス』

2017年05月09日 01時46分45秒 | ロッケンロール万歳!


ロックンロールの自意識/無意識拡張の試み

サーストン・ムーア3年ぶり5作目のソロ・アルバム。『ロックンロールの意識』というタイトルを聴いた時は丁度チャック・ベリーが亡くなった後だったので、スリーコードの3分間のR&Rに回帰したのかと想像していたが、完成したアルバムは長尺ナンバー全5曲、ドローン、パンク、シューゲ、オルタナ。エクスペリメンタルといったソニック・ユース以来のサーストンのトレードマークをごった煮にした異形のロックアルバムとなった。熱に感応して色づいたジャケット写真ではにかむような笑みを浮かべたサーストンの自信のほどが伺える。前作『ザ・ベスト・デイ』(2015)からのバンドメンバー、デビー・グッギ(B/マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン、プライマル・スクリーム)、ジェイムス・エドワーズ(G/ノウト、グアポ)、スティーヴ・シェリー(Dr/ソニック・ユース、サン・キル・ムーン)が参加しており、2年間のワールドツアーで固めた信頼感が音に表れている。

天使や神秘主義や癒しの力をテーマにした独創的な歌詞は、詩人の例ディオ・ラディユーとの共作。物憂げなサーストンの歌声と哀感が溢れ出るメロディーラインが美しい「スモーク・オブ・ドリームス(夢たちの煙)」、ソニック・ユースmeetsマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン風の「カスプ(先端)」など聴き所多数。ジェイムスの伸びのあるギタープレイが印象的。ソニック・ユースのファンならばニヤリとしそうな美味しいフレーズも満タン。聴き終える頃には頬が火照り、ジャケットに似た色彩に染まっているかもしれない。

Thurston Moore「Smoke Of Dreams」


実験を
ロックンロールに
してしまえ



Thurston Moore(サーストン・ムーア)
Rock N Roll Consciousness(ロックンロール・コンシャスネス)
Ecstatic Peace library/ Hostess HSU-10122

<トラックリスト>
1. Exalted
2. Cusp
3. Turn On
4. Smoke Of Dreams
5. Aphrodite

日本盤ボーナストラック
6. Cease Fire
7. Mx Liberty

■ショート・バイオ
ニルヴァーナやダイナソーJrと並びUSオルタナ黄金時代を代表するバンド、ソニック・ユースのフロントマンとして83~11年の間に通算16枚の公式スタジオ・アルバムを発表。ソロで4枚のスタジオ・アルバムと多数のセッション/実験作を発表。12年11月に開催した第3回ホステス・クラブ・ウィークエンダーではヘッドライナーを務めた。13年に新バンド、チェルシー・ライト・ムーヴィングを結成しアルバムを発表。14年10月にはソロ4枚目となるアルバム『ザ・ベスト・デイ』を、17年4月にはソロ5作目となる『Rock N Roll Consciousness』をリリース。
コメント
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