A Challenge To Fate

私の好きな一風変わった音楽を中心に徒然に綴ったページです。地下文化好きな方は見てやって下さいm(_ _)m  

【イベントレポート】盤魔殿レーベル"Les Disques Du Daemonium"公開レコーディング@渋谷DJ Bar EdgeEnd 2020.11.9.mon

2020年11月11日 00時29分03秒 | 素晴らしき変態音楽


11月9日(月) 渋谷DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿レーベル"Les Disques Du Daemonium"公開レコーディング
19:00 Open/Start 
1000 Yen + 1 drink別

出演:DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫 / DJ Necronomicon a.k.a.剛田武 / DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda



DJイベント「盤魔殿」から生まれた音楽レーベル"Les Disques Du Daemonium"は既存のアーティストの音源をリリースするだけでなく、異端音楽の交流の場=盤魔殿でしか生まれない新たな表現者のコラボ、DJミックスや音源制作を形にして世に送り出すことを目標としている。通常のイベントは複数の出演者が限られた時間内でオーディエンスを意識したDJプレイやライヴパフォーマンスが行われるため、音源制作に専念することは難しい。勿論そのような「ライヴ環境」ならではのパフォーマンスが生々しい作品として結実することも確かである。しかし時間的制約を配してレコーディングを目的に音を出すことで、純粋な「音楽作品」を生み出せないかと考え、ある意味で実験工房的な試みとして「公開レコーディング」を企画した。月曜日の夜にも関わらず足を運んでくれた観客もいて、適度な緊張感の中で3つのパフォーマンス&レコーディングが行われた。

Live photos by Naoki Matsumoto

●DJ Necronomicon a.k.a.剛田武


昨年10月に逝去したハンガリーの現代音楽家ゾルタン・イェネイ Zoltan Jeneyが1979年に作曲し86年にLPとしてリリースした究極のミニマル作品『OM』と剛田のリードフルート&ノイズドールのコラボレーション。これまで2回自宅でレコードに合わせて共演したが、ライヴ環境で演奏するのは初めて。PAスピーカーから流れ出るオルガンの反復は、家庭用オーディオシステムとは全く異なりベルリンの壁のような頑強さで剛田の演奏の侵入を拒む。ミキサーやノイズドールの操作に気を使いながらのリード楽器演奏は集中力に欠けたように感じた。26分間、不動の音列の壁に向けてドンキホーテのような独り相撲を繰り広げた無冠の記録となった。この挑戦には終わりはない。




●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫


1938年11月9日夜から10日未明にかけてドイツ各地で反ユダヤ主義暴動・迫害が起こった「クリスタルナハト(水晶の夜)」に因んだDJプレイ。各曲の由来は宇田川本人の解説を待ちたいが、アンビエント、リチュアルフォーク、インダストリアル、プログレ、トランス、ゴスロック、トライバル等辺境音楽が次々入れ替わる重厚なレイヤーは、周辺文化の権化である宇田川の本領発揮であり、盤魔殿スピリットのエッセンスを集積した濃厚なMIXだった。ホロコーストの悪夢に魘される囚われの魂を解放するマジカルなパワーに貫かれている。

DJ Qliphoth set list “Kristall Nacht”
1 Outer Brain Outsourcing - Troum
2 Ja Sam Sam - Galija
3 Untitled 2 – Der Blutharsch
4 Voices From The Dark(Silentium) – Ah Cama-Sotz
5 Frontier – Dead Can Dance
6 La Comitiva Celeste – Los Iniciados
7 The Death Of A Corn – Current93
8 A Nothing Life – 6 Comm
9 Telepatía – Aviador Dro
10 ísland – Spilverk þjóðanna
11 Death in a Snow Loepard Winter Pt.1 – Nature And Organisation
12 Hymn a Sathanael – Igor Wakhevítch
13 Draußen Im Weiten Krieg – L’Effet C’Est Moi
14 Gore-Stained Ramparts – Theologian
15 I Cancelli Di Agartha – TSIDMZ
16 Tanssit On Loppu Nyt – Karjalan Sissit
17 Capitalist Infiltration – Xenomorph
18 Totalitarian Democracy – Xenomorph
19 Secret Satanic Hierarchy – Xenomorph
20 Harbingers Of Extinction – Xenomorph
21 Ossos – Codex Empire


