浜名史学

歴史や現実を鋭く見抜く眼力を養うためのブログ。読書をすすめ、時にまったくローカルな話題も入る摩訶不思議なブログ。

【本】川端康雄『ジョージ・オーウェル』(岩波新書)

2021-01-27 20:29:01 | 

 学生時代にオーウェルの『1984年』、『カタロニア賛歌』を読んだことがある。それ以降もオーウェルについて関心を抱き、岩波文庫の『オーウェル評論集』も読んだ。『評論集』は1983年に読了したというメモがある。

 しかしその内容についてはほとんど忘れてしまっているので、こういう時代を生きている中でもう一度しっかりとオーウェルを読もうと思い、この本と、新訳の『1984年』を購入した。

 オーウェルの評伝としてのこの本を読んで、オーウェルについてその人生や考え方の変遷を知ることができた。

 岩波文庫の『評論集』に掲載されている以外、オーウェルは様々な評論を書いていることを知った。それも読みたいと思うようになった。

 本書を読んで、オーウェルの作品がアメリカの「反共プロパガンダ」に利用されていたことを知った。ソ連など、スターリン主義の下、社会主義国と言われていた国々で、人権や民主主義が蹂躙され、虐殺されるということもあった。

 ソ連はトロツキーを暗殺したが、オーウェルも自身が暗殺されるのではないかと心配していたという。

 オーウェルについて関心を持つ人は本書を読んでから『1984年』などを読んだ方がよいように思った。それぞれの評論もその背景がわかり、理解しやすくなるのではないかと思う。

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書くということ

2021-01-27 19:58:38 | 日記

 事務的な連絡について、メールでのやりとりですます、そうなってからかなりの時間が経過している。

 私は事務的なことはメールでやりとりするが、それ以外のことについては手紙をつかっていた。しかし手紙でやりとりしていた方も昨年何人かが亡くなられ、手紙を書くことが本当に少なくなった。

 最近新たに、資料などを送っていただいた方と何度か手紙の往復をしているが、その方は自筆ではなくワープロで打ったものを送ってこられる。自筆で書かれる方も減っている。

 私は手紙用の便せんやルビなしの原稿用紙、切手を準備しているが、それをつかう機会が少なくなっている。

 書くということ、自筆で書くこと、そういうことが復権することはないのだろうか。

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ダニング=クルーガー効果

2021-01-27 19:24:31 | 社会

この「効果」、「能力の低い人ほど自信たっぷり」というものだが、確かにこの指摘は正しいと、経験的に思う。

http://karapaia.com/archives/52298735.html

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【本】松岡正剛『白川静 漢字の世界観』(平凡社新書)

2021-01-27 07:40:06 | 

 白川静の名は知っていたし、いつかは読まなければならないと思っていた。そのための入門書としてこの本は購入していた。2008年に出版されたものを昨日読み終えた。

 白川静の学問的世界は広くかつ深いもので、よほど時間がないと理解はできないだろうと思ってきた。

 表意文字は色々生まれてきたけれど、漢字だけが残っている。日本は漢字だけでなく、ひらがなカタカナを併用しているが、韓国などは最近はほとんどがハングルとなっている。私は中国、韓国、台湾に行ったことがあるが、台湾がもっとも落ち着く。見慣れた(といっても漢字の旧字)漢字を見ることができるからだ。韓国の看板はほとんどハングル、中国は簡体字。

 中国は漢字だけだから、外来語を表現することはたいへんだろう。その意味では、ひらがなカタカナを駆使する日本語がもっとも柔軟な言語ではないかと思う。

 なぜ表意文字としての漢字が残ったのか。白川はこう説明している。

 中国の風土と民族が文化的な敗北をしてこなかったこと、その言葉を表記する方法として代わりのものを用いようとしなかったこと。

 確かに中国は文化的な敗北をしてこなかった。近代化が遅れたことはあったが、中国は堂々たる文明を維持してきた。誇り高い民族なのだ。だからこそ漢字を手放さない。

 白川は漢字の来歴などを研究するだけではなく、万葉集なども研究している。

 柿本人麻呂の「安騎野の冬猟歌」の解釈は、史実ときちんと照合できるもので、感心した。持統天皇は皇位を息子(草壁皇子)にと思っていたが早世してしまい、草壁皇子の子である軽皇子、つまり孫を皇位につかせようとする。それが天孫降臨神話となっているのだが(天孫降臨は持統の私的企みを正当化するためにつくられたものだ)、その動きを柿本が歌い込んでいるというのである。凡庸な解釈ではない。

 読んでいて、白川の本来の目的は日本語研究ではないかと思う。日本語をより豊かにするための研究、しかしそれを文科省などが「当用漢字」などとして妨害する。権力がやることはろくでもないことが多い。

 時間的余裕が生まれたら、白川静の世界に入り込んでいきたいと思う。本書はそのための手引き書である。

 

 

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滂沱の涙

2021-01-27 07:14:49 | 日記

 一昨日隣家のおばあちゃんが急死した。いつもとても元気で、ほとんど毎日会話をしていた。今後楽しい会話ができないと思うととても寂しい。

 今朝、ものすごく強い雨が降った。この時期にこんな強雨が降るのは珍しいと思いながら、雨音を聞いていた。

 この強雨は隣家のおばあちゃんの涙ではないかと思った。自分が亡くなったという自覚はおそらくなかっただろうと思うほどの急死であった。

 亡くなって三途の川を渡ろうとするときに、なんで私はこんなところにいるのだろうと近くにいた人(?)に尋ねる。すると、「あなたは亡くなられたのですよ」と言われる。驚いて聞いてまわったら、みずからの死が確かなものだということがわかってくる。

 自分自身が死ぬということをまったく準備していないから、もう一度戻りたいと頼んでも、誰も聞いてくれない。

 一気に悲しみが押し寄せ、滂沱の涙が流れる。

 コロナ禍のもと、そうして旅立っていった人がたくさんいるのだと思う。亡くなっていく本人が、まったくこころの準備もなくあの世へと旅立つ。酷である。

 そういう死をできるだけ減らしていくのが、政治ではないかと思う。

 

 

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