A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【えいたそモダニズム】Episode 36『ポジティブ女子ストーリー』~でんぱ組/爆裂女子/ももクロ/BiSH/SCANDAL/PUFFY/GLIM SPANKY/EMPiRE/TPD etc. 

2021年02月08日 01時02分55秒 | ガールズ・アーティストの華麗な世界


2020年11月16日(月)に配信されたでんぱ組.inc『THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE FINAL!!〜ねぇ聞いて?宇宙を救うのはきっと……〜』でえいたそこと成瀬瑛美がグループから卒業することが発表された。筆者はその前日にブログで<えいたそモダニズムEpisode35『でんぱチルドレン』>を公開したが、それは、えいたそ本人や他のメンバーが「絶対見てね」と強調していたので「配信ライヴで何かが起こりそう」という胸騒ぎがしたためでもあった。だからといって覚悟が出来ていた訳でもなく、アンコールで「えいたそからお知らせがあります」と言ってファンに向けて手紙を読み始めた時には茫然自失、というより夢を見ているような非現実的な感覚に思考停止に陥った。引退ではなくソロでアニソンシンガーや声優を目指すとのことで、涙どころか満面の笑顔でハキハキと手紙を読む瑛美の健気さは、2014年2月7日の生誕カラオケイベントで初めて間近で見て「なんて前向きで明るい子なんだろう」と感動した印象そのままだった。アイドルを生きるという決意は、装いでも飾りでもなく、瑛美の生き方の本質に違いない。そのことは2021年2月2日深夜に放映されたTV番組『フリースタイル・ティーチャー』の優勝決定戦で見せたラップバトルのライムにそのまま刻まれている。えいたそ優勝おめでとう!



瑛美の勢いは2021年2月15・16日に開催される卒業ライヴ『ウルトラ☆マキシマム☆ポジティブ☆ストーリー!! 〜バビュッといくよ未来にね☆〜』が近づくにつれますます加速している。10日前の2月6日に生配信された『福袋発売記念!でんぱ組.inc成瀬瑛美LINE LIVE』では約3時間に亘り休みなく墨汁と筆で色紙を書き続けるという前代未聞のロングパフォーマンスを披露。汲めども尽きぬ格言の奔流は彼女の内なるポジティブ精神のマグマ噴火だった。おそらくローマ時代のポンペイを滅ぼした「プリニー式噴火」をしのぐ最大規模の「ウルトラプリニー式噴火」別名「破局噴火」と同じ種類だと思われるが、燃える火山灰と溶岩で街や人々を全滅させるのではなく、萌えるトキメキパワーで世界に幸せもたらす瑛美の場合は「ウルトラプリティー式噴火」「卒業噴火」と呼ぶべきであろう。えいたそ愛で火傷しそうな恋心。



お惚気(のろけ)はこれくらいにして、卒業に際して瑛美が作詞を担当したでんぱ組.incの新曲『ポジティブ☆ストーリー』について考えてみよう。

●でんぱ組.inc『ポジティブ☆ストーリー』


2020年11月16日でんぱ組.inc配信ライヴで披露された新曲。作詞は成瀬瑛美とヒャダインこと前山田健一の共作。作曲は「バリ3共和国」「最Ψ最好調!」「愛が地球救うんさ!だってでんぱ組.incはファミリーでしょ」「なんと!世界公認 引きこもり!」などを手掛ける浅野尚志。2020年11月17日に配信リリースされた。

アイドルの成長は一つのストーリーに例えられる。秋葉原のメイドカフェ&バーに集まったヲタクや引きこもりの少女たちが、武道館やアリーナばかりでなく、日本国外にもファンを獲得する人気アイドルに成長したでんぱ組.incのストーリーは最高のアイドル・ストーリーだが、でんぱ組の物語から独立し、別のストーリーを歩み始めるえいたそ☆成瀬瑛美のポジティブ精神がそのまま描かれたこの曲は、アイドルばかりでなく世の中に存在するすべて“卒業ソング”の中でも一二を争う“歓喜の歌”である。瑛美の行く手には様々な困難や苦労があるに違いないが、彼女は決して後ろを振り返ることはないだろう。そんなポジティブな姿勢を見せてヲタクを安心させる心遣いはまさにスーパーアイドル。えいたそ☆ありがとう!

