A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

灰野敬二2デイズ~FOXPILL CULT主催@東高円寺UFO CLUB 2018.7.12(thu)/doubtmusic主催@秋葉原Club Goodman 2018.7.13(fri)

2018年07月17日 07時31分41秒 | 灰野敬二さんのこと


最近には珍しく灰野敬二が2日間連続でライヴ出演した。対バン/音楽性が大きく異なるイベントでどちらもギターによるソロ演奏を披露。高円寺と秋葉原、東京地下音楽の新旧の世代を象徴するムードを感じさせる二日間でもあった。

7月12日(木) 東高円寺U.F.O club


FOXPILL CULT自主企画
「ポトラッチデッド vol.29 -共感不可能!!ワンマン直前スペシャルvol.2!!!-」
前売2800円+1D 当日3200円+1D
開場19時 開演19時30分

出演
FOXPILL CULT
灰野敬二
純情マゼラン

劇団「廻天百眼」の音楽監督を務める西邑卓哲(vo,g)率いる4人組ロックバンドFOXPILL CULTの自主企画ライヴ。寺山修司やJ.A.シーザーなどアンダーグランド・カルチャーを好む西邑から灰野に熱心なオファーがあったという。ネクロ魔にも楽曲を提供していてライヴも数回観たことがあるが、まさか灰野とつながるとは思ってもいなかった。UFO CLUBは何度も来ているが、この日は特に若い女性客が多い。高円寺らしいレトロなファッションの姫カットの女子もチラホラ。数年前GEZANや八十八ヶ所巡礼を観た頃を思い出させる。

●純情マゼラン


2017年5月に山梨から上京してきたというGt.Vo.稲妻アキ、Ba.マッシュ琥珀、Dr.モッティーのトリオ(当初は女子キーボードがいたが脱退した模様)。いかにもUFO CLUBらしい長髪サイケロック。姫カット女子の目線の先で、鋭いカッティングのギターにぬめぬめしたヴォーカルを聴かせるスタイルに、いくつかのバンド名が頭に浮かぶが、先人の爪の垢を煎じて飲むのではなく、彼らの残した轍を破壊しながら蛇行突撃する傍若無人ぶりが発揮されれば、新たなサイケシーンの顔になるに違いない。

純情マゼラン MV『サイダー』



●灰野敬二


フレーズを放射しつつ言葉を紡ぐギターパフォーマンス。耳を圧する轟音ではなく包み込むような空間性を持ったギターのレイヤーは、音量よりも音の厚みで聴手の触感を振動させる。言葉はしばしばスピーカーのインピーダンスを超過して聞き取れないが、神や愛に関連する主題が語られているように思える。ソファに座って俯いたままスマホをいじる客の姿もあるが、魅せられたようにステージを凝視してスローモーションのように体を揺らす姿も見受けられた。


●FOXPILL CULT


昨年観たときは男子だったベーシストが女子に変わっていた。そのせいではないと思うが、以前感じたデジタル色は薄くなり、よりロックバンドらしいサウンドになっている。長身の西邑の歌とパフォーマンスがバンドを牽引し、ゴス/ヴィジュアル/メタル/テクノとスタイルが変わってもFOXPILL CULTらしいアート感覚が貫かれている。

FOXPILL CULT - アートサマージ 悪魔の人体時計版 (※2018年8月8日発売「死ぬ迄踊れ」より)







7月13日(金)東京 秋葉原 CLUB GOODMAN


doubtmusic 2018
13周年記念祭り!

18:00開場/18:30開演
前売:3,000円/当日:3,500円(1 DRINK別途)
・NMASTRO(沼田順+Hiroshi Hasegawa from ASTRO)with 沐 -Ara the taiko-(和太鼓トリオ)
・大友良英+DJ sniff ターンテーブル・デュオ
・saxophonedaxophone(内橋和久+広瀬淳二)
・ドラ美保(ドラびでお+若林美保)
・灰野敬二 ソロ

前日のUFO CLUBがアウェーだとしたら、この日はホームの地下ジャズ/地下ノイズ/地下ロックを13年間世の中に出し続けて来た稀有なレーベルdounbtmusicの周年イベント。出演者及び観客の平均年齢は確実に10歳以上高いが、ライヴに挑む心意気は勝るとも劣らないコアな空間だった。

●NMASTRO(沼田順+Hiroshi Hasegawa from ASTRO)with 沐 -Ara the taiko-(和太鼓トリオ)


レーベルオーナーの沼田順がギター、ASTROこと長谷川洋がエレクトロニクスのデュオはジャパノイズと即興の進化型だが、ステージを異空間にワープさせたのは和太鼓トリオ沐 -Ara the taiko-の肉体パフォーマンスだった。トライバルな野蛮ギャルドのビート感が電気ノイズを侵食し、音の出自が身体機能の末裔であることを高らかに歌い上げた。


●saxophonedaxophone(内橋和久+広瀬淳二)


ドイツの音楽家ハンス・ライヒェルが開発した不思議な楽器ダクソフォンはこれまで内橋和久の演奏で観たことはあるが、ダクソフォンだけのライヴは初めて。様々な形の木片を付け替えて弓で擦ったり叩いたりする奏法は、楽器演奏というよりコケシ職人の手作業のよう。出てくる音は想定外というか予想通りというか、意識のアンビヴァレンツを助長する。その意味では定型のない広瀬淳二のテナーと相性がいい。


●ドラ美保(ドラびでお+若林美保)


若林美保は客席真ん中の天井からロープを貼って場外パフォーマンス。ドラびでおが彼女に向けてレーザー投射するので、観客の瞳に直接突き刺さる。翻る羅紗布に描かれる幾何学模様が美しい。後半トップレスになった美保の肢体に眩しさに目を細めたのはレーザーのせいだけではない。


●大友良英+DJ sniff ターンテーブル・デュオ


左に大友、右にDJ sniffのターンテーブル対決。両者が張り合うわけでもなく、かといってお互い合わせるわけでもなく、自分の意思を貫くコラボレーションは、即興演奏の極意を知らなければできやしない。ジャンルやスタイルの異なる共演を重ねた二人ならではの、オルタナティブなレコードプレイのデモンストレーションだった。


●灰野敬二


前日のUFO. CLUBは立ってプレイしたがグッドマンでは椅子に座って演奏。だからといって力を抜かないのが灰野流。ボトムの効いた歪んだギターとディープな歌声はブルージーに染め上げる。『Born To Be Wild』など英語カヴァー曲を含め4〜5曲25分のコンパクトなライヴだったが、集中力の高さゆえ短さよりも充実感をしみじみ味わうことが出来た。



違う場所
違う人たち
違うギター



<灰野敬二次回ライヴ>

7月23日(月)東京 KOENJI HIGH



KOENJI HIGH 10th ANNIVERSARY
灰野敬二 エレクトロニクス&ハーディ・ガーディ・ソロ


open/start 19:00/19:30
adv/door 4300円/4800円+1D

-Live-
灰野敬二

-チケット-
5/27~ KOENJI HIGH店頭、e+
予約

-入場順-
1.KOENJI HIGH店頭
2.e+
3.当日券
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