折角パリを訪れるのだから、今年7月5日に逝去したミュージック・コンクレートの始祖のひとりピエール・アンリの所縁の地を訪ねてみようと調べたところ、現在アンリの業績や作品等を保管・公開しているアーカイブはネット上にしかなく、所謂展示館・記念館のような施設は存在しないことが判明した。公的な研究機関や組織に所属した経験はあるが、1971年に自分のスタジオを設立して個人として独立したアンリの業績を管理するのはアンリの遺族しかおらず、曾ての協力者たちも決して権力や財力が豊富な訳でもない。だから彼のアーカイブは、パリ12地区(32 rue de Toul)にあるStudio Son-Réと名付けられた自宅兼仕事場に生前そのままの状態で保管されている。この家は借家なので、今後何らかの理由で解体・散逸・遺棄されてしまう危険性がある。現代音楽のみならず人類の音楽史に明確な爪跡を残したマッドサイエンティストの奇怪極まりない作品やその素材が失われてしまっては地球文化史の大きな損失。区画整理の為に立ち退き・解体の危機に晒されているアンリの家を救おうと、署名運動が展開されている。
ピエール・アンリの家を救うため、フランソワーズ・ニセンアンヌ・フランス文化大臣とイダルゴ・パリ市長への嘆願書
7月5日に死去したエレクトロ・アコースティックの作曲家ピエール・アンリの家が、不動産プロジェクトの為に解体の危機にあります。この家は長年アンリの楽器として機能してきました。アンリは曾て作曲家として活動を始めて以来、スタジオに住みコンソールと自ら集めた音に囲まれて生活したいと語りましたが、スタジオやコンサートホールとしても使われたこの家は、まさに床から天井からすべてが音楽に捧げられています。このユニークな家は我々の遺産であり守らなければなりません。
ピエール・アンリの家を破壊から守りましょう!
⇒Sauvez la maison de Pierre Henry/ピエール・アンリの家を救おう
上記のサイトにアクセスし、メールアドレス、氏名、国籍、郵便番号、あなたにとってアンリの家が重要な理由(簡単な英語でOK)を記入し、SIGNER(送信)をクリックしてください。Facebook投稿も可能。
Pierre Henry dans sa maison studio d'enregistrement | Archive INA
Pierre Henry en studio | Archive INA
仏蘭西巴里
怪奇骨董電子音楽
玉手箱
【特報】ピエール・アンリ生誕記念コンサート開催
ピエール・アンリの90歳の誕生日(12月9日)に記念コンサートが開催される。
PIERRE HENRY (1927-2017), UN PIONNIER/開拓者、ピエール・アンリ
会場:MAISON DE LA RADIO - STUDIO 104/RADIO FRANCE
⇒PIERRE HENRY, UN PIONNIER
2017年
12月8日(金)21:00『現代のためのコンサート』出演:THIERRY BALASSE
ピエール・アンリとティエリー・バラスによる現代のためのコンサート。
12月9日(土)20:00『生誕記念新作初演』出演:THIERRY BALASSE
生誕記念日のコンサート・プログラム。ピエール・アンリの3つの新作。
12月10日(日)16:00『GRMによるピエール・アンリへのオマージュ』
FrançoisBayle、Luc Ferrari、François-BernardMâche、Pierre Schaeffer、Iannis Xenakisの作品でPierre Henryに敬意を表します。