『Dörner/Snekkestad/Zanuttini/Walter / BRUIT 4』
CD/DL : Umland Records 14
Axel Dörner – Firebird Trumpet
Torben Snekkestad – Reed Trumpet
Flavio Zanuttini – Trumpet
Florian Walter – Hechtyphone
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eight sound objects, total: 41min
www.florianwalter.yolasite.com
www.torbensnekkestad.com
www.flaviozanuttini.com
www.umlandrecords.de
Aufnahme:
Wolfgang Bökelmann
Revierton Studios Herne, November/Dezember 2017
gefördert vom Ministerium für Kultur und Wissenschaft des Landes Nordrhein-Westfalen & ecce/IKF
⇒bandcamp
金管+亜金管が絡み合う即興アンビエントの意識改革
まもなく2度目の来日ツアーを行うドイツのサックス奏者フローリアン・ヴァルターの近作。ヴァルターの地元であるエッセンを拠点にする自主レーベルUmlandレコードの14作目に当たる本作はヴァルターと、アクセル・ドルナー Axel Dörner 、トーベン・スネックスタット Torben Snekkestad、フラヴィオ・ザヌティーニ Flavio Zanuttiniによるカルテットにより、 2017年11/12月にヘルネのRevierton Studioでレコーディングされた。
「ちょっと特別なプロジェクト。音楽というより音響彫刻に近い。自分流に言えば”生楽器のノイジー・アンビエント”」とヴァルターは語る。使った楽器はトランペットとリード・トランペット(トランペットのボディにサックスのマウスピースを付けたもの)。ヴァルターが使っている「Hechtyphone」とは、彼が発明(制作)した奇怪な管楽器である。レコーディング風景は入手できていないが、さぞかし魔界的な雰囲気だったのではなかろうか。
8編のサウンド・オブジェが収録されている。畸形楽器とは言え鳴らされる音は間違いなく金管楽器のそれである。遠くに流れるロングトーンはリード・トランペットであろうか。聴き進むうちに4人の区別は判然としなくなり、四つ足の金管生物の呼吸音に聴こえてくる。ピーター・エヴァンスのソロ作品を思わせるアプローチもあるが、四者のアンサンブルで奏でられる音響のレイヤーは、研ぎ澄ませた単独の魂を開示するエヴァンス・ソロとは別の地平を目指している。寧ろパク・ハンアルの数字プロジェクトや、NYのチューバ奏者ダン・ペック等によるEarth Tongueに似た即興アンビエントに近い。
⇒【Disc Review】地の塩を舐め回す大地の舌のアンコンシャス音響〜『アース・タンズ/オハイオ』
アンビエントとは環境音楽の1部門であるが、BRUIT(騒音)とタイトルされたサウンドが相応しい環境は地球上には存在するのだろうか。リスニング環境は例えばリビングルーム、ヘッドフォンをした電車の中、音楽ホール等多種多様である。しかし音を受容するのが人間の聴覚器官であるからには、最も重要なのは聴き手の体内環境に他ならない。斯様な異端の音響を受け入れるインナー・エンバイロンメントを整えることで、体内バランスが良くなるのか悪化するのか、12月のフローリアン・ヴァルターの来日公演で実験してみたい。
目くるめく
リップノイズの
彼方まで
⇒フローリアン・ヴァルター 来日ツアー 2018 Florian Walter Japan Tour 2018