でんぱ組.inc「ポジティブ☆ストーリー」Live Movie from「THE FAMILY TOUR 2020 ONLINE FINAL!! 〜ねぇ聞いて?宇宙を救うのはきっと……〜」



【えいたそモダニズム】Episode 36『ポジティブ女子ストーリー』
地下アイドルに限らずこの世の中にストーリーを歌った曲は数多い。特に多感な年代の女子が歌うストーリーには悲喜こもごもの感情が込められている。えいたそ卒業に加えて、瑛美と並んで、いやディスタンスで測ればそれ以上に近くから心を寄せていた推しメンのグループ脱退事件が重なった2020年末は、筆者にとってアイドル卒業の危機でもあった。ヲタク人生最大の危機を何とか乗り越えて、今後もアイドル推しごとを続ける決心をした筆者にとってもポジティブ女子のストーリーに学ぶことは大きな支えになるに違いない。

●爆裂女子『miracle story』


最強で最狂のパンクロックアイドル"爆裂女子"のミニアルバム『Story』(2020/5/20)。楽曲提供に後藤まりこ、THE STARBEMSの日高央、そしてKING BROTHERS、N'夙川BOYS、リンダ&マーヤのマーヤの楽曲に編曲でおやすみホログラムのオガワコウイチが参加!今までのイメージからさらにロックンロールへ突き抜けた作品!

11月16日のえいたその卒業発表は10年近い活動歴を考えれば何とか納得できる事案であったが、その約1か月後の2020年12月18日夜に突然発表された爆裂女子からの都子解雇(脱退)のお知らせは青天の霹靂・不意打ちのトラジディであった。前身グループの偶想Dropで出会った2017年2月以来3年10か月間推し続けてきた都子ちゃんが、新メンバー若が加入してパワーアップした爆裂女子から卒業イベントすら無しに即解雇(脱退)という無情の仕打ちに圧し潰されるような無力感に襲われた。【爆裂女子に関する大切なお知らせ】
しかしながら半年前にリリースした新曲『miracle story』を聴くと、メンバーであろうとなかろうと奇跡を求めて前へ進もうという彼女の決意が強く感じられる。勇気をもって爆裂女子とは別のストーリーを歩もうとしている都子ちゃんに不安はない。これからの人生に寄り添えることを楽しみにしている。

爆裂女子-BURST GIRL-/ miracle story【OFFICIAL MUSIC VIDEO】



●ももいろクローバーZ『Re:Story』


10周年を経たももいろクローバーZ初のセルフタイトルの5th ALBUM『MOMOIRO CLOVER Z』(2019年5月17日リリース)に収録。5ヶ月連続配信SINGLE第1弾として2018年8月に先行配信された。

でんぱ組の先輩格ももクロが11年目に発表したストーリーソング。7分越えのドラマ仕立てのミュージックビデオにはメンバーはほとんど登場せず、4人の少年たちの夏休みの冒険譚が描かれる。最後にももクロのライヴ会場に辿り着く展開は、ももクロ本人ではなく、もののふと呼ばれるヲタクの物語と言えるかもしれない。ヲタクにもストーリーが必要だ。

【ももクロMV】ももいろクローバーZ「Re:Story」Music Video



●東京パフォーマンスドール『BRAND NEW STORY』


2013年6月に結成、8月からの舞台公演を中心に活動してきた新生TPDのデビューシングル(2014/6/11)。今まさに始まろうとしている新しい物語の予感を感じさせる歌詞。十代のメンバーそのものを表現したような、フレッシュで勢いのある前向きなメロディ。そして彼女たちの最大の魅力のひとつでもあるダンスが映える激しい4つ打ちにロックなギターが絡む、アグレッシブなアレンジ。すべての要素が絡み合い、デビューにふさわしい、エネルギーに満ち溢れた力強い楽曲に仕上がった。

90年代前半に活躍したアイドルグループが20年後に復活し、新しい物語をスタートするメッセージを込めたストーリーソング。筆者は当時TIFか何かで観てリリイベに参加した記憶があるが、大手プロダクションらしい洗練されたダンスと歌が完璧すぎてフォローするには至らなかった。界隈は異なるが現在もストーリーが続いていることを知ってちょっと嬉しかった。

東京パフォーマンスドール(TPD) 2014.6.11デビューSg「BRAND NEW STORY」 -Music Video- (short ver.)



●BiSH『STORY OF DUTY』


BiSHが出演するTVCMも放送中の、世界的人気FPSゲーム「Call of Duty:Mobile」のタイアップソングで、アイナ・ジ・エンドが作詞を担当。2020年10月28日にデジタル・リリースされた。ミュージックビデオは世界文化遺産長崎県軍艦島にて撮影された。

でんぱ組と同期のアイドルBiSの後継グループとして2015年にデビューしたBiSHはあれよあれよという間に人気アイドルに成長した。所属事務所WACKのシャッフル戦略には巻き込まれずに固定メンバーで活動しているが「楽器を持たないパンクバンド」というキャッチフレーズ通り戦って未来を切り開こうという挑戦心に満ちたストーリーを歌っている。

BiSH / STORY OF DUTY [OFFiCiAL ViDEO]



●EMPiRE『SUCCESS STORY』


1stシングル「ピアス」がオリコン週間初登場5位、全国ツアーは全公演ソールドアウトと勢いに乗るEMPiREが、新メンバーを加え新たな6人体制で、2019年7月17日にリリースした2ndシングル。

BiSHと同じ事務所WACKとレコード会社avexの共同プロジェクトとしてデビューした6人組。サクセス・ストーリーを目ざして奇々怪々魑魅魍魎と戦って未来を勝ち取るとする武闘派女子の讃歌である。

