既にイギリスでは大きな話題になっているが、70年代半ばのブリティッシュ・ロック・バンド、ドクターズ・オブ・マッドネスの完全アンソロジー三枚組CDボックスセットがリリースされた。活動中に英ポリドールからリリースされた三枚のアルバムに各アルバム制作当時のデモやライヴ音源がボーナス・トラック(内未発表トラック8曲)として収録されている。
28ページのブックレットにはMOJOマガジンの記者でダムドのバイオ本『Smashing It Up: A Decade Of Chaos With The Damned』の著者でもあるキーロン・タイラーによる詳細なライナーノーツを数多くの写真・図版入で掲載。紙ジャケは正直言って日本製に比べるとクオリティは劣るが、厚手のボックスは安価盤(£17.99=約¥2600)にしてはしっかりしている。
『LATE NIGHT MOVIES, ALL NIGHT BRAINSTORMS/精神錯乱』(MARCH 1976)+5
1. WAITING
2. AFTERGLOW
3. MITZI'S CURE
4. I THINK WE'RE ALONE
5. THE NOISES OF THE EVENING
6. BILLY WATCH OUT
7. B-MOVIE BEDTIME
8. MAINLINES
BONUS TRACKS
9. DOCTORS OF MADNESS **
10.BALLAD OF A THIN MAN *
11.WE DON’T GET BACK *
12.B-MOVIE BEDTIME *
13.OUT *
* PREVIOUSLY UNRELEASED DEMO’S
** OUTTAKE
『FIGMENTS OF EMANCIPATION/虚構の美学』(OCTOBER 1976)+3
1. BROTHERS (FOR JOHN & BRIAN)
2. SUICIDE CITY (FOR JACQUELINE)
3. PERFECT PAST (FOR RENE)
4. MARIE & JOE (FOR MARIE & JOE)
5. IN CAMERA (HUIS CLOS)
6. DOCTORS OF MADNESS (FOR ME & YOU)
7. OUT (FOR MITZI)
BONUS TRACKS
8. FRUSTRATION * 9. I MAKE PLANS *
10.TRIPLE VISION **
* PREVIOUSLY UNRELEASED DEMO’S
** ACOUSTIC DEMO
『SONS OF SURVIVAL/生存衝動』(MARCH 1978)+5
1. 50s KIDS
2. INTO THE STRANGE
3. NO LIMITS
4. BULLETIN
5. NETWORK
6. SONS OF SURVIVAL
7. BACK FROM THE DEAD
8. TRIPLE VISION
9. KISS GOODBYE TOMORROW 10.COOL (LIVE IN THE SATIN SUBWAY)
BONUS TRACKS
11.DON’T PANIC ENGLAND
12.WILLIAM BURROUGHS INTRO TAPE (LIVE)
13.TROUBLE (LIVE)
14.MAKING MACHINES (LIVE)*
15.WHO CRIES FOR ME? (LIVE)*
* PREVIOUSLY UNRELEASED
「デヴィッド・ボウイとセックス・ピストルズのミッシングリンク」「パンク以前にパンクだった」プロトパンク・バンドとしての再評価は、不遇のバンド、ドクターズ・オブ・マッドネスが解散から約40年目にしてやっとロック史に居場所を見つけることで成仏できたと言えるだろう。ライナーノーツや海外プレスを読みながらパラノイアロックの迷宮の旅に終わりを告げるとしよう。
【海外記事】
⇒【The Guardian】Doctors of Madness, the band that prophesied punk – and then disappeared
⇒【It's Psychedelic Baby】Doctors Of Madness interview with Richard Strange
【海外ラジオ】
⇒BBC Radio: Robert Elms: Listed Londoner: Richard Strange 1 May 2017
⇒BBC Radio 2: Jools Holland Former Doctor of Madness Richard Strange guests Mon 15 May 2017
【過去インタビュー】
⇒【再録インタビュー】ドクターズ・オブ・マッドネス~狂気の医師団・奇跡の来日!(2003年4月)
⇒【来日直前インタビュー】リチャード・ストレンジ(ドクターズ・オブ・マッドネス)(2016年8月)
【私のドクターズ・オブ・マッドネス溺愛史】
⇒第1回:『精神錯乱』『サンズ・オブ・サヴァイヴァル』
⇒第2回:『虚構の美学』『修正論:狂気の医師団1975-1978』
⇒第3回:『リチャード・ストレンジのライヴで立身』『リチャード・ストレンジの驚異の出世』
⇒第4回:ジ・エンジン・ルーム/インターナショナル・ノイズ・オーケストラ
ドクターズ
狂気と病気の
継承者
そう思っていたら、現在UKツアーを敢行中のリチャード・ストレンジ、アーバン・ブリッツのオリジナル・メンバーに日本のシスター・ポールを加えたドクターズ・オブ・マッドネスが9月に再び日本にやってくるという。狂喜の旅の終着駅はまだまだ先になりそうだ。