今年の2月12日から、なんと半年以上間が空いてしまった「伊豆大島の動物」シリーズ、久しぶりの再開です!
あまりにも久しぶりで、何のことだかわからない方のために説明しますと…これは、ジオガイド養成講座の「伊豆大島の動物」の資料を、講師であり私たちのアドバイザーでもある天野氏の了解を得て、少しずつここで公開していこうという企画です。
以下資料より。
(写真は全て過去ブログに載っている願法の写真を再度掲載しています)
伊豆大島は他の伊豆諸島に比べ面積が大きいが、標高の高い部分は荒地であり、原生林はこれまで人々の生活に利用されてきたため限局的にしか残っていない。しかも年間降水量が3000㎜(近く)もあるにも関わらず、土壌の透水性が高いため陸水が極わずかであり、鳥類の生息環境としては条件はあまり良いとは言えない。
かつて伊豆諸島特産種とされた数種の鳥類のうち伊豆大島でも繁殖しているのは、イイジマムシクイだけで数もごく少ない。
その他、他の島々で繁殖が確認されているオオミズナギドリなどの海鳥類も伊豆大島では繁殖が未確認である。ただしこれは環境が悪いからではなくオオシマイタチの存在があるからだろう。
とはいえ、春秋の渡りの時期などに極めて短期間ではあるが一時的に大島に立ち寄る野鳥は多く、これまでの観察記録や過去の資料などから総合すると総種類数は230種類ほどに及ぶ。
野鳥には、その生態によって留鳥、夏鳥、冬鳥、旅鳥などの区分があるが、一年中見られる留鳥と、決まった季節に見られる渡り鳥のうち、例年ほぼ確実に見られる種類をあわせると約75種類程度である。
伊豆諸島特産種
アカコッコとイイジマムシクイは、かつて世界中でも伊豆諸島でしか繁殖していないとされ、伊豆諸島特産種と呼ばれていた。しかし近年になって鹿児島県トカラ列島の一部の島で両種の繁殖が知られ、「伊豆諸島の特産」ではなくなってしまった。
イイジマムシクイ
夏鳥として伊豆大島にも渡来し繁殖するが、生息地域が非常に限られ個体数も少ない。
アカコッコ
1980年代までは冬鳥として人家周辺にも普通に見られていたと言うことであるが、近年における記録はほとんどない。特にここ数年の記録はほぼ皆無と思われる。(このブログが始まってからは願法が2013年に1度目撃情報をあげています)
カラスバト(これだけ動物園で撮影した私の写真です^^;)
伊豆諸島や南西諸島、九州、四国の属島などに分布している。照葉樹林を好んで住むが、大島においては集団ねぐらが杉林で見つかる等解明されていない生態も多い。島内でもシイノキの原生林が残っている地域での確認が多いが、集落周辺や都道沿いでも飛ぶ姿が目撃されているため、季節によっては原生林に依存していない時期もあるのだろう。
(過去のブログを調べたら、カラスバトが海水を飲んでいる写真を願法が掲載していたので、こちらも再度紹介します)
ハギマシコ(写真なし)
ヒヨドリより少し小さいくらいの小鳥で、日本国内では主に冬鳥である。寒冷地を好む鳥で、越冬地は北海道や本州の山岳地帯がほとんどである。伊豆大島では三原山のカルデラ内の溶岩地帯や火口付近に毎年11月末頃200羽~300羽の大群で飛来し、翌年の3月中旬ごろまで見られる。(最近では年に1回ぐらいしか見かけません…^^;)本種のような北方系の鳥が伊豆大島のような太平洋岸の島で大規模な群れで例年見られるということは学術的にきわめて価値の高い事例といえるだろう。
ヒヨドリの謎
伊豆大島では、秋から春までどこにでもいるヒヨドリが5月はじめごろになると忽然と姿を消す。繁殖した記録もあるが、ほぼ居なくなる。春と秋の渡りの季節には大群を作って海上を渡っていく姿をパームラインなどから観察できるが、不思議なのは本州でも、ほかの伊豆諸島でも(お隣の利島でも)普通に繁殖している本種がなぜ大島では子育てをしないのかという点である。
私は個人的には、おそらくこの島にはタイワンリスが高密度で生息しているからではないかと考えている。タイワンリスは草食と思われがちだが、昆虫などの動物質もかなり食べる。もちろん鳥の雛や卵も捕食するのでヒヨドリにとっては繁殖の成功率が他地域に比べて極度に下がるのため敬遠しているのではないかと思っている。
ヤマガラとムクドリは大島には生息していなかったのか、過去の調査記録に記載されていない。2,30年前の間に島にやってきて定着したと思われるが、なぜ、どのようなきっかけでやってきたのかはわからない。
(ヤマガラ)
(ムクドリ)
本州では普通種であるエナガやコゲラといった野鳥も伊豆大島には生息していない。エナガは伊豆諸島のどこにも生息していないが、コゲラは三宅島などに本州とは異なる亜種が生息しているので謎である。
また伊豆大島では全国的にも珍しい鳥の記録もあり、渡り鳥の中継地としての役割を持っているという側面もある。
ベニバト(東京都初記録)、アカアシチョウゲンボウやギンムクドリのほかヒメコウテンシ、オオグンカンドリ、マミジロタヒバリ、ハイイロウミツバメ、クロツラヘラサギ、ナベヅルなどが迷鳥として観察、撮影されている。
(ベニバト)
(アカアシチョウゲンボウ)
(ギンムクドリ)
(ヒメコウテンシ)
(ナベヅル)
今回は、以上です。
写真にある鳥のことをもっと詳しく知りたい方は、このブログ右上の検索窓に鳥の名前を入れ「このブログ内で」を選択してご覧ください😀
(かな)
