学生時代にオーウェルの『1984年』、『カタロニア賛歌』を読んだことがある。それ以降もオーウェルについて関心を抱き、岩波文庫の『オーウェル評論集』も読んだ。『評論集』は1983年に読了したというメモがある。
しかしその内容についてはほとんど忘れてしまっているので、こういう時代を生きている中でもう一度しっかりとオーウェルを読もうと思い、この本と、新訳の『1984年』を購入した。
オーウェルの評伝としてのこの本を読んで、オーウェルについてその人生や考え方の変遷を知ることができた。
岩波文庫の『評論集』に掲載されている以外、オーウェルは様々な評論を書いていることを知った。それも読みたいと思うようになった。
本書を読んで、オーウェルの作品がアメリカの「反共プロパガンダ」に利用されていたことを知った。ソ連など、スターリン主義の下、社会主義国と言われていた国々で、人権や民主主義が蹂躙され、虐殺されるということもあった。
ソ連はトロツキーを暗殺したが、オーウェルも自身が暗殺されるのではないかと心配していたという。
オーウェルについて関心を持つ人は本書を読んでから『1984年』などを読んだ方がよいように思った。それぞれの評論もその背景がわかり、理解しやすくなるのではないかと思う。