●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda


エレクトロニクスと詩の朗読による幻惑のライヴパフォーマンス。演目は、女の子は狩へ/赤い花とハチドリ/冷たい霧のカットアップだという。沸々と湧き出す電子音の波がうねりを増すにつれて、沈着な声で繰り返される童話のような詩編が、熱のない炎となって異端音楽のサバトを祝福する。水晶の夜が一気にワルプルギスの夜に変貌したかのようであった。



不慣れなPA機材でのダイレクト録音だったので、レコーディング内容がリリースに値するかどうかは現時点では明らかにできないが、試みとしては成功だった。今後も折に触れて公開レコーディングを企画していきたい。

録音は
真空パックの
音の玉手箱

【盤魔殿今後の予定】
11月29日(日) 渋谷DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 リターンズ (vol.35)

19:00 Open/Start
1000 Yen + 1 drink別 

盤魔殿レギュラーDJ’s:
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda

*2020年2月以来8ヵ月ぶりの『盤魔殿』。レギュラーDJ陣が自粛中に掘り起こした異端音楽の数々をたっぷりプレイします。アフター・コロナの異端音楽祭、祝いましょう。
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【共産圏の百円レコード】マート・サール Март Саар/ヤラ Ялла/ラッジ Лазги/ワルシャワ古楽団/革命现代舞剧 白毛女

2020年11月10日 01時52分43秒 | こんな音楽も聴くんです


40数年前、小学生の頃、所属するバレエ団でソ連公演に行った同級生の女子から現地の子供と交換したというバッジをお土産にもらった。70年代半ば、アメリカとソ連が二大国として競い合っていた時代である。アメリカの文化はテレビドラマや漫画でお馴染みだったが、共産国のソ連の情報はほとんどなくて、もらったバッジの見慣れぬ文字を眺めて密かな憧れを抱いたものである。父親の本棚に若い頃かじったらしい露和辞典があったが、そもそもキリル文字の読み方がわからないので役に立たなかった。



「共産主義とは資本や財産をみんなで共有する平等な社会体制」という百科事典の説明を信じたわけではなかったが、ここではない別の世界に憧れる空想癖のあるガキには十分憧れに値する体制であった。しかし音楽に関しては、クラシックや民族音楽以外はほとんど情報がなくて、謎のベールに包まれていた。80年代になって中国のパンクバンドと噂されるドラゴンズというバンドを聴いて面白いと思ったものの、その魅力は権力体制への反抗心だった(のちに香港のバンドだと判明した)。共産国のレコード会社はすべて国営だから、国が認める音楽しか発売されないこともその時知った。だから政府の弾圧に負けずアンダーグラウンドで活動を続けるチェコスロバキアのThe Plastic People Of The UniversのLP『Egon Bondy's Happy Hearts Club Banned』を聴いたときは本当に興奮した。

The Plastic People Of The Universe - Run Run Run (1971)

反骨精神で40年~The Plastic People Of The Universe

1989年のベルリンの壁崩壊、1991年のソ連崩壊により、旧共産圏の情報が次々公開され、さらにインターネットの普及により文化の伝播に於いては国境が障害ではなくなりつつある現在、殊更に旧共産主義国を特別視する必要はないかもしれないが、例えば度々話題になる肋骨レコードなど、国家統制された社会の歪みが生んだ特殊事情が明らかになることもある。さらに現存する共産主義国が、中国、北朝鮮、ベトナム、ラオス、キューバの5か国しかないことを考えれば、過去の遺物化しつつある共産圏という言葉には、EXPO70(大阪万博)に似た近未来のノスタルジアを感じないだろうか。

Covid-19緊急事態宣言真っただ中に休業せずに営業していたハードオフのジャンクレコード・コーナーで共産圏のレコードたちに出会った。ソ連のレコードが多いのは、ロシアかぶれの愛好家か、それとも日本へ嫁いだロシア人女性の土産物か。いづれにせよ遥か彼方の旧共産圏からはるばる日本へ流れついた挙句の果てに、ペットボトルのお茶より安い税込110円で売られるという数奇な運命を辿った塩化ビニール盤には、他のレコとは異なる哀愁を感じてしまうのは筆者だけではないだろう。

●Mart Saar ‎/ Koorilaulud 1 『マート・サール / 合唱団の歌1』
Мелодия ‎– С10-15791-4(2枚組) / 1981