あまりにも久しぶりで、何のことだかわからない方のために説明しますと…これは、ジオガイド養成講座の「伊豆大島の動物」の資料を、講師であり私たちのアドバイザーでもある天野氏の了解を得て、少しずつここで公開していこうという企画です。
以下資料より。
(写真は全て過去ブログに載っている願法の写真を再度掲載しています)
伊豆大島は他の伊豆諸島に比べ面積が大きいが、標高の高い部分は荒地であり、原生林はこれまで人々の生活に利用されてきたため限局的にしか残っていない。しかも年間降水量が3000㎜(近く)もあるにも関わらず、土壌の透水性が高いため陸水が極わずかであり、鳥類の生息環境としては条件はあまり良いとは言えない。
かつて伊豆諸島特産種とされた数種の鳥類のうち伊豆大島でも繁殖しているのは、イイジマムシクイだけで数もごく少ない。
その他、他の島々で繁殖が確認されているオオミズナギドリなどの海鳥類も伊豆大島では繁殖が未確認である。ただしこれは環境が悪いからではなくオオシマイタチの存在があるからだろう。
とはいえ、春秋の渡りの時期などに極めて短期間ではあるが一時的に大島に立ち寄る野鳥は多く、これまでの観察記録や過去の資料などから総合すると総種類数は230種類ほどに及ぶ。
野鳥には、その生態によって留鳥、夏鳥、冬鳥、旅鳥などの区分があるが、一年中見られる留鳥と、決まった季節に見られる渡り鳥のうち、例年ほぼ確実に見られる種類をあわせると約75種類程度である。
伊豆諸島特産種
アカコッコとイイジマムシクイは、かつて世界中でも伊豆諸島でしか繁殖していないとされ、伊豆諸島特産種と呼ばれていた。しかし近年になって鹿児島県トカラ列島の一部の島で両種の繁殖が知られ、「伊豆諸島の特産」ではなくなってしまった。
イイジマムシクイ
夏鳥として伊豆大島にも渡来し繁殖するが、生息地域が非常に限られ個体数も少ない。
アカコッコ
1980年代までは冬鳥として人家周辺にも普通に見られていたと言うことであるが、近年における記録はほとんどない。特にここ数年の記録はほぼ皆無と思われる。(このブログが始まってからは願法が2013年に1度目撃情報をあげています)
カラスバト(これだけ動物園で撮影した私の写真です^^;)
伊豆諸島や南西諸島、九州、四国の属島などに分布している。照葉樹林を好んで住むが、大島においては集団ねぐらが杉林で見つかる等解明されていない生態も多い。島内でもシイノキの原生林が残っている地域での確認が多いが、集落周辺や都道沿いでも飛ぶ姿が目撃されているため、季節によっては原生林に依存していない時期もあるのだろう。
(過去のブログを調べたら、カラスバトが海水を飲んでいる写真を願法が掲載していたので、こちらも再度紹介します)
ハギマシコ(写真なし)
ヒヨドリより少し小さいくらいの小鳥で、日本国内では主に冬鳥である。寒冷地を好む鳥で、越冬地は北海道や本州の山岳地帯がほとんどである。伊豆大島では三原山のカルデラ内の溶岩地帯や火口付近に毎年11月末頃200羽~300羽の大群で飛来し、翌年の3月中旬ごろまで見られる。(最近では年に1回ぐらいしか見かけません…^^;)本種のような北方系の鳥が伊豆大島のような太平洋岸の島で大規模な群れで例年見られるということは学術的にきわめて価値の高い事例といえるだろう。
ヒヨドリの謎
伊豆大島では、秋から春までどこにでもいるヒヨドリが5月はじめごろになると忽然と姿を消す。繁殖した記録もあるが、ほぼ居なくなる。春と秋の渡りの季節には大群を作って海上を渡っていく姿をパームラインなどから観察できるが、不思議なのは本州でも、ほかの伊豆諸島でも(お隣の利島でも)普通に繁殖している本種がなぜ大島では子育てをしないのかという点である。
私は個人的には、おそらくこの島にはタイワンリスが高密度で生息しているからではないかと考えている。タイワンリスは草食と思われがちだが、昆虫などの動物質もかなり食べる。もちろん鳥の雛や卵も捕食するのでヒヨドリにとっては繁殖の成功率が他地域に比べて極度に下がるのため敬遠しているのではないかと思っている。
ヤマガラとムクドリは大島には生息していなかったのか、過去の調査記録に記載されていない。2,30年前の間に島にやってきて定着したと思われるが、なぜ、どのようなきっかけでやってきたのかはわからない。
(ヤマガラ)
(ムクドリ)
本州では普通種であるエナガやコゲラといった野鳥も伊豆大島には生息していない。エナガは伊豆諸島のどこにも生息していないが、コゲラは三宅島などに本州とは異なる亜種が生息しているので謎である。
また伊豆大島では全国的にも珍しい鳥の記録もあり、渡り鳥の中継地としての役割を持っているという側面もある。
ベニバト(東京都初記録)、アカアシチョウゲンボウやギンムクドリのほかヒメコウテンシ、オオグンカンドリ、マミジロタヒバリ、ハイイロウミツバメ、クロツラヘラサギ、ナベヅルなどが迷鳥として観察、撮影されている。
(ベニバト)
(アカアシチョウゲンボウ)
(ギンムクドリ)
(ヒメコウテンシ)
(ナベヅル)
今回は、以上です。
写真にある鳥のことをもっと詳しく知りたい方は、このブログ右上の検索窓に鳥の名前を入れ「このブログ内で」を選択してご覧ください😀
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