A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【レコード盤を凌辱する異常なレコ愛】Naoki Kasugai(春日井直樹)/ Vinyl Masochism 3

2020年08月26日 01時41分19秒 | 素晴らしき変態音楽


Naoki Kasugai(春日井直樹) - Vinyl Masochism 3
(カセット+ハンドメイド・コラージュジャケ+破壊レコード付。 )

番号<DTR-CA009> 30本限定 全2曲
定価¥1500(税込)
46分カセットテープ+ハンドメイドコラージュジャケ+破壊レコード付。(コラージュジャケはそれぞれ全て違う1点モノ)
2020年8月22日リリース

春日井宅の近所のトンネルにレコード盤(歌謡曲、クラシックなど)を30枚持って行きコンクリートの上にそのレコード盤を擦りつけ叩きつけてライブ録音した音源。さらにそのキズだらけのレコードをコラージュジャケに入れ音源カセットを送付した作品。キズだらけのレコードとカセットを同時再生して一つの音源として完成する。

Tracklist
A1 Vinyl Masochism3
B1 Vinyl Masochism3

Action point: Kanie interchange lower tunnel
Action day: 2020/7/28
Collage art & Photography: Naoki Kasugai
Field recording usung 30 records
Limites 30



筆者は『盤魔殿』というDJイベントを企画しDJと自称してアナログ・レコード盤をメインに人前でプレイしている。しかし世間一般のイメージのDJとは、レコード盤をスクラッチしながらチェキラ!などと叫んで観客を煽る派手なパフォーマーを想像するらしい。それは極端な例だとしてもクラブDJと呼ばれる者の多くはレコード盤を指でつかみ、プレイヤーのセンターホールに擦りつけ、盤面を削るようにレコード針で摩擦する。使い終わったレコードは乱雑にまき散らされ、傷がつこうが歪もうが気にしない。つまり完全に音を出す道具として扱っている。いくらMIXが面白くても、レコードを粗雑に扱う様を見ると興覚めというか居たたまれない気持ちになる。貴重であろうがなかろうが、一枚一枚音の溝が刻まれたレコード盤には、コンテンツの音楽同様にリスペクトをもって接するべきだ、という信仰にも似た概念が筆者の心の中に根付いているのである。

Otomo Yoshihide - Vinyls


2019年9月14日のカセットテープ作品『Vinyl Masochism』ではナイフで徹底的に傷つけバーナーで燃やしムチ打ち最後に小便をぶっかけたレコードを再生し録音。2020年2月21日にリリースされた『Vinyl Masochism 2』では既製の中古レコード盤(歌謡曲)にヤスリをかけて麻縄で緊縛した。そしてこの最新作『Vinyl Masochism 3』は暗いトンネル内でレコード盤をコンクリートに擦りつけ叩きつける残虐行為を録音するとともに、レコードの残骸を丁寧にコラージュ・ジャケットに納棺して記録カセットと同封する。作者の春日井直樹氏はレコード盤によほど恨みがあるのだろうか。



いや、実際はその真逆である。レコードが好きで好きでたまらないのである。90年代に中古レコード店を経営していたこともあるという春日井氏は、好きが高じて自主制作のレコードのジャケットをすべてハンドメイドのコラージュで作ってしまうアウトサイダー・アーティストである。コラージュアートは既に4000作を超えて増え続けるばかりだという。現在Twitterの専用アカウントに続々コラージュ作品を投稿しているので是非フォローしてはいかがだろうか。そのうち世界がこの特殊アーティストを発見する日が来るに違いない。
COLLAGE: Naoki Kasugai@collagenaokika1



そう考えると一連の『Vinyl Masochism』シリーズは「可愛さ余って憎さ100倍」にも似た歪んだレコード愛の表出に違いない。ホントに好きなものを自らの手で汚したい。サディスティックな欲望と、傷つけられたレコード盤を見る苦しみを快感に感じるマゾヒスティックな劣情が相半ばするアンビバレンツは、普通の生活者では経験できない”合法的異常愛欲発散法”といえるだろう。一線を越えてしまった春日井氏の行く手に何が待ち構えているかわからないが、今年初めに名古屋で春日井氏と濃厚接触(散歩)し、コラボレーション作品を産み落としてしまった筆者にも感染したことは明らか。日々アウトサイダー気質が増幅しつつあるのを感じる。

Naoki Kasugai(春日井直樹) / Takeshi ‎ Goda(剛田武)– Walk 2020 / 1 / 30


実際に今目の前にある爆裂女子の7インチシングル『スリルジャンキー』を我が身に思い切り擦りつけたいという欲望と戦っている。戦いに負け欲望に身を任せた時、自分の中のパンドラの箱が開き、知らなかった自分の姿が明らかになるかもしれない。それは醜悪なモンスターか、はたまた清浄なエンジェルであろうか。。。

爆裂女子-BURST GIRL-/ スリルジャンキー【OFFICIAL MUSIC VIDEO】


レコ愛を
超えたところに
マゾヒズム






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