マート・サール(1882年9月28日/15日説もあり生、1963年10月28日没)はエストニアの作曲家・オルガン奏者。民謡の収集でも知られる。エストニアの伝承音楽に影響を受けた合唱曲で知られる。本作は「女性合唱団のための34の民謡」「混合合唱団のための11曲」を収録した2枚組LP。素朴で静謐な合唱の調べは、最小限の要素で音の成り立ちを描いており、後年のエストニアを代表する作曲家アルヴォ・ペルトの樹木のようなミニマリズムの元祖といえる。大地に根付いた前衛主義の温床であった。

Noore veljo, veeritäge by Mart Saar, Tartu Students' Choir, IBSCC Free Competition



●Ялла ‎– Лицо Возлюбленной Моей 『ヤラ・アンサンブル / 恋人の顔』
USSR : Мелодия ‎– С60 20135—36 000 / 1983


口ひげに出来損ないのパンチパーマが数名、妖しい衣装に妖しい民族楽器。ソ連のマヒナスターズかと思ったら、音はキーボードやシンセを多用したプログレポップス。70年代初頭から91年頃まで活動していたロックバンド「ヤラ」の2ndアルバム。70年代は女性ヴォーカルを含み民族色のあるポップソングを得意としていたが、80年代は男性ヴォーカル西欧歌謡ロック化、国民的ヒットも放つ人気バンドになった。収録曲:カシダ・スプリング教区/ルバイ/ガゼル/最後の詩/君ほど美しい人はいない/比べ物にならない/愁いを晴らしてくれるのは誰?

ВИА "Ялла" - "Учкудук" (1982)



●Лазги ‎– Вокально-Хореографический Ансамбль ‎/ Лазги 『ラッジ - ヴォーカル&振付アンサンブル / ラッジ』
USSR / Мелодия ‎– М30-36645-46 / 1974


女性ダンサーとバックバンドからなるウズベキスタンの民俗舞踊グループ。いかにもなジャケット写真から観光客目当ての商業フォークダンスかと思ったら、ガチな民俗音楽伝承スタイルで嬉しい驚き。ジャケットには英語が一切なくて意味の解読に苦労するが、神を賛美する宗教曲から民話を基にしたコミックソングまで、庶民の生活に密着した民謡のようだ。現在も活動し、大規模なコンサートで観客も一緒に踊る盛り上がりを見せている。

LAZGI Hulkar Abdullayeva/ЛАЗГИ Хулкар Абдуллаева Koncert version2016



●Fistulatores et Tubicinatores Varsovienses ‎/ Fistulatores Et Tubicinatores Varsovienses『ワルシャワのパイパーとトランペッター』
Poland : Polskie Nagrania Muza ‎– SXL 0521 / 1073


1964年にポーランドで舞踊家のカジミエツ・ピウコウスキ Kazimierz Piwkowskiにより結成され、65年11月24日ワルシャワの国立管弦楽ホールでデビューした古楽グループ。グループ名をネット翻訳すると「瘻孔と管状虫歯菌類」という不気味な和訳が出てくるが、中世のポーランドでの木管楽器奏者の呼称「Fistulator」(fistula=pipe)と金管楽器奏者の呼称「Tubicinator」(tuba=trumpet)を組み合わせたものである。リコーダー、角笛、トロンボーン、フィドル、手風琴のルーツとなる古楽器を使ったアンサンブルは、クラシックとエスニックが混然一体としたエレガントな中世音楽を奏でる。紅一点おかっぱ頭の女性パーカッション奏者はピコウスキの奥さんらしい。

Pastoralka Staropolska Wojciech Siemion Fistulatores et Tubicinatores Varsovienses TVP



●上海市舞蹈学校 / 革命现代舞剧 白毛女 The Shanghai School Of Dancing ‎– The White-Haired Girl
China : 中国唱片 ‎– DM-6175, DM-6176, DM-6178(3枚組) / 1971


『白毛女』(はくもうじょ)は、1945年に初演された中国の革命歌劇。貧農の父親の借金の肩に、中国国民党とつながる悪辣な反動地主から暴行を受けた貧農の娘が山奥の洞穴に逃亡、隠れている間に白髪となったものの、解放軍に救い出され、地主を打倒するまでの姿を描く。テーマは、「国民党支配下の旧社会は、人を鬼(妖怪)にするが、共産党による新社会は鬼を人にする」。ブックレットには毛沢東の言葉が引用されている。昔の孫悟空や三国志の映画を思わせる中華オーケストラ演奏に、京劇のようなハイピッチの女声ヴォーカルが乗るスタイルは、西欧や日本とは異なる進化を遂げた中華人民共和国ならでは現代音楽を堪能できる。ジョン・ケージもシュトックハウゼンも勝てない人民思想の力強さに溢れている。

Chinese Ballet-The White Haired Girl 白毛女 Excerption Pt1


音楽には
ブルジョアも
プロレタリアートも
関係ない

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【灰野敬二ライヴ情報】11/27 fri 高円寺ShowBoat『THE HARDY ROCKS』 ~急遽決定!ロック、R&B、ソウル、歌謡曲を灰野敬二が英語で歌う!

