11月9日(月) 渋谷DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿レーベル"Les Disques Du Daemonium"公開レコーディング
19:00 Open/Start
1000 Yen + 1 drink別
出演:DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫 / DJ Necronomicon a.k.a.剛田武 / DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
DJイベント「盤魔殿」から生まれた音楽レーベル"Les Disques Du Daemonium"は既存のアーティストの音源をリリースするだけでなく、異端音楽の交流の場=盤魔殿でしか生まれない新たな表現者のコラボ、DJミックスや音源制作を形にして世に送り出すことを目標としている。通常のイベントは複数の出演者が限られた時間内でオーディエンスを意識したDJプレイやライヴパフォーマンスが行われるため、音源制作に専念することは難しい。勿論そのような「ライヴ環境」ならではのパフォーマンスが生々しい作品として結実することも確かである。しかし時間的制約を配してレコーディングを目的に音を出すことで、純粋な「音楽作品」を生み出せないかと考え、ある意味で実験工房的な試みとして「公開レコーディング」を企画した。月曜日の夜にも関わらず足を運んでくれた観客もいて、適度な緊張感の中で3つのパフォーマンス&レコーディングが行われた。
Live photos by Naoki Matsumoto
●DJ Necronomicon a.k.a.剛田武
昨年10月に逝去したハンガリーの現代音楽家ゾルタン・イェネイ Zoltan Jeneyが1979年に作曲し86年にLPとしてリリースした究極のミニマル作品『OM』と剛田のリードフルート&ノイズドールのコラボレーション。これまで2回自宅でレコードに合わせて共演したが、ライヴ環境で演奏するのは初めて。PAスピーカーから流れ出るオルガンの反復は、家庭用オーディオシステムとは全く異なりベルリンの壁のような頑強さで剛田の演奏の侵入を拒む。ミキサーやノイズドールの操作に気を使いながらのリード楽器演奏は集中力に欠けたように感じた。26分間、不動の音列の壁に向けてドンキホーテのような独り相撲を繰り広げた無冠の記録となった。この挑戦には終わりはない。
●DJ Qliphoth a.k.a.宇田川岳夫
1938年11月9日夜から10日未明にかけてドイツ各地で反ユダヤ主義暴動・迫害が起こった「クリスタルナハト(水晶の夜)」に因んだDJプレイ。各曲の由来は宇田川本人の解説を待ちたいが、アンビエント、リチュアルフォーク、インダストリアル、プログレ、トランス、ゴスロック、トライバル等辺境音楽が次々入れ替わる重厚なレイヤーは、周辺文化の権化である宇田川の本領発揮であり、盤魔殿スピリットのエッセンスを集積した濃厚なMIXだった。ホロコーストの悪夢に魘される囚われの魂を解放するマジカルなパワーに貫かれている。
DJ Qliphoth set list “Kristall Nacht”
1 Outer Brain Outsourcing - Troum
2 Ja Sam Sam - Galija
3 Untitled 2 – Der Blutharsch
4 Voices From The Dark(Silentium) – Ah Cama-Sotz
5 Frontier – Dead Can Dance
6 La Comitiva Celeste – Los Iniciados
7 The Death Of A Corn – Current93
8 A Nothing Life – 6 Comm
9 Telepatía – Aviador Dro
10 ísland – Spilverk þjóðanna
11 Death in a Snow Loepard Winter Pt.1 – Nature And Organisation
12 Hymn a Sathanael – Igor Wakhevítch
13 Draußen Im Weiten Krieg – L’Effet C’Est Moi
14 Gore-Stained Ramparts – Theologian
15 I Cancelli Di Agartha – TSIDMZ
16 Tanssit On Loppu Nyt – Karjalan Sissit
17 Capitalist Infiltration – Xenomorph
18 Totalitarian Democracy – Xenomorph
19 Secret Satanic Hierarchy – Xenomorph
20 Harbingers Of Extinction – Xenomorph
21 Ossos – Codex Empire
●DJ Ipetam a.k.a. Rie fukuda
エレクトロニクスと詩の朗読による幻惑のライヴパフォーマンス。演目は、女の子は狩へ/赤い花とハチドリ/冷たい霧のカットアップだという。沸々と湧き出す電子音の波がうねりを増すにつれて、沈着な声で繰り返される童話のような詩編が、熱のない炎となって異端音楽のサバトを祝福する。水晶の夜が一気にワルプルギスの夜に変貌したかのようであった。
不慣れなPA機材でのダイレクト録音だったので、レコーディング内容がリリースに値するかどうかは現時点では明らかにできないが、試みとしては成功だった。今後も折に触れて公開レコーディングを企画していきたい。
録音は
真空パックの
音の玉手箱
【盤魔殿今後の予定】
11月29日(日) 渋谷DJ Bar EdgeEnd
盤魔殿 Disque Daemonium 圓盤を廻す會 リターンズ (vol.35)
19:00 Open/Start
1000 Yen + 1 drink別
盤魔殿レギュラーDJ’s:
DJ Qliphoth a.k.a. 宇田川岳夫
DJ Necronomicon a.k.a. 剛田武
DJ Bothis a.k.a. 山田遼
DJ BEKATAROU a.k.a. 伊藤元
DJ Vaby a.k.a. 大場弘規
DJ Ipetam a.k.a. Rie Fukuda
*2020年2月以来8ヵ月ぶりの『盤魔殿』。レギュラーDJ陣が自粛中に掘り起こした異端音楽の数々をたっぷりプレイします。アフター・コロナの異端音楽祭、祝いましょう。