EMPiRE / SUCCESS STORY [OFFiCiAL ViDEO]



●NEO JAPONISM『rewind the story』


NEO SOUND,NEO CULTURE を掲げ、誰が "聴いても觀ても踊っても楽しめる"パフォーマンスを目指すアイドルグループNEO JAPONISM。2020年4月10日リリースの配信ミニアルバム『NON CALL-NOW』に収録。

でんぱ組に同じ名前の曲があるが、関係あるかは不明の5人組アイドルグループ。2018年にワンマンライブを観たが、2019年にメンバーが完全に入れ替わって再始動。「ストーリーを巻き戻せ(rewind the story)」と歌うこの曲のコンセプトは“闘う”。2021年のストーリー女子のテーマは戦闘なのであろうか。

NEO JAPONISM / rewind the story [Live Video]



●SCANDAL『太陽と君が描くSTORY』


今やJ-Rock代表するガールズバンドとなったSCANDALの6thシングル。2010年6月2日リリース。ワクワクする夏に向かってメロディアスに疾走するHARUNA(Vo&Gt)とTOMOMI(Ba&Vo)のツインボーカルが止まらないラブストーリーを無邪気に彩る究極のサマーチューン。オリコン週間10位。.

筆者が(地下)アイドルに嵌る前に嵌っていた女子バンドの最右翼SCANDAL。10年前二十歳前後の頃に描いていた悩みや病みのなさそうな健全なストーリーは今も同じ目標へに続いているのだろうか?おそらく女子としての夢は、バンドの成功はとは違うストーリーなのかもしれない。

SCANDAL 「太陽と君が描くSTORY」/ Taiyo to kimi ga egaku STORY ‐Music Video



●FUN RUMOR STORY『Colorful Story』


ファッション誌「KERA」から誕生したガールズバンド、FUN RUMOR STORYのファーストミニアルバム。2018年5月16日発売。リード曲の「Colorful Story」は、チアフル感MAXな青春応援ソング。疾走感あふれるメロディーと、見知らぬ未来へ進む不安と夢と希望に彩られた青春感満開の爽やかなナンバー。

デビューしたばかりの希望に溢れた女子バンドの未来はカラフルな色に溢れていた。めざせSCANDAL!めざせSilent Siren!と意気揚々と登場したこのバンドは2020年9月21日に解散してしまったらしい。しかしめげることはない。元メンバーそれぞれの未来にはもっとカラフルなストーリーが待っているに違いない。

【 FUN RUMOR STORY 】1st Mini Album「Colorful Story」MV



●GLIM SPANKY『ストーリーの先に』


男女2人組ロックユニットGLIM SPAMKYの5thシングル。2019年11月20日リリース。朝日放送テレビ系列ドラマ『Re:フォロワー』主題歌。幻想的な異国世界へ導かれるような、世代を超えた全ての人へ強烈な印象を残す楽曲に仕上がっている。

自分が生きてきたストーリーが嘘だったらどうする?という不安は誰もが一度は感じるものだろう。松尾レミはハスキーな声で“今生きているストーリーには後悔しない”と宣言する。失敗しても過去の自分のせいにしてはいけない。ストーリーの先を目ざして進むしかない。瑛美と都子もがんばれ!

GLIM SPANKY - 「ストーリーの先に」



●PUFFY『マイストーリー』


2008年8月6日に発売されたPUFFYの26枚目のシングル。カネボウ化粧品「Lavshuca」CMソング。スウェーデンのバンド、The Merrymakersがboom boom beat/お江戸流れ星IV以来の作曲をしている。2009年リリースの10thアルバム『Bring It!』に収録。

アイドル不遇の時代と言われる90年代後半に異なるフィールドでセンセーションを起こした女子二人組。2015年11月18日のシングル『パフィピポ山』は、サウンドプロデュースをもふくちゃん、作詞を前山田健一、作曲をPandaBoY、編曲を浅野尚志、ミュージックビデオを「スミネム(スミス・夢眠ねむ)」というでんぱ組ファミリーが手掛け対バンライヴも開催された。その後特にでんぱとの交流はないのが残念。「これが私の生きる道」(1996年)と歌ってから12年後のパフィーのストーリーソングには今後の瑛美や都子の生きる道に役立つヒントがあるかもしれない。

PUFFY 『マイストーリー』


卒業は
悲しみよりも
喜びを

【大切なお知らせ】
2016年11月11日から4年3か月にわたって連載してきたえいたそ妄想論第5弾『えいたそモダニズム』は成瀬瑛美さんのでんぱ組.inc卒業に伴い、次回(Episode 37)で完結する予定です。お題に関しては2月15・16日に開催されるえいたそ卒業公演を観たうえで熟考します。"でんぱ組のえいたそ”の最後の姿をしかと見届けたいと思います。長い間ご愛読ありがとうございました。

▼都子(元爆裂女子)
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