2020年11月06日 01時29分17秒 | 灰野敬二さんのこと


急遽決定!ロック、R&B、ソウル、歌謡曲を灰野敬二が英語で歌う!
THE HARDY ROCKS

2020年11月27日(金) 東京・高円寺ShowBoat

開場19:00/開演19:30
前売¥4,000/当日¥4,500(税込・別途ドリンク代¥600)

THE HARDY ROCKS
灰野敬二 Keiji Haino : vo
川口雅巳 Masami Kawaguchi : g
なるけしんご Shingo Naruke : b
片野利彦 Toshihiko Katano : ds

【チケット】
■ShowBoat
11月7日(土)発売開始
13:00~ 代引郵送販売のみ

※プレイガイド販売なし
※チケットの整理番号はご購入順になります。予約では整理番号がつきませんのでご注意ください。
※代引郵送にてご購入希望の方は、お電話かメールにて下記をお伝え下さい。
(別途発送手数料¥580)
《公演日・公演名・住所・氏名・電話番号・購入枚数》

【問い合わせ】
ShowBoat
■Tel 03-3337-5745(14:00~23:00)
■Mail info@showboat.co.jp

ロックとは
なぞらないこと
カヴァーでも


【参考】9月22日渋谷LUSHチャンネルでの無観客配信ライヴの宣伝動画(配信期間は終わりました)

<Set List>
1st Set
1. Born Under A Bad Sign / Albert King
2. 黒い花びら Black Petals / 水原弘
3. (I Can’t Get No) Satisfaction / The Rolling Stones
4. Steppin’ Stone / The Monkees
5. Money / The Beatles

2nd Set
1. 何故に二人はここに The Two Of Us / Kとブルンネン
2. 骨まで愛して Down To The Bones / 城卓矢
3. Summertime Blues / Blue Cheer
4. End Of The Night / The Doors
5. I Got A Mind To Give Up Living
/ The Butterfield Blues Band

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盤魔殿 presents NEO UNDERGROUND vol.2@阿佐ヶ谷TABASA 2020.10.31 sat~Risaripa/モリモトアリオミ/盤魔殿DJ's

2020年11月05日 01時01分01秒 | 素晴らしき変態音楽


盤魔殿 presents
NEO UNDERGROUND vol.2


2020/10/31 sat
阿佐ヶ谷TABASA
19:00 Open/Start

Live Act:モリモトアリオミ (vo, g) / Risaripa (vo, electronics)
DJ's:DJ Athmodeus a.k.a.持田保 / DJ Vaby a.k.a.大場弘則
Talk "Underground Now" 宇田川岳夫×剛田武

新たなる地下音楽の息吹を詳らかにするべく始動したDJライヴ・イベント『盤魔殿 presents NEO UNDERGOUND』の第2回目。前回のライヴアクトはコラボレーション・ユニットが中心だったが、今回はソロ・アクトが2組出演。DJは盤魔殿レギュラーDJの中でも音楽的硬派として知られる二人。さらに新企画として盤魔殿主宰二人によるトークコーナーまで、さらに濃くさらに深くネオ・アンダーグランウンドを探索するイベントとなった。46年ぶりの満月のハロウィンの夜、仮装パーティにも背を向け10名を超えるお客さんに来場いただき、阿佐ヶ谷の異端の夜は妖しく白い熱を放った。



●DJ Athmodeus a.k.a.持田保


武闘派DJによるラジオ音源を使った鬼畜のライヴミックス。言葉・言葉・言葉のレイヤーが雑音交じりの電波の向こうから押し寄せてくる常軌を逸したイベントのオープニングであった。

1:AMラジオ受信音源コラージュ
2:ラジオ・テヘラン放送
3:Nicolas Collins / Devil’s Music
4:アーティスト不明のデジタルダブもん
5:Tape Beatles / I’m Lonely
6:ロンリーチャップリン
7:Galapagos Oxyxpxc Show
8:豊田商事事件実況音源
9:Ralph Lundsten / Midnattstimmen
10:Africa Fan Heata / Oil Core
11:DJ Spooky / Temps Magnetique




●Talk "Underground Now" 宇田川岳夫×剛田武


テーマは「静岡アンダーグラウンド」。オムニバスLP『聖みろくさんぶ』を中心に静岡の特異な音楽シーンの一端が語られた。Current93, Nurse With Woundと繋がりのあるKonoriこと鷹匠訓子が主催するアングラ劇団水銀座で役者をしていた宇田川岳夫が語る静岡のレアなシーンの数々が会場にいる全員の興味を掻き立てた。




●Live モリモトアリオミ


ヒット本「和ンダーグラウンドレコードガイドブック」の著者でもあり、90年代から様々なユニットで活動するミュージシャン、モリモトアリオミのエレキギター弾き語り。シュールで惚けた歌詞とランダムなフレーズをリピートするギターの響きは、埋もれた自主盤の怨念が宿っているように聴こえた。




●DJ Vaby a.k.a.大場弘規


毎回テーマを決めてレアなDJミックスを聴かせるDJ Vaby、今回は「The Vocalization」をテーマに斜め上の選曲。およそ人間の口角から発する音の可能性を探り尽くした感のある異端音響の数々にハロウィンのカボチャは跡形もなく逃げ去った。

1. Tibetan Buddhism/歓喜成就タントラの伝授 ~ゲールク派の作法による秘法伝授の唱和
2. Ensemble Basiani/Adilei
3. 音禅2008真珠庵/Récitation Du Daihishinjû
4. Junko/J2
5. Meredith Monk/Travelers 4~Churchyard Entertainment
6. Tamia/Out Of Air
7. Fátima Miranda/La Voz Cantante (Seis Partes)
8. Diamanda Galás/Solo Live In Amsterdam
9. Phurp/Long Life






●Live Risaripa


Bandcampで音だけ聴いて80年代地下音楽の発掘音源だと思い込んでいたRisaripaは、ゴスメイクでモジュラーシンセで武装しノイズヴォイスで威嚇するロック・パフォーマ―だった。挑発的なアクションがレトロなエレクトロと相まって、インダストリアルパントマイムという言葉が頭に浮かんだ。




●Live モリモトアリオミ+Risaripa


長年の知り合いだが、一度も共演したことがない二人の初コラボ。事前の打ち合わせは「閃きで」の一言だけ。ステージ下からRisaripaが語り掛けモリモトが絶唱する。対峙し合いけん制し合う猛禽類のバトルのように見えて、音は不思議に絡み合う。根っこに音楽があるから何でもできる。羨むほどのリレーションシップだった。







盤魔殿
復活間近
ノーベンバー

【盤魔殿 11月の予定】

11月9日(月) 渋谷DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿レーベル"Les Disques Du Daemonium"公開レコーディング
19:00 Open/Start 
1000 Yen + 1 drink別

DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫 / DJ Necronomicon a.k.a.剛田武 / DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda

*盤魔殿レーベル次回リリース用のDJ MIX&パフォーマンスを公開でレコーディング。普段のイベントでは観れない実験的な試みが堪能できます。


11月29日(日) 渋谷DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 リターンズ (vol.35)
19:00 Open/Start
1000 Yen + 1 drink別 

盤魔殿レギュラーDJ’s:
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ Paimon a.k.a. Moppy
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda

*2020年2月以来8ヵ月ぶりの『盤魔殿』。レギュラーDJ陣が自粛中に掘り起こした異端音楽の数々をたっぷりプレイします。アフター・コロナの異端音楽祭、祝いましょう。
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【灰野敬二新作情報】13年前のガムラン・ソロ・パフォーマンスがCDで初登場!『ここにもこんなにブルースが宿っているとは... by 灰野敬二』

2020年11月04日 01時20分28秒 | 灰野敬二さんのこと


ここにもこんなにブルースが宿っているとは... by 灰野敬二
Who knew that so many blues should reside here too... by Keiji Haino
CD: HÖREN MIMI-028
税抜価格 ¥2,500
11月25日発売

ジャンルを越境し、音楽表現における無限の可能性を追求する灰野敬二が大阪芸術大学所蔵のインドネシア民族楽器・ガムランのフルセットを演奏した2007年のソロ・パフォーマンス。
演奏会場となった大阪芸術大学内 芸術情報センターは、パイプオルガン専用に建築された特殊エコーのコンクリートホールで、灰野が打ち鳴らす大・中・小、さまざまな銅鑼や鍵盤打楽器の響きをさらに増幅する。
鮮やかで深みのある録音/マスタリングは宇都宮泰。

「軽く触れたり、叩いたりした金属の音。そして今創ったばかりの、音の振動の波に乗って、幽霊のように動く灰野。こうして近づいて聴いてみると、それほど音の選択に躊躇しているようには感じられない。どれも直感的であることは確かだが、何度も聴くと、あらかじめ構想された音楽を、灰野が本能的な即興で実現させているかのように聞こえる。創造主には初めから大きな計画があったように。」
Biba Kopf(a.k.a. Chris Bohn:英Wire誌)

Date:25th Nov, 2007
Place:Osaka University of Arts

Production & Direction : Music of New Reference [富山裕之 Hiroyuki Tomiyama, 能美亮士 Ryoji Noumi, 東岳志 Takeshi Azuma] Hören [東瀬戸悟 Satoru Higashiseto]
Recording Direction & Mastering : 宇都宮泰 Yasushi Utsunomiya
Assistant Recording Engineer : 宇都宮基予美 Kiyomi Utsunomiya, 浜野幸代 Yukiyo Hamano
Liner Notes : Biba Kopf
Translation : 羽田明子 Akiko Hada (Liner Notes), Alan Cummings (Album Title)
Photography : 原地達浩 Tatsuhiro Haraji
Design : 大野雅彦 Masahiko Ohno

http://music-reference.net

予約⇒Forever Records

金属の
音の振動
創造主

▼13年前(2007年)ニューヨークでのライヴ映像。
Keiji Haino @ No Fun Fest 2007
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【JazzTokyo#271更新】近藤等則/中尾勘二トリオ/No Tougues/マキガミサンタチ

2020年11月01日 01時43分12秒 | 素晴らしき変態音楽

音楽情報サイト『JazzTokyo - Jazz and Far Beyond』最新号が更新された。特集は『追悼:近藤等則』『マリア・シュナイダー』。剛田武は下記の記事を寄稿した。


●我がフリージャズ体験の原点、近藤等則賛江

我がフリージャズ体験の原点、近藤等則賛江

天国のフリージャズ侍の回想
テン年代に何回か体験した近藤の演奏は、30年前のフリージャズ体験をアップデートする新たな衝動を与えてくれた。近藤の突然の死にあたって、自分の体験したライヴの感想をブログ記事から抜粋することで、筆者なりの追悼文とさせていただきたい。


●中尾勘二トリオ / Kanji Nakao trio

#2027 『中尾勘二トリオ / Kanji Nakao trio』

自然体のフリースタイルミュージシャン、中尾勘二の郷愁民俗音楽。
自然体のフリースタイルミュージシャン、中尾勘二が生み出す郷愁のアンサンブルが心の自由度を果てしなく広げてくれる。ふと気が付くといつもそこにある風景のような和風フォルクローレ(民俗音楽)である。


●No Tongues / Les voies de l’Oyapock

⇒#2020 『No Tongues / Les voies de l’Oyapock』

フィールド・レコーディング+即興コンポジション。フランスの若手カルテットが提示する自然とのコラボの在り方。
Covid-19という災厄のおかげで再認識された<自然>との共生、つまり「ウィズ・ネイチャー」こそ、我々人類が本気で取り組むべき課題に違いない。No Touguesの疑似民俗音楽は、自然と人類の芸術的コラボレーションの新たな形を予感させてくれる。


●『ガブリとゾロリ』マキガミサンタチCD発売記念ライヴ

⇒#1150 『ガブリとゾロリ』マキガミサンタチCD発売記念ライヴ

10月16日(金)東京・南青山 live space ZIMAGINE

即興音楽のアウトロ
インプロと言ってもジャズでもロックでもクラシックでもエスニックでもない。特定のスタイルに囚われない独自のスタイルは、“分かりにくい音楽こそ面白い”と宣言するフェスティヴァル『JAZZ ARTせんがわ』の精神を個人的なレベルで実践している証拠である。

郷愁と
野外録音
アウトロー

マキガミサンタチ無観客突然ライブ 2020 October 29 Ootaku Tokyo
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